③『オッペンハイマー』純正IMAX | アディクトリポート

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③『オッペンハイマー』純正IMAX

 

 

だいぶ遅くなりましたが、

『オッペンハイマー』の総括を。

 

その前に、前回の記事(②『オッペンハイマー』純正IMAX)にいただいたコメント。

 

JOE

オッペンハイマーみました。毎度観客に優しくない作りで、一度観ただけではよくわかりませんでした(が3時間の映画、そうそう見直す事は難しいですが)。
実験のきのこ雲はちょっとショボいなと感じましたし、ラスト近くの悪夢での原爆描写は、ノーランでもここまでかよ、ヌルい!!と思ってしまいました。
ノーランこそ、はだしのゲンを読むべきでした。
生粋のイギリス人でロンドン生まれのノーランは、愛国者精神から『ダンケルク』(2017)を世に送り出した経緯からも察せられるように、あくまでも欧米人の立場からしか作品を作らないので、絶対に『はだしのゲン』は読まないと思いますし、前に書きましたが、
カイ・バードとマーティン・J・シャーウィンによる伝記『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』(American Prometheus: The Triumph and Tragedy of J. Robert Oppenheimer)の映画化であり、
その書の趣旨に従ってオッペンハイマーの実像に迫れば、広島と長崎への原爆投下の描写は入れても唐突。米人の熱狂場面に象徴性を持たせただけでも、ノーランとしては配慮のつもりだったんでは?
 
でもって、
 

ようやくの本編鑑賞は、

最後まであくびも全く出ず、一瞬も寝落ちしないで、

大変興味深く見終えて大満足!

 

の続きを書くと、

ノーランが自分にしかできないことを、

ノーラン流を貫き通してやり遂げたことに感心、大満足。

 

デジタル公開以前の、過去の映画作り=撮影現場で直撮り勝負という手法で思いつく映画監督って、

他だと街並みを丸々3スタジオ内に建てた『ザ・マジックアワー』(2008)の三谷幸喜ぐらいしか思い浮かばないが、

 

東宝スタジオの日本最大級スタジオ3つ(3スタジオ合計面積4426平方メートル)を使用し、巨大なセットで街並みを再現構築。エンディングでその建築工程が早回しで見られる。

 

あちらが庵野秀明同様に、新作を撮るごとに信用をおとして墓穴を掘り、

現場主義が浪費=予算の無駄遣いでしかなかったのに対し、

ノーランは作品を重ねるごとに成熟を増し、

ついに『オッペンハイマー』でアカデミー賞評価の頂点を極めたのだから恐れ入る。

 

そうそう、アカデミー賞で思い出したが、

助演男優賞を受賞したロバート・ダウニー・Jr。

 

『オッペン』本編を見て、アイアンマンで聞き覚えのある地声を封印しての名演に、

「なるほど、これなら流石に受賞するわけだ」と納得したが、

授賞式での、前年受賞者、キー・ホイ・クァンへのガン無視ぶりが物議を醸した。

 

これはまた、『哀れなるものたち』で主演女優賞を勝ち取ったエマ・ストーンにも見られた振る舞いで、

 

 
  • (エマ・ストーンは)2024年3月10日第96回アカデミー賞で主演女優賞を受賞した。同じく前年のアカデミー賞にて、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で受賞したミシェル・ヨーがプレゼンターとして登場したが、サリー・フィールドの制止を無視してヨーからオスカー像をしっかりと受け取らず、最終的には同じくプレゼンターとして登場していたジェニファー・ローレンスからオスカー像を受け取る形になった。このため、ローレンスやロバート・ダウニー・ジュニアと共にストーンの行動は「アジア人を差別しているのではないか」と人種差別的であるとの批判が上がり、SNSで炎上した。
両者ともにWikiではいつもながらの煮え切らない「検証が必要」記述が横行してるが、
  • 『オッペン』のダウニー・Jr.の演技と作品そのものの価値と魅力
  • 『エブエブ』の徹底的なデタラメぶりと拷問に等しい地獄の鑑賞体験
  • 過大評価のミシェル・ヨーとキー・ホイ・クァンのアカデミー賞受賞
を見比べさえすれば、今年の受賞者が、
「去年のアカデミー賞悪夢の誤選択なんかと、自分を同列に扱われてたまるか!」
すなわち、
「あんなのと一緒にすんな!」の気分が如実に現れた瞬間なんだとよくわかる。
 
逆にいうと、
映画『エブエブ』と『オッペンハイマー』を実際に鑑賞して、
双方のアカデミー賞受賞歴を見比べて、
この意図的なロバート・ダウニー・Jrの振る舞いに気づけない方がどうかしてやしないだろうか?
 
私が『オッペンハイマー』とアカデミー授賞式を観て言いたいことはそれだけです。