深夜のウエストサイドに不思議な音が鳴り響いた。


地球のアルペジオのような

新世界への調べのような、どちらかと言ったらキレイなメロディ。



な、何?あれ?


わかんないけど、通常起きないことが起きるとは思う。



半地下のような部屋にある

ありきたりのモニターから


さっきの美しめなアルペジオとは違う


中途半端なコード音を繋げたような音が響く。



だ、だから、何?これ?



これはわかる。わかるよ



え?じゃあ、これ、何?





終わりのはじまり。



へ?



終わりのはじまりの、最後の、鐘



鐘、のわりにはずいぶん




ザッ!!



モニターからザップ音のような音が聞こえて


中に緑色の不思議な服を着た老人が映し出される。



… ようやくここへ着いたらしいな。



???



君に最初にコンタクトを取れたのは、緑地だったか?



!!!


あ、あの、夏の暑い日、の?



君たちのような人間に、メッセージを出していた。

この星の人々は、私達を必要としない未来を選んだわけだ。

なので、こちらから送り込んだ新しい花粉側の覚醒体にあの場所で帰還指示を出していた。

もう、この星には私たちの側の花粉は必要ないからな。



これから


すべてが終わり


すべてがはじまる。



あの公園でそんなメッセージが来たのは覚えてるけど

それ、めちゃくちゃ昔の話すぎて


確か、あの汗まみれのスーツ女子が自分、てどーいうことですか、とか


君は坂道の天使です、とか




まだ気づいてないか?

さあ、今の自分の姿を見てみろ。



へ?


部屋にある鏡


えーと



鏡には、ずいぶんと未来的なコスチュームを着た

やたらに萌え可愛い自分が映っていた。





えーと





もう、立派に坂道の天使をやる準備は出来てるじゃないか。



大量の記憶たちが急激に流れていって

流されそうになる。



さて、私のほうも時間があまりない。

君たちがまた、ゴールデンリバーグやら

緑園都市フォレスターヒルやらにさまよいそうなんで、こちらから現れることにしたんだが


君たちが向かうのは、そこではなくて

セントパークキャッスル。


そこから、山麓に向かい

動物公園側に繋がる途中にある


ホテルブルースカイ



そこへ向かってもらいたい。



では。



その瞬間、不快な半端コードがまた鳴り響き


モニターに地図が映し出された



この地図て、今から向かう先?



ち、違う! これは、違う!!

ベッドに潜り込んで!!早く!!