Tapestry あの日からのこと

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あの地震と津波が起きてからの出来事。
閖上と、そこに暮らしていた人達の今のこと。

【お知らせ】「閖上のお茶飲み場」と「閖上寄り添いお地蔵さん」

2016年12月29日 | Weblog

※この記事はTOPに固定されています。ブログはこの投稿の下からお読みください。

「閖上のお茶飲み場」

開設日時:毎週日の9:30-15:30頃(悪天候時はお休みします)

 

お茶飲み場の新聞記事:

河北新報:名取市閖上地区/夢継ぎお茶飲み場に

河北新報:<挽歌の宛先 祈りと震災>(6)思い出 気配 薄れゆく/第1部魂はどこに(5)

TV:

ETV特集:「更地と風とカレーライス」(2015/10/3放送)


東北復興カレンダー:Kizuna Trip 2014(YOUTUBE)※お茶飲み場の映像あり

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•お茶飲み場の開設について


東日本大震災から約1年後。
早々に瓦礫の撤去が終わった閖上の街は、僅かばかりの被災地観光の方や復旧作業の工事関係者だけが行き交う状況。
何も無くなった街には生活の痕跡は殆ど無い為に、住居や公園、学校などの住民にとってかけがえの無い場所が荒れ果て、ゴミの不法投棄も目立ちはじめており時折訪れる閖上の住民はなす術も無く立ち尽くしている姿がそこにはありました。

ある日、貞山堀付近の実家跡で一人で佇んでいると被災地観光の方々から「ここには殆ど家は建ってなかったんですよね?被害も少なくて良かったですね」と声をかけられました。

人の息吹や営みが消えた街はただの荒野にしか見えないのか。

ショックではありましたが閖上には多くの人達が普通に生活していたことを知って欲しい、たとえ何も無くなったとしても人それぞれに思い出のある大切な場所であることを知って欲しくて亡き叔父宅跡に花を植えはじめました。

2012年の春にたった一人で始めたのですが閖上を訪れる人が少しずつ増え、昔話に花を咲かせる地元住民が増えてきたこともあり2013年4月に手作りのテントと1脚のテーブルと数組の椅子を用意してお休み処を開設しました。

この場所は特に名称は付けず、個人的に「閖上のお茶飲み場」と呼んでいます。

被災地のど真ん中にこのようなことをすることに対して多くの批判を受けておりますが、私は気にしていません。ここを訪れることで傷ついた心が癒される住民が一人でもいる限り、また被災地に訪れた方々に少しでも閖上を知って貰えればと思っておりますので今後も許される範囲で続けてまいります。

そしてなにより震災直前に「みんなが集まれる喫茶店をやりたい」「閖上を盛り上げたい」と言っていた叔父親子の意思を受け継ぎたいとも考えています。

地元住民はもとより、閖上を訪れる全ての方のお越しをお待ちしております。

 

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閖上寄り添いお地蔵さん


2014/6/15に山形県のNPO法人「被災地に届けたい「お地蔵さん」プロジェクト」という団体と曹洞宗全国宗務所長会の方々が中心となり、東日本大震災の犠牲者の慰霊のために「閖上寄り添いお地蔵さん」が建立されました。

閖上中学校遺族会の丹野さんや閖上みなと朝市の若山さんからのご紹介でのお地蔵さん建立にあたり、私たちの叔父宅跡の土地を無償提供させていただきました。

震災で犠牲になった全ての方は勿論、大切な家族や友人を亡くして悲しみに暮れている多くの皆様が亡き人を想い心穏やかに手を合わせていただけるよう、維持管理に努めますので末永く可愛がっていただけたらと思います。



 

 


閖上のお地蔵さんの現状(ご報告)

2015年11月17日 | Weblog

閖上宮下橋付近にはるか昔からおられた2体のお地蔵さん。

閖上でも特に貞山堀より東側に居住していた住民ならば一層馴染み深いお地蔵さんでした。

私自身も母方の実家がこのお地蔵さんのお隣にあったこともあり大好きでしたのでこのブログでも何度となく取り上げています。

震災後、津波で一度は流されてしまったけれど自衛隊の方々が貞山堀から引き上げてくれた後に誤って私の実家の玄関跡に置かれており、驚くと同時にとても嬉しかったものです。だから閖上に向かうと真っ先に手を合わせておりました。

