昔に何かで読んだエッセイに面白いことが書かれていました。
言い回し的に年齢の高い女性が書いたのだと思うのですが、誰が書いたのかまったく覚えていません。
しかし、ファッションに関わる私にとっては当然ですが、多くの方にとっても、とても役に立つ内容となっていますので是非読んで頂きたいですね。
すべてが広告塔
流行のブランドや着こなしがビジネスの場に最適とは限りませんが・・・。世界中の一流ホテルにチェックインしてその瞬間にお客がチェックされるのは、靴とカバンと決まっています。次にカウンターでのやり取りの時にはお客の手元を確認するそうです。そして言葉遣い。旅先というエクスキューズはないんですね。普段の暮らしがたとえ旅先であったとしても、持ち物ひとつに
現れてしまいます(この例は団体旅行では論外です。自分でチェックインしないのですから)。
「グローバルスタンダード(世界標準)」と言われて久しくなりますが、それでも日本の働く男女のビジネスシーンは世界になかなか通用しないとか。日本人は、似合うもの、使いやすいもの、その場に合ったものより、まずブランドと言われるものばかりを身に着けているのが目立つと、ヨーロッパの人々は奇異に感じているそうです。「何故?」と。人の顔が履歴書ならば、その着こなし身のこなし、エレガントさは身上書です。どんな仕事をしてきたか、どういう人と付き合ってきたか姿は歴史として現れます。高級品を身にまとっただけでは「洗練」されたことにはなりません。
国境やジャンルを越え、自らの存在感をアピールしたり信頼を得られるようになるコツは簡単です。
「正しい言葉遣い」と「フィニッシング・タッチ」すべての仕上げの味付けは男女に関わらず「上質」なもの、そして、その場に合っていることです。「本物は目立たない」ということを知ることかもしれません。「ゆとり」とは隠されていて目には見えないものですから。
ある日、ウィーンの空港で見かけたおじさん(60歳ぐらい)は、ルイ・ヴィトンの年期の入った古いリュックを背負って姿勢よくチェックインしていました。その後ろ姿は感動ものでした。上質な物を丁寧に長く使うさりげない立ち姿は、品性とは何かを教えてくれました。
そう、いまのあなたのそのすべてが広告塔だということを忘れないで・・・。
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このようなエッセイだったのですが、これは20年以上も前のものです。
現在でも通用する内容になっていますよね。
着こなし身のこなしというのは、すぐに身につく物ではないのですが、毎日を意識していれば自然と身につくのではないでしょうか?