アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-タイトル  明日行きたくなる美術展情報をあなたに

星星星(3ツ星)
NEW雪舟伝説―「画聖」の誕生―  京都国立博物館(~5/26)
もうすぐ…没後50年 福田平八郎  大阪中之島美術館(~5/6)
  ・マティス 自由なフォルム  国立新美術館(~5/27)
  ・開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z  東京都庭園美術館(~5/12)
  ・チームラボボーダレス
  
星星(2ツ星)
NEW金屏風の祭典 ―黄金の世界へようこそ―  岡田美術館(~6/2)
NEW村上隆 もののけ 京都  京都市京セラ美術館(~9/1)
  ・加山又造 ―革新をもとめて  下瀬美術館(~6/30)
  ・サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品  サントリー美術館(~6/16)
  ・テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本  パナソニック汐留美術館(~6/9)
  ・没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家  渋谷区立松濤美術館(~6/9)
  ・大吉原展  東京藝術大学大学美術館(~5/19)
  ・宇野亞喜良展 aquirax uno  東京オペラシティアートギャラリー(~6/16)
  ・マツオヒロミ展 レトロモダンファンタジア  弥生美術館(~6/30)
  ・ブランクーシ 本質を象る  アーティゾン美術館(~7/7)
  ・イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い  宇都宮美術館(~5/12)
  ・北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画  SOMPO美術館(~6/9)
もうすぐ…春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術  府中市美術館(~5/6)
  ・カール・アンドレ 彫刻と詩、その間  DIC川村記念美術館(~6/30)
  ・ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?  国立西洋美術館(~5/12)
  ・南桂子銅版画展 ― 春  ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション(~5/19)
  ・ライトアップ木島櫻谷-四季連作大屏風と沁みる「生写し」  泉屋博古館東京(~5/12)
  ・MUCA展 Icons of Urban Art  森アーツセンターギャラリー(~6/2)
  ・こどものみなさまへ あれ これ いのち  ちひろ美術館・東京(~6/16)
  ・第8回 横浜トリエンナーレ  横浜美術館他(~6/9)
  ・こどものみなさまへ あ・そ・ぼ  安曇野ちひろ美術館(~6/2)
  ・アブソリュート・チェアーズ  埼玉県立近代美術館(~5/12)
もうすぐ…パーフェクト・カモフラージュ展 私はアートになりたい  ワタリウム美術館(~5/6)
  ・館長!これどうするんですか!?  アクセサリーミュージアム(~5/25)
  ・モダン・タイムス・イン・パリ1925  ポーラ美術館(~5/19)
  ・ピカソ いのちの讃歌  ヨックモックミュージアム(~9/23)
  ・第五回「私の代表作」展  ホキ美術館(~5/12)

星(1ツ星)
NEW翻訳できない わたしの言葉  東京都現代美術館(~7/7)
NEWホー・ツーニェン エージェントのA  東京都現代美術館(~7/7)
  ・没後100年 富岡鉄斎  京都国立近代美術館(~5/26)
  ・タローのダンス  岡本太郎記念館(~7/7)
  ・夢二がえがく動物ワンダーランド  竹久夢二美術館(~6/30)
  ・版画の青春 小野忠重と版画運動  町田市立国際版画美術館(~5/19)
  ・未来のかけら: 科学とデザインの実験室  21_21 DESIGN SIGHT(~8/12)
  ・フランシス真悟「Exploring Color and Space」  茅ケ崎市美術館(~6/9)
  ・にほんの洋食器ものがたり 120年のみちのり  ノリタケミュージアム(~12/25)
  ・遠距離現在 Universal / Remote  国立新美術館(~6/3)
  ・つかの間の停泊者  銀座メゾンエルメスフォーラム(~5/31)
  ・キリスト教交流史―宣教師のみた日本、アジア―  東洋文庫ミュージアム(~5/12)
  ・共棲の間合い -『確かさ』と共に生きるには-  東京都渋谷公園通りギャラリー(~5/12)
  ・旅するピーナッツ。  スヌーピーミュージアム(~9/1)
  ・活字の種を作った人々  市谷の杜 本と活字館(~6/2) 

現在、目黒区美術館で開催されているのは、

“青山悟 刺繍少年フォーエバー”という展覧会。

目黒区出身、目黒区在住の現代美術作家、

青山悟さんの美術館では初となる大規模個展です。

 

