わが愛犬アーシー

(黄色大犬)の

お散歩仲間の

牧羊犬ちゃん

「アーシーのことを

・・・もしかしたら

友達・・・とは

思っていない・・・んだけど

・・・ほらこの子、

『友達』って概念と無縁に

育っちゃったから・・・

でも好きではあるのよ」とは

牧羊犬ちゃんの飼い主の

毒舌奥様の弁。

 

「散歩に行こうって車に乗って、

で、『今日はアーシーと

一緒に歩けるわよ』って言うと

『え?アーシー?』って

立ち上がって窓の外を

確認しようとするのよ。

それでアーシーを見かけたら

尻尾を振り始めるから

バシバシバシバシそれはもう

けっこうな音を立てるの」

 

しかしそんな牧羊犬ちゃんは

車を降りると割と素っ気なく

軽く尻尾を振って

私には挨拶するものの、

アーシーとは目を一瞬

合わせるだけで素通りというか、

まあアーシーはアーシーで

牧羊犬ちゃんに挨拶するより先に

毒舌奥様に愛想を

振りまくことに忙しいので・・・

 

そんなつかず離れずの二人、

もとい、2匹は先日散歩中に

リードをつけた

ボーダーコリーと

すれ違いまして。

 

 

 

 

ここらへんの山道を

リード付きで

散歩している犬というのは

たいてい何かしらの

理由があるものですから

(まだ躾が入っていないとか

引き取られたばかりで

情緒が不安定だとか)

私はアーシーに念のため

「お行儀よくしたまえよ」

 

 

言われたアーシーは

「大丈夫大丈夫」と

ボーダーコリーちゃんから

少し距離をとったところで

足を止めて尻尾を振ると

これがボーダーコリーちゃんの

癇(かん)に障ったのか

ボーダーちゃんは身をすくめて

「ワン!」

 

あっ、これは何か挨拶法を

間違えちゃったか、

ごめんごめん、と

アーシーが身を翻して

その場を離れようとしたその時、

それまで後方で

様子を見守っていた

牧羊犬ちゃんが突然

2匹の間に割って入り

ドスのきいた唸り声

「うううるるる!」とあげ

ボーダーちゃんの顔を

睨みつけまして。

 

驚くアーシーと私、

そしてボーダーちゃん、

事態が把握できていない

ボーダーちゃんの飼い主をよそに

牧羊犬ちゃんの飼い主である

毒舌奥様が厳しい声で

「そんな声、おやめなさい!」

 

牧羊犬ちゃんは奥様の声が

聞こえていることを示すように

一瞬そちらに目線を移すも

すぐまたボーダーちゃんの顔に

視線を戻してもう一度

「うううるるる!」

 

その場は別にそれ以上の

事態にはならなかったのですが

後から奥様が本当に不思議そうに

「あれは何だったのかしら?

うちの子、全然関係ないのに

突然喧嘩を買いに出たわよね?」

 

「喧嘩というかアーシーは

あの場をすぐ

退散する姿勢でしたけど

・・・牧羊犬ちゃんは

明らかにアーシーを

かばいに出ましたよね?」

 

「でもうちの子がアーシーを

かばう必要なんてなかったわよね?

あれ、放っておけば別に

アーシーがその場を離れて

それでおしまいになる

状況だったものね?」

 

ボーダーコリーに吠え掛かられて

アーシーは全然気にしていない、

というか「あ、ごめん」くらいの

気持ちだったのに対して

牧羊犬ちゃんはどうも

「あんたうちのアーシーに何を

舐めた真似してくれてんの」

みたいな反応を示したという・・・

 

・・・君はこの間まで

アーシーのことなんて

特に好きじゃなくて

他の犬のことは

全然好きじゃなくて

例の超大型犬に噛まれてからは

体の大きい犬のことは正直怖くて

友好的じゃない犬に出会うと

毛を逆立てて震えていたのに・・・

 

牧羊犬ちゃんにとってアーシーは

友人ではないのかもしれませんが

身内というか、毒舌奥様いわく

「同じ群れの一員なんでしょうね」

 

2人と2匹で群れをなし

今日も我々は山を歩いております。

 

 

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