ひととおりの整備を終え、

普通に吹けるようになったオールズP10カスタム。

 

 

オールズっていうと古くはメンデスが有名で、

他にもレコーディングとかスペシャルとか、

ベルクランツが付いたりした重厚な楽器が多いですね。

 

いちばん生産数が多かったのはアンバサダーでしょうか。

一時期、リーモーガンが使ってましたね。

 

ボクも昔、持ってたことがあります。

 

 

このP10は1970年代のごく短い期間だけ作られた物で、

オールズトランペットの中では

かなりマボロシ度高めの楽器です。

 

20年間のプロ生活でボクはいちども見たことがありませんでしたし、

この楽器を使っていた、という人に会ったこともありません。

 

ネット検索をしてみても、アメリカには少し情報がありましたが、

日本でこの楽器のことに触れている方はたったおひとりだけで、

写真も国内では1枚しか見つかりませんでした。

 

ずっと吹いてみたいと思っていて、

やっとヤフオクで見つけたので迷わずゲットしましたよ。

 

 

ベルに1本ずつシリアルナンバーが打刻されていて、

同じ番号がレシーバーにも入っています。

 

 

このレシーバーはF.ベッソンと同じデザインですね。

 

支柱なしの主管と、これまたベッソンそっくりな幅広の延座。

 

 

バルブケーシングは2ピース。

少しだけ幅が広いので、

ボクのような一般的な日本人の手だとちょっと持ちにくいかも。

 

 

2番バルブの番号は前述の物とは違います。

もしかするとこっちはオールズ製品全体の製造番号で、

ベルとレシーバーの数字はこのモデルだけの番号なのかもしれません。

 

なんかカスタムっぽい感じがしてイイですねえ。

 

ピストボタンは薄くて軽く、

外バネなんで操作感はカリキオみたいな感じ。

小指フックの形状もベッソンそのものです。

 

 

3番菅のストッパーはシンプルにネジ1本だけで、

 

 

1番にも同じストッパーネジがついてます。

 

 

で、実際に吹いてみたら予想通り地金が薄くて超ライトウェイト。

ニッケルを使わず全真鍮製でとにかくレスポンス重視という、

それまでのオールズとは真逆のコンセプトで作られた楽器という印象です。

 

全体的に薄くてペラ過ぎるほどにライトな吹奏感なんで、

肉厚のマウスピースで吹くとちょうどイイ感じに。

 

 

まあオールズの純正ですからピタっと決まるのは当然ですね。

 

このオールズP10カスタム、

とにかく反応が良くてめっちゃ素直に鳴りますし、

音程バランスも素晴らしいんですが、

なんとゆーか、艶とゆーか、深みとゆーか、

そういう色味みたいな要素に欠けるような気はします。

 

ライトウェイトトランペットのヒーローは

カリキオだとボクは思うのですが、

ああいうスター性が今ひとつ感じられず、

さりとてシルキーのようにエレガントな上品さもない。

 

そのへんに短期間で生産中止になった理由があるのかもしれません。

 

でも逆に、それが今のボクにはフィットしてるような気もします。

なんせたまにしか吹かないんで、

あんまり個性の強い楽器だとなかなか操れないのですよ。

 

上がオールズP10カスタム、

下はロサンゼルスベンジの1番トリガー付きカスタムです。

 

 

ベンジもライトウェイトですが、

どこか理知的で優等生な感じがしますね。

 

6月に大きなパーティーのお仕事があるので、

どっちを使うべきか、今から考えようと思います!