 

 

青山悟さんは、展覧会のタイトルにもある通り、

工業用ミシンを用いて、刺繍で作品を制作するアーティストです。

展覧会タイトルのバナーの隣にぶら下がっているランプも・・・・・

 

 

 

実は、刺繍で制作されています。
(さすがに展覧会タイトルは、刺繍ではないですが)

 

本展では、目黒区内の駐車場をモチーフにしたという初期の貴重な作品から、

 

 

 

コロナ禍に制作された一連の作品群、

 

 

 

本展のために目黒区内の小学生たちと共同で制作した最新作まで。

 

 

 

実に多数で多彩な作品が紹介されています。

それらの中には、2014年から15年にかけて制作された《About Painting》も。

 

 

 

こちらは、青山さん流のポジションマップです。

縦の軸は、Radical―Conservative。

横の軸は、 Social―Personal。

そこに20世紀を代表する名画を配置していくというものです。

なお、作品はすべて刺繍で再現されています。

さらに、テキストもすべて青山さんの手描きです。

 

 

 

なお、今回の《About Painting》は、

目黒区美術館仕様にバージョンアップされており。

目黒区美術館コレクションも数点加わっていました。

(選ばれた作品は、実物も併せて展示されています)

 

 

 

また、もっともPersonalな作品には、

青山龍水なるマイナーな(?)洋画家の作品が置かれていました。

 

 

 

実はこの方は、青山悟さんの実の祖父。

二科会において東郷青児のもと、

常務理事まで登り詰めた洋画家なのだそうです。

本展では、そんな青山龍水と孫のコラボも実現していました。

 

 

 

左は、青山龍水が描いた少女の絵。

右は、その絵と同じ構図で、

刺繍で表現されたドイツのメルケル元首相です。

こうして並べてみると、メルケル元首相が少しだけ可愛らしく思えました(←?)。

 

 

ちなみに。

本展のサブタイトルは、“永遠なんてあるのでしょうか”です。

ザ・ブルーハーツの歌詞を彷彿とさせますが、

この言葉は、近年、青山さんが取り組んでいるテーマなのだそう。

時代とともに社会から姿を消そうとしているさまざまな「消えゆくもの」。

そういったものを刺繍で制作しているのだそうです。

例えば切符であったり、例えば雑誌であったり。

 

 

 

さらに、床に置かれたこれらもすべて、

“永遠なんてあるのでしょうか”のシリーズ作品。

 

 

 

落ち葉もタバコの吸い殻もすべて刺繍で制作されています。

くしゃっとなった展覧会のチラシも、もちろん刺繍。

 

 

 

こちらのレシートも、刺繍で作られています。

 

 

 

↑なお、この作品のタイトルは、

《Throw Away Receipt(2020年のマクドナルド)》とのこと。

確かに、言われてみれば、マックのレシートです。

264番の番号札が付いています。

 

 

さてさて、展覧会では他にも、蓄光糸を用いた作品や、

 

 

 

資本主義や労働問題をテーマに制作した作品など、

 

 

 

さまざまなタイプの作品が紹介されています。

刺繍作品の展覧会とだけ聞くと、

いわゆる刺繍の作品が並べられているのかと思うでしょうが、

青山さんの展覧会は、決してそう単純なものではありません。

刺繍という手法を用いた現代アートの展覧会。

唯一無二の世界観の現代美術展です。

星星

 

 

ちなみに。

個人的に一番印象に残ったのは、

「News From Nowhere」シリーズです。

 

 

 

「News From Nowhere」とは、ウィリアム・モリスによる小説のタイトル。

ある朝目覚めると、19世紀に生きる主人公は、

社会主義の実現した22世紀のロンドンにタイムスリップしていた?!

そんな『不適切にもほどがある』ような内容の小説なのだそうです。

それにインスパイアされたのが、こちらの「News From Nowhere」シリーズ。

19世紀の挿絵(本物)の上に刺繍が施されています。

 

 

 

女性たちが身にまとっているのは、

21世紀を生きる欧米のセレブたちのファッション。

この女性がに施されているのは、テイラー・スウィフトのものだそうです。

意外と違和感はありません。

 

なお、この女性が着ているのは、ビョークのファッションとのこと。

 

 

 

こちらは、違和感しかありません(笑)。

 

 

 

 

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