ある会社の営業マンが取引先の社長を接待しようと、腕の良い板前さんのいる料亭での宴席をセッティングしました。
「今日は松島の牡蠣、萩のグジ、三陸の寒サバが入っておりますが・・・。」
と板前さんが素材の説明をすると、社長は
「いい素材ばかりなのに申し訳ないが、サバを味噌煮にしてくれないか?」
と、庶民的(?)な注文。
でも美味しそうに食べた社長は、上機嫌でお帰りになりました。
「もっと高級な魚貝があったのに・・・」
そう残念がる板前に、接待した営業マンが語ります。
「あの社長さんはね、昔会社を興したばかりの頃は貧乏で、サバの味噌煮缶ばかり食べていたんだそうだ。
缶詰を食べるたびに、早く会社を大きくして高級な物を食ってやるんだって思ったそうだ。
でも会社が軌道に乗ってからも、サバの味噌煮缶を食べ続けたんだって。
苦労した時を思い出して、もっと頑張ろうって気持が奮い立つそうなんだ。」
それを聞いた板前さんは、一言・・・「それって〝応援食〟ですネ。」
過去を顧みると、私にもそれに相当する食べ物があります。
・・・それは、吉野家の牛丼。
野球をやっていた大学時代、仕送り日前でピーピーしていた時に空腹を満たしてくれたのがヨシギューでした。
特盛なんてメニューになかった時代、食べ盛りの私にとって並み2杯で700円前後のヨシギューは救世主的存在。
(社会人になってお金が貯まったら、ブ厚いステーキ食ってやるゾ!)
以来、現在に至るまで何百杯食べたか分かりませんが、今でも吉野家に入るたびに学生時代の気持ちが蘇ります。
これ、他の牛丼店に入っても何故か同じ気持ちにはなれないんですょネ。
それは〝郷愁+α の思い〟が私の中に残っているからなのでしょう。
だから、ついつい吉野家を贔屓にしてしまうのです。
皆さんには、食べると元気になる昔懐かしい〝応援食〟はありますか?😊