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全国有機農業者と消費者の集い 2025 in 東京

 

日本有機農業研究会(日有研)の全国大会が3月上旬、東京都内で開かれました。

1971年に、生産者と消費者、研究者が集まって設立された、歴史ある研究会です。

 

第51回の今大会は「予測困難な時代に有機農業の底力をみせよう~自立と互助を目指して~」と題して、全国から約180人が集まりました。

日本有機農業研究会・理事長で、茨城県石岡市で有機農業を営む魚住道郎さん(74歳)は大会あいさつで、

「農業人口の急速な減少により、食料不安と環境の危機が迫っている。うちの集落

24戸のうち、後継者がいる有機農家はわが家1軒のみ。農業・農村がこのままでは、日本は崖っぷちから大転落してしまう。これからは新しい有機農業者を消費者の中から全力で育てる」と、宣言しました。

 

 

トークセッション「崖っぷちの農村から未来を探る」では、各地で活躍する農家と消費者が語り合いました。

 

農家が激減して、食と地域と環境が危ない!農家を増やす活動を!と訴えたのは、

笠間市の有機農家の涌井義郎さん。元鯉渕学園農業栄養専門学校教授で、NPOあしたを拓く有機農業塾では、20名の有機農家を育成、輩出してきました。

涌井さんは、「環境との調和と共生には、(山や川を手入れし、天然資源を活用してきた)農家の数こそが最も必要な要素である。この40余年で国の農業予算は24%削減(2.3兆円)された。農業予算の乏しさが農家激減を加速させ、食と環境の危機を招いている」。

 

 

そもそも農業と農村人(農村に住む人)の役割とは?

農産物の生産だけが任務、ミッションではない。農村の維持において、

農業に携わる人が「たくさん」住んでいることが重要

 

 

「過去5年間で農家数は40万戸減ったが、これから新しく農家を育てるには、自給的な農村生活希望者を、農村人として迎え入れる画期的な農家育成に取り組む必要がある」と説きました。

 

あらゆる手立てで有機農家と理解者、支援者を増やしましょう!国に訴え、全国民に呼びかけましょう!

 

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日本農業新聞2025/3/11付け 2面 今よみコラムに書きました。

ここから大幅に加筆・修正しました。

 

新しい有機農家の育成を!消費者を呼び込む動き

 

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南房総市・旧三芳村で就農して28年。八木直樹さんは、ここ数年、

お米の定期便の問い合わせが急増、また、就農とは違う形で有機農業に関わりたい人が増えていると実感し、

 

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安定して食べたい人と作る人をつなぐNPO法人ゆうき農園みよし村を2月に設立しました。

 

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NPO法人ゆうき農園みよし村の事業の特徴は、食べたい人(お米の購入者)には玄米30kgを一口27000円で約束すると同時に、農作業に加わって労力を提供すればポイントになることも併せてアピール、(=労働と食べ物を交換)

一方で、地元の新規就農者には、資金を前渡しすることで、安心して農業に取り組んでもらおうというマッチングです。これにより、農村や田んぼに多様な人が集まり、にぎわいが生まれることを狙います。八木さんは、「生業であるなしに関わらず、有機農業に関心のある人を増やしていかないと、農家だけでは解決できない」と語りました。

 

 

大会2日目には、有機農家が市民ボランティアと協働で管理・運営する足立区都市農業公園の見学会がありました。(感動的にすばらしかったので、別の形でリポートしますね♪)農作業を通して都市住民の農への理解を図る、参加型の有機農業公園は、オーガニックへの関心とともに全国で増えています。

4月には世田谷区に有機農業公園がオープン!

そのほか京都府亀岡市でも始まる予定です。

 

こうして日有研では、農民と市民を有機的につなぎ、あらゆる方法で消費者を生産する人員として呼び込もうとしています。国の食料農業政策では、大規模・集約化を推進して、少人数での食料生産を前提としていることを思うと、真逆の方向ですが、

果たして、持続可能なのはどちらでしょうか。

 

きょうは3月11日です。大規模・一極・集中が、災害時に脆弱であることを、 あの日、私たちは思い知らされました。それよりも 小規模・多様・分散が、有事にはレジリエント(復旧する強さ)であり「減災」になることが、災害のたびに証明されてきました。災害が多発する日本列島において、リスク分散して被害を軽減することは危機管理の鉄則です。確かに、人工的に管理できる環境下であるなら、大規模・一極・集中による生産管理システムは合理的で経済的ですが、自然環境の影響を直接的に受ける農業が基本の食料生産を、なぜ、人の管理下におく製造工場と同じように扱うのか。自然災害も、気候危機も、鳥獣害も、土壌や植物や動物の病気も、大気中のウィルスも、地球環境は人間には(少なくとも今の科学では)コントロールできません。目に見えないもの、手に負えないものへの畏敬の念を忘れて、目先の経済合理性で進めるのは、自然の摂理を理解した態度とは言えません。持続可能とは呼べません。

 

人と人が有機的に繋がり、「育むたのしみを分かち合う」、多様で小さな連携こそ、

有事に力を発揮する強さ(レジリエント)なのではないかと改めて考えました。

 

 

全国有機農業者と消費者の集い 2025 in 東京

 

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そのほかトークセッション「崖っぷちの農村から未来を探る」

福原圧史さん 島根県吉賀町/柿木村有機農業研究会会長/NPO法人ゆうきびと代表

天明伸浩さん 新潟県上越市/星の谷ファーム/上越有機農業研究会前代表

比嘉悦子さん 埼玉県所沢市/NPO法人所沢生活村代表理事

コーディネーターを務めたのは「シン・オーガニック」著者として知られる吉田太郎さんでした。

 

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全国有機農業者と消費者の集い 2025 in 東京

 

 

4月にはいよいよ、東京都内では足立区に続いて世田谷区で、有機農業公園が開園します。オープンは4月初旬、わたしも訪ねてきまーす。都市の農地には、有事の際の防災機能もあるんですよね。


身近な農業公園で、農ライフはじめませんか?

 

 

ベジアナあゆみ