国会で、通勤費をもらうと社会保険料の負担が増加することについて議論されています。基本給が同じでも、通勤費の違いによって、負担する社会保険料がかわることがあります。年収の壁、103万円等で手取りが減ることについて議論されてますが、通勤費にも手取りに影響する要素だったのです。今回は多くの方が疑問をもつ「なぜ通勤手当が社会保険料の算定基礎に含まれるのか」というテーマについて解説します。
春から社会人の方は、初給与明細でチェックしてみましょう(交通費が報酬として支給額の欄に記載されてます)
通勤手当は「報酬」に該当する
結論から申し上げますと、通勤手当は社会保険料の算定基礎となる「報酬」に該当します。これは多くの方にとって意外に思われるかもしれません。なぜなら、所得税の計算においては、一定金額までの通勤手当は非課税所得として扱われるからです。
しかし、社会保険料と所得税では「報酬」の考え方が異なります。この違いを理解することが、適切な給与計算と社会保険の手続きには不可欠です。
健康保険法における「報酬」の定義
健康保険法第3条では、「報酬」について次のように定義しています:
「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのものをいう。
この定義により、”労働の対価として支払われるものはすべて「報酬」”となります。通勤手当も労働に関連して支払われる手当であるため、社会保険料の算定基礎に含まれるのです。
通勤手当が報酬となる理由
では、なぜ通勤手当が「労働の対償」と見なされるのでしょうか?
所得税は「個人の利益」を課税対象とし、社会保険は「会社からの報酬全体」に保険料をかける という考え方の違いが、この取り扱いの差につながっています。
- 労働の前提条件としての通勤: 通勤は労働を行うための不可欠な行為です。従業員が職場に来なければ労働を提供できないため、通勤に係る費用は労働と直接関連します。
- 実費弁償の性質: 通勤手当は従業員が実際に負担した通勤費用を会社が補填するものです。これは労働を行うために必要な費用を会社が負担していると考えられます。
- 給与としての性質: 通勤手当は定期的に給与と共に支給されることが多く、従業員にとっては給与の一部としての性質を持ちます。
所得税と社会保険料の取扱いの違い
所得税では、通勤手当は一定額まで非課税とされています。例えば、電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合は月額15万円まで、自家用車を使用する場合は距離に応じた金額まで非課税です。
一方、社会保険料の算定においては、通勤手当の全額が報酬に含まれます。この違いが、経営者や給与計算担当者を混乱させる原因となっています。
給与計算実務で注意すべきポイント
- 給与計算システムの設定確認: 通勤手当が社会保険料の算定基礎に含まれるよう、給与計算システムが正しく設定されているか確認しましょう。
- 算定基礎届の作成時の注意: 毎年7月10日までに提出する算定基礎届には、通勤手当を含めた報酬額を記載する必要があります。
給与計算実務に使える市販書
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まとめ
通勤手当は、所得税では一定額まで非課税ですが、社会保険料の算定においては原則として全額が「報酬」に含まれます。これは通勤が労働の前提条件であり、通勤手当が労働の対償としての性質を持つためです。
適切な給与計算と社会保険の手続きのためには、この違いを正しく理解し、システム設定や書類作成に反映させることが重要です。疑問点があれば、社会保険労務士に相談することをお勧めします。
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