私たち家族だけでなく、閖上の住民にとって震災後の閖上を見守る2体のお地蔵さんには勇気づけられたり励まされたりしていた方が多かったようです。

そのお地蔵さんが昨年秋に復旧作業の影響で突如撤去されて住民間でちょっとした騒ぎになりましたが、その後の調査で岩沼市の石材会社にて保管されていると判り安心したのでした。

 

先日、山形のNPO法人「被災地に届けたい お地蔵さんプロジェクト」のご担当者様からそのお地蔵さんについての現在についてご連絡がありましたのでご報告させていただきます。

現在も岩沼市内の石材会社さんで保管されていたそうで、そのお姿は以下の写真でご覧ください。

現在のお姿にはちょっと思うところがありますが、ひとまずは無事でいらっしゃる事が判り安心しました。でも、敷地の片隅にこのようなお姿でいらっしゃることは少し残念です。

また何時か閖上の空の下でお会いしたいと思いますし、その為にも一日も早い街の復興が待たれます。

 

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諦め、焦り、怒り

2015年11月12日 | Weblog

毎年2回開催されている名取市議会議員による「名取市議会懇談会」に参加して来ました。

今回の議題は、

•下増田地区防災集団移転促進事業について

•閖上地区被災市街地復興土地区画整理事業について

•閖上地区復興公営住宅整備事業について

•(案)閖上東地区被災地復興土地区画整理事業について

•ふるさと寄付金について

•市庁舎耐震補強等工事について

•休日夜間急患センターについて

上記の議題については資料を元に淡々と説明がされましたが報道機関や名取市のHPに記載されているものが殆どなので目新しいものはありませんでした。

説明が終わって質疑応答になり、話題はどうしても9月に行われた災害公営住宅の抽選結果に伴う質問が多くなりました。

名取市HP:災害公営住宅の整備に関するお知らせ

多くの方が知りたかったのは入居希望が戸建てと集合住宅が100戸に対して希望が345戸で倍率が3.45倍となった西側の高柳地区の公営住宅について。

入居希望が多いことで今後計画の見直しや戸数を増やす予定はないのか?またこの結果について議会ではどう考えているのかという質問が出ましたが増やす予定どころか曖昧な回答に終止(「市役所から議会へ説明が無いので」という回答。なんだこれは!)し、高柳地区の抽選で外れ津波のトラウマから閖上の公営住宅へ入居ができないという住民に対しても労りの言葉も無い。本当にこれが住民の代表と言えるのだろうか??

 

閖上地区の公営住宅についても酷い説明でした。

前述通り、津波の心配がない高柳地区を希望するも抽選で漏れた方々は住まいが確保できないという焦りから2次募集でやむを得ず閖上地区の公営住宅を希望された方が多々いるのですが、その方々からの様々な質問に対して地元の議員の言った言葉も「意見があるならば街作り協議会に参加して発言してください」というまるで他人事のような回答で泣き出す女性もおりました。

(因みに1期分の公営住宅は未だ整備戸数を下回る希望者なんですが、入居希望者の有無に限らず第2期と第3期の公営住宅の着工予定数に変更はないそうです)

議員の曖昧かつ無責任な回答が続き、怒った住民が途中で退席してしまう場面も。

時間になり懇談会が終わった後、帰ろうとする住民を捕まえて「私は現地再建は最初から反対だったんですよ!でも賛成してたのは閖上の議員ですからね!我々の党は住民の意見を尊重して反対したんですが市長と閖上の議員が現地再建に賛成したんですからね!」と顔を真っ赤にして弁明していた議員さんがいましたが、ちょっとみっともないですよ。

