教祖誕生(1993年) | 勝手に映画紹介!?

教祖誕生(1993年)

教祖誕生 [DVD]

 

WOWOWの“あなたの映画館”という視聴者リクエスト企画で…「教祖誕生」が放送されていたのでエアチェック。1993年の旧作だが、WOWOWでは今回が初放送だった。ビートたけし原作の同名小説を、「その男、凶暴につき」や「ソナチネ」で監督補を務めていた天間敏広が監督に抜擢され映像化。最近はプロ雀士としての活躍が目立つ萩原聖人が、宗教団体の教祖に祭り上げられる青年を熱演、殿本人も教団運営のキーマン役で出演。岸部一徳、下条正巳、国舞亜矢、寺島進など…北野映画経験者のほか、教団信者役で玉置浩二なども出ていたね。

 

実家へ帰省途中だった高山和夫は、インチキ臭い宗教組織の一段と遭遇…興味本位で、教祖と称する男が、パフォーマンスを繰り広げる様子の一部始終を目撃し、自分も興味を覚える。教団の運営を管理する主管の司馬大介による口添えもあり同行を許された和夫。やがて元ホームレスの初代教祖が、司馬の指示を無視して暴走しはじめたため対立が生じ、初代教祖は追い出されてしまう。そこで二代目教祖に白羽の矢が立ったのが和夫だった。信仰と真面目に向き合う信者・駒村哲治の後押しもあり、和夫は段々と教祖としての自覚に目覚めはじめ…。

 

過去に鑑賞経験はある…劇場公開が93年なので、その後、数年以内にはテレビ放送されてたはずで、確かフジテレビのゴールデン洋画劇場(洋画劇場って番組名だけど、邦画も放送してた)でテレビ初放送されたんじゃないかなと記憶。ノーカットで放送されたかどうかまでは、ちょっと覚えてないんだけど…その放送をVHSに録画して鑑賞したんだよ。インチキ宗教団体の内幕もので…サリン事件を起こす前から、何かと世間を騒がせていたオウム真理教なんかも、かなりモデルにしているんじゃないかなと。原作や映画の発表は、サリン事件よりも前だな…。

 

所詮、宗教なんてまがいもの…信じる方が馬鹿を見るという現実を描く一方、因果応報というスピリチュアルなメッセージも併せ持つ、ビートたけしらしい“毒と笑い”でシニカルに綴ったコメディ。天間監督が、しっかりと北野映画のDNAを継承しており(共同脚本の1人で、北野組のスクリプターとして有名な中田秀子女史もクレジットされてるし)…“これも本人が監督している北野映画の一つ”なのではないかと錯覚を覚えてしまうくらい、雰囲気作りや、間の取り方は似ている。こうしてみると殿(ビートたけし)の芝居も「その男、凶暴につき」の我妻刑事に似ている。

 

ギャグと暴力…殿が初代インチキ教祖・下条正巳(寅さんのおいちゃん)をボコボコにするところも凄かったが、オイラ的には、たかりに来たチンピラ寺島進を、人目の付かない場所に誘い出した岸部一徳が、態度を一変させて、やっぱりフルボッコにするところが、一番…本家北野映画譲りな“怖さ”が出ていたなと、印象に残ったシーンだ。一徳さんの演技が迫力あるよね…いつもはヌボーっとして、殿に対し、下手に出ることも多いんだけど、本当はこっちの方がもっとヤバい奴なんじゃないかなっていうのが、一瞬垣間見える感じの演技がマジで素晴らしかった。

 

あと…教団関係者の多くが、インチキ、金儲けくらいにしか考えていないのに、教えを信じ、殿、一徳さんら運営側としばし対立する堅物信者役の玉置浩二の…一瞬、玉置浩二だってわからないくらいのオーラのなさ、玉置浩二を全く感じさせない演技が、秀逸だ。元チェッカーズの藤井尚之が音楽を担当、一見、シャレオツで不似合いにかっこよさげな音楽だったりするんだけど…意外と胡散臭い映画の内容とマッチ。布教活動を終えた教団一行が、駅にやって来て、ローカル線で移動するシーンがあるんだけど、そこでの音楽と映像のハマリ具合が好きだな。

 

 

監督:天間敏広

出演:萩原聖人 玉置浩二 岸部一徳 ビートたけし 下絛正巳 山口美也子 もたいまさこ 国舞亜矢 南美江

 

 

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