突然_6 | 忘れられない記憶 ~ごめんね、そしてありがとう~

突然_6

叔父からの電話を片手でハンドルを握ったまま取る僕。


「もしもし!」

自然と声が大きくなる。

「シンジか?」

そう喋る叔父の声は少しだけこもっていた。

さっき僕がナミちゃんに電話した時のように。

「親父さん、さっき亡くなったからなぁ、

 もう急いで帰らなくていいぞ。

 お前まで事故でもしたら大変だからな・・・」

そう伝える叔父の声は涙声になっていた。


「・・・分かった」

僕もそう答えるのが精一杯だった。


ピッ・・・

電話を切った僕の頭に浮かぶ言葉。

親父が・・・死んだ・・・


僕の眼からはさっき流した量以上の涙が溢れてきた。

僕はそれを拭う事もせずに、ハンドルを握り締めた。

「うわぁーーーー!」

気がつくと僕は叫んでいた。

僕の頭に浮かぶその言葉を振り払うように。

誰にも聞かれなくてすむ、たった一人の車の中で・・・



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