現地再建の可否については既に議論は終わってしまい、現に既に莫大な公費が投入されて嵩上げ工事が行われているのですから住民はそれについて知りたい訳ではないのです。

これから先の生活に希望が持てるのかという不安が増幅している昨今です。

安心して暮らせる場所に行きたいというささやかな希望に対して、思いやりのある言葉を掛けてあげること、その為に助力を惜しまないという態度を見せてくれるだけでどれだけ気持ちが救われるのか。市議会議員としての資質が問われている気がします。

これは閖上に限った事ではなく、この街で暮らす市民全員に関係する問題。

自分たちの暮らしを守り安心して暮らせる街にする為にも、名取議会は住民代表として市民に寄り添って欲しいところです。

 

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仮設住宅秋まつりにて

2015年11月08日 | Weblog

愛島東部仮設住宅での秋祭りのお手伝いをして参りました。

この仮設住宅では自治会が発足した2011年から毎年開催されているもので今年で5回目となります。

当初は芋煮会を兼ねて10月上旬に行われていましたが近頃は支援団体さんとの調整の都合上、どうしても11月上旬前後となっています。

今年は昨年に引き続き白山市とセンダイ交流団の皆さんからのご支援。

北國新聞:名取市訪問、餅つき交流 白山・山島地区の40人

センダイ交流団:愛島東部団地秋祭り

白山市の方々からお餅の振る舞いや「閖上大漁節」の披露(住民も参加して)、センダイ交流団からはいつもお世話になっている塩竈市の浦戸諸島の物産販売やフラダンス、琉球太鼓やミラクル三兄弟の歌などの演し物が披露されました。

この日は天気は朝から雨でとても肌寒い上同日、名取市文化会館では市内各仮設住宅の有志が出演する音楽祭が開催されており、通常お祭りを盛り上げてくれる「愛島ダンサーズ」の皆さんも音楽祭に出演のために不在であり人出が心配でした。

残念ながら予想通り、参加される住民の数は少なく支援される方々のほうが遥に多い状況でしたが自治会の方々はとても頑張っていました。

次回はもっと温かい時期に開催できるといいと感じました。

 

仮設住宅に居住する方の数は日を追う毎に減り、この愛島東部仮設住宅でも最大時より3割近く世帯数が減っています。

近頃はどの仮設住宅にお邪魔しても外を歩く方の姿をあまり目にする事も無く(特に子どもは本当に少ない)、引っ越しをされた住居のポストにはチラシの投函を防ぐために貼られたガムテープが目立っています。

子育て中の若い世代は子どもの成長と共に仮設での生活に限界がきていることや一日でも若いうちに住宅ローンを組むため、早い段階から仮設から自力での再建を目指す傾向にあります。それでも閖上の再建を待っていた方々も流石に4年8ヶ月を経過して待ちきれずに仮設を後にすることも増えているようです。そしてその親の世代(高齢者)も家族と共に新天地で新しい生活を始める方も多くなっています。

名取市では閖上の嵩上げも終わっておらず、災害公営住宅は未着工なので閖上での再建を待つ住民にとってはまだまだ現在の暮らしがしばらく続きそうです。

だからこそ住民同士で支えあう自治会などがとても大切。

お祭りなどのイベントも、もっと住民がお互いに参加し交流し易くする工夫も必要になっているのかもしれません。

 

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また閖上で逢おう

2015年11月01日 | Weblog

2015年の閖上のお茶飲み場は11/1(日)をもって冬期閉鎖となりました。

今年最後の閖上のお茶飲み場の様子を残しておきます。

 

10/31(土)

首都圏ではハロウィーンで大賑わいというニュースを尻目に早朝から閖上に到着。

雲は多いものの青空も拡がっていますが、時折吹く風は冷たく季節の流れを感じます。

育てている花々も冬を迎えてそろそろ植え替えが必要な状況になりつつありますが、お手伝いしてくださっている遊佐さんが朝市から沢山のパンジーやビオラを購入して植えてくださっていたのでまだまだ華やかです。

朝市の入り口付近に父方の叔父の自宅跡があるのですが、叔父はそこで花壇を作っています。今朝はその隣で大掛かりな工事をしていたので見てきました。

看板を見ると「モーターサイレンの移設」と書かれていました。

近頃は花壇を作る叔父の姿があまり見られなかったのでもしかすると工事があるから少しお休みしていたのかな?

