突然_5 | 忘れられない記憶 ~ごめんね、そしてありがとう~

突然_5

「僕、まだ何もしてやってないのに!


 まだ親父に何も返していないのに!」

嗚咽と共に喋る僕の眼には涙が溢れ、

声はもう完全に涙声となっていた。


「うぐぅ・・・えっぐ・・・」

僕が泣き止むのをナミちゃんは無言で待ってくれた。

よく考えれば迷惑な話しだ。

突然電話をかけてきて、勝手に泣いているのだから。


しばらくして僕は気持ちが一旦落ち着くと、

慌ててナミちゃんに意識を戻した。

「あっ・・・ごめん。こんな話されても困るよね?

 明日も仕事だろうし、もう切るよ」

こんなみっともない姿を見せてばかりの僕だったけど、

ナミちゃんは

「ううん、気をつけてね」

そう言ってくれて僕達は電話を切った。

実際僕はまだ高速を運転中で、

確かに運転に集中しなければならなかった。


だけどその僕の考えを邪魔するかのように、

突然電話が鳴り響いた。

プルルー・・・プルルー・・・

画面には、叔父の番号が表示されていた・・・




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