没後100年 富岡鉄斎 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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今年2024年は、「最後の文人画家」と称された、

富岡鉄斎の没後100年目に当たる節目の年です。

それを記念して、“没後100年 富岡鉄斎”が、

この春、京都国立近代美術館で開催されています。

 

 

 

出展作品は、なんと約350点!
(会期中展示替えあり)

それらの中には、重要文化財に指定されている、

《阿倍仲麻呂明州望月図・円通大師呉門隠栖図》も。

(注:展示期間は4/2~4/14)

 

 

 

史上最大規模の富岡鉄斎展と言っても過言ではありません。

 

さて、文人画というと、なんとなく地味そうな印象、

なんとなく取っつきづらいような印象があるかもしれません。

正直に白状すると、僕は文人画に対して、若干苦手意識を持っていました。

しかし、本展のポスターには、大きく英語表記で『Tessai』とあり、

これまでの文人画のイメージを刷新させてくれそうなワクワク感があります。

 

 

 

きっと、この展覧会を観たら、鉄斎の魅力が、

さらには、文人画の魅力がわかるに違いない!

そう期待していたのですが・・・・・そうでもなかったです(笑)。

パネルもキャプションも、オーソドックスというか普通というか。

少なくとも、Tessai感(?)は感じられませんでした。

星

 

 

とはいえ、さまざまなタイプの鉄斎作品が観られたのは、純粋に良かったです。

山水図以外にも、意外と、いろんなジャンルの絵を描いていたのですね。

例えば、《鮮魚図》

 

 

 

決してリアリティがあるわけではないのですが、

なぜか妙にどれも美味しそうに感じられました。

地方のお寿司屋さんの看板に描かれていそうな感じ。

あるいは、こだわりのせんべいのパッケージに描かれていそうな感じです。

 

また例えば、《盆踊図》

 


 

 

鉄斎は、このような風俗画も描いていたのですね。

文人画家ということで、お祭りといった世俗的なものとは、

縁を切っていそうな人物を勝手に想像していただけに、意外な印象を受けました。

ちなみに、2図あるどちらにも、一回り身体が大きな女性が1人描かれています。

特定のモデルでもいるのでしょうか。

 

なお、意外な印象を受けたと言えば、こちらの《勾白字詩七絶》も。

 

 

 

色味もポップなら、テイストもポップ。

画中の人が、ポーズを作って、

必死に漢字を表そうとするさまは、

懐かしのモジモジ君を彷彿とさせるものがありました。

もしくは、TIMの漢字ネタ。

 

 

ちなみに。

鉄斎は、その約90年の生涯で10000点以上の作品を残しました。

中でもとりわけ多く描いたと言われるのが、富士山。

その数は数百点にも上るのだとか。

そんな数ある鉄斎の富士山画の中で、

最高傑作とされているのが、こちらの《富士山図》

 

 

 

右隻では、富士山の全景が立派に描かれています。

たなびく雲はまるで龍のよう。

これから何かが起こりそうな、

ただならぬ空気感のようなものが画面に満ちています。

 

一方、左隻は・・・・・

 

 

 

富士山の頂上が描かれていました。

よーく観ると、4人の人物が描かれています。

こちらもやはり、ただならぬ気配。

もしかしたら、4人はUFOを呼ぼうとしているところなのかも、

そう考えたら、左上の文字が、宇宙語のようにも見えてきました。

 

 

 

 

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