マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

その“霊薬”の蓋然性を担った説

 パラケルスス(Paracelsus)が――

 いわゆる、

 ――錬金術

 に、

 ――思想の跳躍

 を齎(もたら)した――

 ということは――

 

 パラケルススが後進の錬金術師たちに多大な影響を与えたことを踏まえれば――

 疑いようがない。

 

 その思想の芯は、

 ――アルカナ(arcana)

 であった。

 

 ――神秘の事物であるアルカナは、生命の根源的な力であるアルケウス(archaeus)に活性を齎し得る。

 との命題を――

 パラケルススは世に問うた。

 

 その「世」には――

 おそらく後世も含まれる。

 

 ……

 

 ……

 

 パラケルススは――

 人の体の不具合は、全て、

 ――アルケウス

 の減弱ないし減衰で説き明かせる――

 と考えたようだ。

 

 その、

 ――アルケウス

 に、

 ――アルカナ

 が活性を齎せ得るのであれば――

 

 ――アルカナ

 は、“霊薬”以外の何物でもない――

 

 ――あらゆる病や傷を癒し、人の体を不老不死と成す霊薬

 である。

 

 この“霊薬”の蓋然性を担ったのは、

 ――パラケルススの三原質(tria prima)説

 であった。

 

 この説は、

 ――錬金術の素養

 が、パラケルススの歴史の表舞台への登場の直前までの長きに亘(わた)って熟成をされてきて――

 それがパルケルススによって一気呵成に拡張をされた結果であった。

 

 その意味で――

 パラケルススは、

 ――錬金術

 に革命を起こしたといってよい。

 

 ――錬金術

 と無関係の文脈で珍妙な新説を唱えたのではなく――

 

 ――錬金術の素養

 を豊かな“土壌”として、

 ――霊薬

 という名の鮮やかな“徒花(あだばな)”を開かせたのである。

 

 『随に――』