15.占い×料理の融合 - タロットのアドバイスを料理に活かす発想が生まれる | ロジウラブックス営業雑感

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北海道から鹿児島に移住して10年経ちました。
薩摩川内市の複合商業施設Soko Kakaka(ソーコカカカ)に古本とタロット占いの『ロジウラブックス』をオープンします。

占い×料理の融合 - タロットのアドバイスを料理に活かす発想が生まれる

「料理長、やってみるか……」

そう決断し、俺はついに実家を出ることになった。

住み込みの部屋は、店の上にある小さなワンルーム。最低限の家具しかないが、久しぶりの**「自分だけの空間」** というだけで、なんだか新鮮だった。

57歳にしてようやく独立。遅すぎるかもしれないが、俺にとっては大きな一歩だ。

「ここから、何かが変わるんだろうか……」

そんなことを思いながら、俺は店の厨房に立った。


初日の試練

厨房に入ると、ナオキが元気よく声をかけてきた。

「ユウスケさん! さっそくお願いします!」

「おう、任せろ」

久しぶりの厨房。だが、手は自然と動いた。やっぱり俺の中には、料理人としての血が流れている らしい。

だが、現実は甘くなかった。

「ユウスケさん、この店、ちょっとピンチなんですよ」

「ピンチ?」

「ええ……お客さん、思ったより少なくて」

ナオキの言葉に、俺は店内を見渡した。

ランチタイムだというのに、客は数組しかいない。

「こんな状態が続いたら、マジでヤバいです……」

「なるほどな……」

ただ料理を作るだけじゃダメだ。

俺は、どうにかしてこの店を立て直す方法を考えなければならなかった。


タロットを思い出す

夜、部屋に戻って一息ついた俺は、ふとタロットカードを手に取った。

「……そういえば、俺、占いもやってたんだよな」

ここ最近は、タロットなんてすっかり忘れていた。

だが、俺はかつてタロット占い師として生計を立てようとしていた

結果的にはうまくいかず、店を畳むことになったが、それでもタロットの知識は俺の中に残っている。

「タロットで、この店をどうにかできないか?」

そんな考えがふと頭をよぎった。

俺は何気なくカードをシャッフルし、一枚引いてみた。

──「カップのエース」

「……カップのエース、か」

これは、「新たな感情の始まり」「心を満たすもの」「愛情や幸福」を意味するカードだ。

「もしかして、この店に必要なのは、ただの料理じゃなくて、“心が満たされる何か” なのか?

俺はしばらく考え込んだ。

料理が美味しいだけでは、人は集まらない。

それだけじゃ、他の店と変わらない。

「占い×料理」

──この発想は、俺の中で少しずつ形になり始めていた。


タロットで“本日のおすすめ”を決める?

次の日、俺はナオキに提案してみた。

「ナオキ、この店、ちょっと変わったことをやってみないか?」

「変わったこと?」

タロットで “本日のおすすめ” を決めるってのはどうだ?

ナオキは目を丸くした。

「タロットで……? 料理を?」

「そうだ。お客さんの中には、占いが好きな人もいるだろうし、“今日はどんな料理が出てくるんだろう” って楽しみにしてくれるかもしれない」

ナオキはしばらく考え込んだあと、面白そうに笑った。

「……アリかもしれませんね!」

「だろ?」

こうして、俺の新しい試みが始まった。


占い×料理の新メニュー

俺は、タロットカードをシャッフルし、一枚ずつ引きながらメニューを考えることにした。

例えば──

「太陽」 → 明るく元気な気分になれる「スパイシーチキンカレー」
「月」 → じっくり味わう「きのこのクリームパスタ」
「星」 → 軽やかで爽やかな「レモンハーブチキン」

そんな風に、その日の「運勢」に合わせた料理を提供する。

店の入り口には**「今日のおすすめ料理は、タロットが決めました!」** という黒板を立てかけた。

「これで、お客さんの反応がどうなるかだな……」

俺はそう呟きながら、料理と占いの融合 という、新しい試みにワクワクしていた。

57歳にして、新たな挑戦。

この道が正しいのかは分からない。

でも、「運命の輪」 は、確かに回り始めている。