茨城県内の県立学校や一部の公立小中学校で、2024年4月から「ラーケーション」という制度が始まることを、1月17日に朝日新聞が報じていました。

 

ラーケーション、どういう制度だと思いますか?

 

コロナ禍で在学勤務が広がったときに、「ワーケーション」という言葉をよく聞きましたよね。あれは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を合わせた造語でした。

 

ラーケーションの後半部分は同様にバケーション(休暇)なんですけど、前半の「ラー」って何だと思います?

 

ラーニング(学習)のラーなんですね。つまり、学びながら休む、休みながら学ぶ。そんな感じでしょうか。

 

どういうしくみか。

 

年間最大5か取得できる。もちろん欠席にはならない。会社員の有休みたいですね。受けられなかった授業は自習で補う。

 

そもそもこのラーケーションは、探究・体験的な教育の機会を充実させる方法を模索する中で出てきた発想だそうです。

 

実はつい最近、私はある地区のPTAと教職員組合が共同で行った研修会に参加しました。小学校の現場の先生の意見として、新しい学習指導要領の目玉でもある探究学習が、なんちゃって探究学習になってしまいがちという問題を聞きました。学校の外に出て行って、それぞれの分野の現場のひとに教えてもらわないと、結局のところ絵に描いた餅になってしまうということです。

 

ラーケーションの取得申請には、保護者が日程・場所・内容を原則1週間前までに学校に伝えることになっています。そんながちがちに審査されることはないだろうと個人的には思います。

 

ラーケーションのあとにレポート提出のようなことは求めないが、そこでの学びを教室で共有することを想定しているとのこと。

 

それぞれの子どもたちがばらばらにラーケーションをとって、そのあとにそれぞれの体験を教室で語ってくれれば、みんなの経験値がどんどんあがりますよね。先生が「教えて」くれるのとは別の意味合いの学びになるはずです。

 

ラーケーションの活動例としてはたとえば以下のようなものが想定されています。

 

・水族館や博物館など、興味のある施設を見学する

・興味や疑問を持った分野でリポートを書き、コンテストに応募する

・大学や専門学校に行き、平日の雰囲気を味わう

・家族と将来や悩みについて話し合う

 

土日に休みが取れない保護者との時間をつくるという意図もあるようです。

 

小中学生のお子さんがいるとして、みなさんだったらどんなラーケーションを考えますか?

 

そういうことに熱心になってくれる家庭と、そんな余裕はないという家庭とがあるので、それがさらなる格差に繋がるという懸念もあります。でもむしろ、そこで「家庭」に頼りすぎない教育のあり方を模索するきっかけにもなればいいなと私は思います。

 

たとえば私は将来、駄菓子屋さんをやろうと思っているんですけど、そこでラーケーションを利用したインターンを募集してもいいかなと思います。学校がやっている昼間はお客さん少ないんですけどね。そこは地域の方たちにお客さんとして遊びに来てほしいです。

 

これもさきほどの先生や保護者との研修で話し合ったことなんですが、いまの学校は多機能化しすぎているんです。子どもにとって大切なことはなんでもかんでも学校で教えようという発想になっている。そんなの無理。子どもが日常生活や地域生活などから直接学ぶべきことは多い。そういう教育観をとりもどすきっかけにも、このラーケーションがなってくれることを期待しています。

 

※2024年2月8日のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容です。