夫(英国人)の実家から

スコットランドに

戻るにあたって

「カーライル(Carlisle)

経由で帰りませんか」

 

「カーライル?別にいいけど

寄りたい場所でもあるのか?」

 

「この道で帰ると途中に

美味しいポークパイを売っている

お肉屋さんがあるんです」

 

そのお肉屋さんは

ペンリス(Penrith)という

街にあるとの話で

「『ブーズ』という

スーパーマーケットも

その近くにありますから

覗いてみましょう」

 

「いいけど何故また

スーパーなんだ?」

 

「高級店という話で・・・

品揃えを見てみたいんです」

 

で、お肉屋さんに行ったあと

『ブーズ』に足をのばしまして、

高級スーパーの名に恥じない

明るく天井の高いきれいな店内と

チーズやパイの見事な展示ぶりに

感心しつつも

「・・・素敵なお店だとは

思うけど、何かね、ここで君は

今夜の食材を買いたいのかね」

 

 

「・・・妻ちゃん!

ここですよ!

ワシントン・ポー

買い物をしたのは!」

 

「・・・はい?」

 

「ワシントン・ポーが

ティリーに言われて

野菜を買いに来たでしょう」

 

「何の話?」

 

「第二作目、

『ブラックサマーの殺人

(Black Summer)』の話です」

 

 

 

 

 

「・・・そんな場面、あったか?」

 

「ありました。ティリーちゃんの

作った買い物リストを片手に

ワシントン・ポーはここで

野菜とか果物を買ったんです。

ほら、ここが

その野菜売り場ですよ!」

 

・・・えーと、何ですか、

つまりこれは

オタク用語でいうところの

『聖地巡礼』・・・?

 

わが夫はこんな気質の

持ち主だったのか・・・?

 

でもまあこちらの

清潔でお上品な

正統派『意識高い』系

スーパーの店内を見て、

ここでワシントン君が

野菜を買う場面の面白さは

なんとなく理解できました。

 

なおスーパーを出て

国道に戻りしばらく行くと

「・・・妻ちゃん!ほら!

ここを曲がると

『シャップ』です!」

 

(注:シャップとは作中で

ポー君が住んでいる場所)

 

「・・・シャップって

実在の地名だったのか・・・

夫よ、次回イングランドに

来る時はシャップで

一泊するか?このぶんだと

『シャップ・ウェルズ』

ホテルも本当に

存在するんじゃないか?」

 

悪乗りしている我々です。

 

 

で、調べたら、

『シャップ・ウェルズ』ホテル

 

ばっちり実在していましたよ

 

小説の通り

犬の同伴も可能ですって

 

これはビール瓶片手に

喧嘩をするしかない

 

(Norizoさんは『ストーン

サークルの殺人』から

瓶に関して教訓を得ていない)

 

ちなみに夫は

『シャップ・ウェルズ』よりも

『コーヒー・ジーニアス』

(1作目『ストーンサークルの

殺人』でポーとティリーが

お昼を食べるお店)に

行きたそうだったのですが

調べたらこちらは閉業

 

 

 

 

 

・・・やはり泊まるしかないか、

『シャップ・ウェルズ』に!

 

思いもよらない方向と動力で

オタク傾向を強める我々に

生ぬるい視線を送りつつ

1クリックを


ヨーロッパランキング