要は“防災無線”の取り付け工事のようです。いままで朝市付近には無かったことが逆に不思議な気がします。今度は壊れない丈夫なものだといいのですが。

お茶飲み場に戻ると、愛島東部仮設住宅でお世話になっている菅野さんなど閖上に地縁のある方々が既に遊びに来ておりました。

閖上のこと、これからの生活のことなどをお話しながらコーヒーなどを飲んで思い思いに時間を過ごしているこの時間がいいですね。

午後になり、かなり肌寒くなったので蒔ストーブを点火。

そんな中、東京から「東日本に花を咲かせ隊」の方々が大量の球根を携えて閖上に登場。昨年、偶然お茶飲み場を通りかかった際にお声をかけていただき、チューリップの球根を沢山分けていただいていた(閖上で植えきれなかった分は仮設住宅へお裾分けしております)方々が今年も閖上に来てくださいました。

今年はなんと球根の植え込みまでしていただきました。ありがとうございます。

余った球根は「閖上の記憶」さん、「STEP」さんにもお裾分けいたしました。

帰宅後、「閖上の記憶」のスタッフが我が家までわざわざお届けものを届けてくださいました。

一昨年、お茶飲み場にお越しいただいた鳥取県の高田さんがわざわざ以前撮影した写真と明日のカレーライスの付け合わせにとラッキョウをいただきました。

直接お会いすることはできませんでしたが、お心遣いありがとうございました。またお越しください!

 

11/1(日)

天気予報の予想気温ほどは寒くはない朝。

風も殆どなく爽やかな気候です。

今年最終日ということもあってか、お馴染みなメンバーもいつもより早めに訪れています。写真には撮っていませんがお世話になっている複数の仮設住宅からも朝市の帰り道に多数お茶飲み場に寄っていってくれました。

名取市西部にある仮設住宅から閖上に自転車で訪れる方々が時々お休みがてら寄ってくれますが、皆さん本当に元気ですね。またお越しください!

そんな中、またもや遊佐さんが朝市から花を購入して昨日の球根の合間に植えてくださって花を植えてくれました。本当にいつもありがとうございます。

お昼近くになり、座るところも無いほどたくさんの方々がお越しになる中で昨夜作ったカレーライスをみんなで食べました。

この日は閖上の側溝を中心に行方不明者の捜索を行ってくれている「STEP」さんの活動ベースが近くに移設されるとのことで郷右近さん、みつとめさん、五十嵐先生も遊びにきてくれました。

(あれ?郷さんの写真が無かった)

これからも閖上をよろしくお願いいたします。

お茶飲み場を訪れる皆さんから果物やお菓子など沢山のお土産や差し入れをいただきましたのでみんなで美味しくいただきました。ありがとうございました。

夕方、それぞれが家路に向かう時間となり残っていた皆で後片付けをし終了。

冬期のお休みを告知する看板を設置しておきました。

陽が落ちるのが早くなり、夕暮れがせまってきました。早朝の閖上の風景も美しいですが夕闇迫る時間帯もとても綺麗。ですが寂しさも感じる季節です。

冬はもうすぐそこまできていますね。

閖上のお茶飲み場は来年の3/11までお休みとなります。

この一年は復興工事が始まり、嵩上げのために遺されていた建物や水門や宮下橋なども撤去されたりして震災以降今まで以上に変化が多かった気がします。また、近々閖上小学校中学校も解体されます。寂しいですが、移り変わる閖上の景色をこれからもしっかりと目に焼き付けておきたいと思っています。

来春の再開までは少し時間がとれますので、また仮設住宅などへお邪魔する時間を増やしつつこれからの閖上のことを見守っていきたいと思っています。

今年もお越しいただいた皆様、ありがとうございました。

 

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