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フリーランス取引適正化法における業務委託者の義務

2024-03-13 08:00:24 | 労務情報

 フリーランス等の個人事業主と彼らに業務委託する者との間にトラブルが相次いでいることを背景に、令和5年4月28日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が可決・成立し、5月12日に公布された。 施行期日は「公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日」となっており、今年の秋までには施行される予定だ。

 この法律では、特定受託事業者(個人または一人法人の代表で従業員を使用しないもの)に係る取引の適正化と彼らの就業環境整備のため、特定業務委託事業者(業務を委託する事業者であって従業員または複数役員のいるもの)に対して次のような義務等を課している。
  1.取引条件の明示
  2.原則60日以内の報酬支払い
  3.特定受託事業者の責めに帰すべき事由のない受領拒否・報酬減額・返品の禁止
  4.著しく低い報酬の額を不当に定めることの禁止
  5.正当な事由なく指定物の購入等を強制することの禁止
  6.経済上の利益を提供させて特定受託事業者の利益を不当に害することの禁止
  7.特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく内容変更ややり直しをさせて特定受託事業者の利益を不当に害することの禁止
  8.募集広告等への虚偽の表示や誤解を生じさせる表示の禁止
  9.セクハラ・マタハラ・パワハラの防止や相談のための体制整備等の必要措置

 加えて、継続的業務委託(一定期間以上のもの)の相手方である特定受託事業者に関しては、「育児介護等への必要な配慮」、「契約解除にあたって30日前までに予告」も義務づけられている。
 その「一定期間」をどの程度の長さとするべきかについては、現在、厚生労働省に設置された「特定受託事業者の就業環境の整備に関する検討会」で検討されている。
 議論の中では、有期雇用労働者の雇い止め(契約を3回以上更新または1年を超えて継続勤務している場合は30日前までに予告;平成15年厚生労働省告示第357号)や内職の打ち切り(6月を超えて継続的に委託している場合は遅滞なく予告するよう努める;家内労働法第5条)を参考に、「1年」または「6か月」で意見が集約されつつある。

 いずれにしても、この法律は、まもなく施行期日を迎える。
 その時になって慌てないように、自社で使っているフリーランス等の個人事業主への業務委託を再チェックし、必要に応じて今のうちから対策を考えておきたい。


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