短歌や俳句にはまったく興味がなく、
適当に流し見していた「究極の短歌俳句100選」。
観ているうちにどんどん引き込まれて、
「やばい、これ録画しなきゃ!」
と思った時は既に遅し。
ちょうど私が見ていたのが再放送分で、
もう会員登録して
NHKオンデマンドで見るしかないという(涙)
ゲストのヤマザキマリさんはもちろん、
司会の風間俊介さんも、
ちょいちょい挟む感想が鋭くて、ただものじゃない感じ。
もう一度、おふたりの感想・解説を聞きながら、
じっくり歌を味わいたかった・・・
「短歌も俳句もきらーい」
と食わず嫌いでスルーしたことを後悔しましたが、
後の祭りです。
せめて選ばれた100の短歌俳句を一通り読みたい、
公式サイトに載ってないかなと
公式サイトにアクセスしてみたら、
載ってました。
私はヤマザキマリさんや風間俊介さんみたいに
鋭く深い感性に恵まれてないので、
鑑賞文は書けませんが、
今日、読んで「これいい!」と思った作品を書いておきます。
明日、もしくは数日、数か月、数年と時間が経ったら
「いい」と思う作品は変わると思いますが、
「今」いいと思ったというか、
心に残ったのはこちら。
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<俳句>
戦争が
廊下の奥に
立つてゐた
渡邊白泉
私にとって、ある日突然始まったウクライナとロシアの戦争。
何も考えず、意識せず、いつものように学校・職場・家など、
日常の場を歩いていたら、
ふいに、普段は気にすることもない廊下の奥の暗がりに、
影より暗い影をまとって、戦争が立っている―
ウクライナで起こったことが、
日本で起こらないとは限らない。
日本の周りには、韓国、中国、北朝鮮、そしてロシアと、
敵国しかいない。
なんなら日本の一部であるはずの沖縄でさえ、
日本の敵にまわるかもしれないくらい、
信じられるものは少ない。
「廊下の奥」が
得体のしれない不気味で残酷な「何か」を予感させる、
というか、
もう、不吉さと、暗さと怖さしか感じさせない!
静かで黒い戦慄。
怖い、ただ怖い、
そしてそれはお化けでも妖怪でもない、
いつかはっきり目に見える現実――
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そんなことを感じました。
この俳句の作者の、他の俳句も
光と影みたいにくっきりと心に残る、
鋭い作品が多かったです。
- 街燈は夜霧にぬれるためにある
- 鶏(とり)たちにカンナは見えぬかもしれぬ
- 銃後といふ不思議な町を丘で見た
- 玉音を理解せし者前に出よ
この作者は、上にあげた句もいいけれど、
- ゆるやかに着てひとと逢ふ蛍の夜(『月光抄』)
- ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき(『女身』)
- 窓の雪女体にて湯をあふれしむ(『女身』
上のふたつの歌を見ただけですが、
どこかしら俵万智さんと通じるものがあるような気がします。
俵万智さんは、優等生だったのかな?
師匠を「正確に」学んだっぽい印象。
次点
不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心
石川啄木