題記のアルファベット・・・ゴルフをなさる方は、もうお分かりですょネ。
まずこれをキャディーバックに入れずにコースに出る人はいないであろう、サンドウェッジの略称です。
(と言っても、最近はクラブに〝S〟と刻印せず、58とか60などロフト角が入っているケースが多いですが。)
今日は、バンカー・ショットやグリーン周りのアプローチに欠かせないこのクラブの考案者にして、全米オープン・全英オープン・全米プロ、そしてマスターズ・トーナメントの四大メジャーを全て制した初のグランド・スラマーである
ジーン・サラゼン
Gene Sarazen
の命日・没後25周年にあたります。
1902年にニューヨーク州ハリソンに生まれたサラゼンの父親は、イタリア移民の大工さんでした。
家が貧しかったために、彼は小学校を中退して働き家計を助けたそうですが、10歳からキャディーを始めたことが彼の運命を決定づけました。
自然にゴルフをするようになった彼は、19歳でプロに転向。
150cmそこそこという小さな体ながら闘志の塊だった彼は、その翌年の1922年にいきなり全米オープンと全米プロで優勝。
更に翌年には全米プロを連破。
当時はプロゴルフ黎明期でライバルはウォルター・へーゲンら少数だったとはいえ、1932年に全米オープン2勝目と全英オープンで勝利を収めるのは偉業と言っていいでしょう。
そして〝球聖〟ボビー・ジョーンズが1934年から開催したマスターズ・トーナメントの第2回大会では、最終日の15番ロングホールで第2打を直接カップ・インさせる伝説的なダブル・イーグル(アルバトロス)を決めて逆転優勝。
史上初のグランドスラムを達成しました。
今でも毎年マスターズが開催されるオーガスタ・ナショナルの15番には、クリークに〝サラゼン・ブリッジ〟が架けられており、プレーヤー全員がこれを渡ってグリーンに歩を進めています。
約50年間の現役生活で、ツアー通算41勝(内シニア2勝)。
メジャー7勝はアーノルド・パーマーと並ぶ歴代7位タイ。
しかも最後に出場した1973年の全英オープンではホール・イン・ワンを達成。
これは現在に至るまでツアーにおける最高齢(71歳)記録でもあります。
そして冒頭ご紹介したサンドウェッジの発明ですが・・・実は厳密にいうと、このクラブを最初に考案したのは、彼のライバルであったウォルター・ヘーゲン。
しかし彼が1930年に考案したのは、ソールが凹んだ下駄型クラブで、翌年には使用禁止になってしまいます。
サラゼンは自宅裏にあったコースのバンカーでこのクラブの試打を繰り返した末に、それとは逆・・・つまり現在のサンドウェッジのようにバンス(ふくらみ)をつけることを思いついたのです。
残念ながら、私は彼の現役時代のプレーを生で観る機会はありませんでした。
私が知るサラゼンといえば、サラリーマン時代ゴルフに熱中していた頃に自らがコース監修を手掛けたコースで開催されていた 『ジーン・サラゼン・ジュン・クラシック・トーナメント』 のたびに毎年来日し、18番グリーン脇の特別席で選手たちを迎えていた姿。
その穏やかな顔立ちは、まさに好々爺・・・とても歴戦を勝ち抜いてきたプロゴルファーという感じがしなかったことを憶えています。
1974年に設立されると同時にゴルフ殿堂入りしたこの名ゴルファーが97歳で天寿を全うしたのは、20世紀最後の年・・・1999年5月13日のことでした。
伝説のプロゴルファーのご冥福を祈りつつ、彼が遺した名言のひとつを、皆様にご紹介致します。
〝スウィングの細部をいちいち考えているゴルファーは、大したことがない〟
・・・・・ギクッ。😨