~ファンタジックな森のヒーリングハウスで、素の自分を取り戻す時間を~
北海道神宮の山にある愛と美と喜びの空間へ。
50歳で東京から札幌へ移り住み、目指すは生涯現役アロマセラピスト&ヒーラー。
自然からのセンス・オブ・ワンダーを大切に、日々の小さな喜びを綴っています。
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先日、「オッペンハイマー」を観に行きました。
3時間という長編でしたが、その長さを感じさせないくらい集中してしまいました。
昨年、訪れた広島原爆資料館は被爆した側から、今回の映画ではオッペンハイマーという優秀な物理学者の人生を通して、核兵器を開発し敵地へ落すという反対側からの内容になり、両面を知ることで立体的に俯瞰できました。
最大の関心は、どういう経緯で原爆を作り、実際に使うことになった詳細な内容ですが、映画に答えがあります。
【マンハッタン計画】という言葉は知っていても、どのような場所で、どのような経過で最終的に実行されたのかという流れを、映像でよりリアルにイメージできたのが良かった。
それと政治的な時代背景を絡めてあるので、多角的に知り得ます。
原爆実験のシーンは本当に恐ろしく緊迫して、でもその実験が成功すると、その場にいた人たちは歓喜し、オッペンハイマーを英雄のように鼓舞します。
そのシーンは原爆後の惨状を知っている私たちにとって、とても違和感を覚え動揺し感情の差異を強く感じることと思います。
でも実際、現場というのは、ひとつの目標に向かっていくプロジェクトですから、これが当然の光景なのでしょうけれど。
観終わったあと、あれ?と何か消化されない部分があり、この映画凄く良かった!と素直に思えない、奥歯に何かがひっかかった感じが続きました。
あとから、じわじわとその大きな【あれ?】についての塊がほぐれてきました。
核爆発の驚異的な凄さは映像化されているのですが、落下し被爆した広島、長崎の惨状は、それを想起させる瞬間的で僅かな映像だけで意外に思いました。
原爆を投下した結果、どれだけの惨禍だったかを映像化するほうが、より原爆の恐ろしさを観客に知らしめたことでしょう。
全世界の人が、広島の原爆資料館に来れるわけではありません。
でも映画は気軽に多くの人に観てもらえる。
ウクライナや中東で、戦争が行われている今だからこそ、核兵器の恐ろしさを若い世代にも広く発信することはとても意味のあることだと思うのです。
その点が私としては残念に思いました。
監督の意図で、被爆を象徴する僅かな映像でしか見せなかったのは、もしかしたら、政治的圧力、若しくはそれと同等な何かがあったからかも?
例えば、もし全面に被爆地での映像をみせたら、敵国が先に開発する前に、戦争を終わらせるために、これ以上、自国の兵士を死傷させないために、世界に強国と知らしめるために、(膨大な国家予算を使っている)という原爆投下の理由が、広島・長崎の惨状の前では全て消えてしまうでしょう。
どんな理由があっても、原爆を使ってはいけないと。
ですから、あくまでも軸はオッペンハイマーの人生とその苦悩を描くことに絞り、あとは観客側に委ねたのではないでしょうか。
この映画だけでは、原爆の本当の恐ろしさは伝わらない。
でも観た人は、何も知らず日常を過ごしていて被爆された土地や人々はどうなったか、生き残った人はどんな気持ちで一生を送ったかなど、もっと知りたいというきっかけになると思います。
ですから意図的に全てを見せるより、暗示のような映像を使ったのかもしれませんね。
1本の映画で全て網羅するより、そこから派生する疑問は其々に持ち帰り委ねるということを。
やはり広島に立ち、原爆ドームや資料館で五感を通して感じてほしい。
その両輪が整い、それに付随した様々な角度から知り得ることで、戦争、科学の発展の先にあるもの、核兵器の脅威が分かるのだと思います。
科学の発展を突き詰める科学者と、それを悪用する人、そのジレンマの中で揺れ動く・・・いつの時代も存在することでしょう。
科学者は開発のみで、実際に使うと判断するのは政治家、それを監視できるのは国民なのです。
池上氏の解説が分かりやすいので、お勧めです。
この中で、原爆が落とされた後、どれほどの被害が起こるかということを、現実的に開発した科学者が想像できていたかという言葉は心に残りました。
開発ということに時間を追われ必死になり、そのあとのことまで想像したり考える余地がなかったのかもしれません。
もちろんそのことは分かっていたと思うのですが、これほどまでの惨状になるとは想定外だったかもしれません。
分かっていてもその仕事を遂行せざる負えなくなっていたともいえます。
オッペンハイマーの苦悩は、地球の苦悩・・・ 疑似体験しながら観てください。
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