16.思わぬメディアの取材 - 「ちょっと変わった店」として地元メディアに紹介される | ロジウラブックス営業雑感

ロジウラブックス営業雑感

北海道から鹿児島に移住して10年経ちました。
薩摩川内市の複合商業施設Soko Kakaka(ソーコカカカ)に古本とタロット占いの『ロジウラブックス』をオープンします。

思わぬメディアの取材 - 「ちょっと変わった店」として地元メディアに紹介される

タロット占いを取り入れた「本日のおすすめメニュー」

これは、ただの思いつきだった。

でも、これが意外なほどお客さんの反応を呼んだ
 

「へぇ、今日の運勢で料理が決まるんですか?」

「面白いですね! じゃあ、今日は“太陽”だからスパイシーチキンカレーなんですね!」

「占いもしてもらえるんですか?」

最初は興味本位だったお客さんが、どんどんリピーターになっていった。

ランチタイムに並ぶ人が増え、店の売上も少しずつ上がってきた。
 

「ユウスケさん、これヤバくないですか?」

ナオキが厨房で興奮気味に言った。

「正直、ここまで反応があるとは思わなかったな……」

「占い好きな人って、こんなにいるんですね!」

“食事”と“運勢”を結びつける発想 が、意外なニーズを引き出していた。
 

「今日は何を食べよう?」 という日常の選択に、ちょっとした占いの要素が加わるだけで、食事の時間が楽しくなる

これは、俺自身がタロットをやっていたからこそ生まれた発想だった。


ある日、突然の取材依頼

そんなある日、店に一本の電話がかかってきた。

「はい、○○レストランです」

ナオキが電話を取ると、しばらく沈黙した後、俺のほうを見て驚いた顔をした。

「えっ……!? 取材ですか?」

俺は思わず包丁を持った手を止めた。

取材?

「はい、ちょっと確認してみます……」

ナオキは電話を切ると、俺のほうを向いた。
 

「ユウスケさん、地元のテレビ局から取材の申し込みが来てます!」

「……マジか?」

「なんでも、“ちょっと変わったお店”を特集するコーナーらしくて。ウチの“占いで決まるおすすめメニュー”が話題になってるみたいです!」

俺は耳を疑った。

テレビの取材なんて、全く想定していなかった。
 

「いつの間に、そんなに話題になったんだ?」

「たぶん、SNSですね。最近、お客さんが『このお店、タロットでメニューが決まるの面白い!』って投稿してたみたいです」

ナオキがスマホを取り出し、SNSの投稿を見せてくれた。

「“占いと料理の融合” って珍しいし、なんかエンタメ性があるんでしょうね」

確かに、俺ももし客の立場なら、「そんな変わった店があるのか?」と興味を持つかもしれない。
 

「……それで、取材、受けるのか?」

「もちろんですよ! こんなチャンス、滅多にないです!」

ナオキは興奮気味に言った。

「ユウスケさん、タロットもちゃんとやりましょうよ!」

「……俺が?」

「だって、ユウスケさんがこの発想を作ったんだから、そこをしっかり伝えたほうがいいですよ!」

確かに、俺がタロットをやっていたことが、この店のユニークさに繋がっている。
 

もしかすると、俺の人生の中で“占い”と“料理”が交わることは、最初から決まっていたのかもしれない。

俺は一度深呼吸して、ゆっくりと言った。

「……わかった。取材、受けよう」


取材当日

数日後、カメラを持った取材クルーが店にやってきた。

レポーターの女性は明るい笑顔で、さっそく店の雰囲気を撮影し始めた。

「こんにちは! 今日は、“ちょっと変わったレストラン”をご紹介します!」

カメラが回り始め、俺たちはインタビューを受けることになった。
 

「このお店では、タロットカードを使って“本日のおすすめメニュー”が決まるそうですが、一体どういう仕組みなんですか?」

俺は、タロットカードを手に取りながら説明した。

「タロットは、人生の流れを示すものです。食事も同じで、“今日はこんな気分”という直感を大切にすると、より美味しく感じられるんです」

「へぇ〜! では、今日のメニューは何ですか?」

俺はカメラの前で、タロットカードを一枚引いた。
 

「お、これは“星”のカードですね」

「星、ですか?」

「ええ。希望や夢を象徴するカードです。なので、今日は“爽やかなハーブチキン”をおすすめします」

「面白いですね! まるで運勢を味わうみたい!」

俺は少し照れくさかったが、カメラの前で堂々と説明する自分に驚いていた。

57歳、もう人生は下り坂だと思っていた。

でも、今こうして、俺の考えたアイデアが注目され、取材まで受けている。

これは、タフティメソッドの影響なのか? それとも、「運命の輪」 が俺をこの道へ導いているのか?

どちらにせよ、俺は今、新しい未来を歩んでいる。
 

「これからも、このスタイルでお店を続けていきますか?」

レポーターが最後にそう聞いてきた。

俺は笑って、はっきりと答えた。

「もちろんです。これは、私の新しい人生の一歩ですから」

カメラが止まり、スタッフが「ありがとうございました!」と言って去っていった後、ナオキが俺の肩を叩いた。
 

「ユウスケさん、めっちゃカッコよかったっすよ!」

「……そうか?」

「はい! これ、絶対店の人気が上がりますよ!」

俺はふっと笑った。

俺の人生、まだまだ面白くなりそうだ。