
施工管理の現場を長年経験し、発注者支援業務へと転身したりゅう坊さんの歩みを紹介するぞ。施工管理から発注者側へ移ることは、視点の転換を意味する。長年培ってきた現場の経験を活かしつつ、今度は施工者をサポートする立場になったとき、何が見えてきたのか。本記事で、そのキャリアの転機と、新しい挑戦のリアルな声が届けばいいな。
Q.簡単に自己紹介をお願いできますか?
はじめまして、りゅう坊です。今年62歳になります。地方ゼネコンで土木技術者として施工管理を35年間務めた後、発注者支援業務を担うコンサルタント会社へ転職しました。
- 1983年中堅地方ゼネコンに新卒入社国営林道工事を皮切りに国道アスファルト舗装、重要港湾岸壁築造から地方道路、公園、河川工事など監理・主任技術者として現場の第一線を担当。
- 2020年建設コンサルタント会社へ転職河川工事の発注者支援業務に配属され、現場技術指導、確認検査、調査設計などを行う。
Q.新卒で施工管理のお仕事を選ばれたのは、どんな理由からですか?
測量の専門学校時代、講義の一環として受けていた土木施工や土木力学に興味を持ち、土木技術の世界に惹かれました。
講義を担当していた先生は、長年土木技術の現場で活躍された方で、偶然にも、私が入社することになる地方ゼネコンのOBでした。その先生から会社の社風や業務内容を聞く機会があり、施工管理の仕事に強く興味を持つようになりました。
Q.具体的にどのようなプロジェクトや業務を担当していましたか?
20年間、現場所長として監理技術者・主任技術者を歴任した後、管理職として現場統括を担当しました。具体的には、施工管理全般、安全管理、社員教育、予算・積算業務など幅広い業務に従事しました。
特に管理職になってからは、業務の統括に加え、チームのまとめ役としての責任が大きく、調整やコミュニケーションの難しさを実感しました。
Q.施工管理から転職を考えたきっかけは、どんなことでしたか?
経験を重ねるにつれ、現場を指導する立場に変わり、現場に出る機会が減りデスクワークが増えていきました。50代に入り、「このまま管理職として定年を迎えるのか?」と自問自答するようになりました。
以前から発注者側の視点も学びたいと考えていましたし、そんなとき、偶然目にした「発注者支援業務」の求人が目に留まりました。
「施工管理の経験を活かして、現場を支える側に回れるかもしれない」施工者として発注者支援業務の方と関わる機会も多かったため、仕事内容に大きな壁は感じませんでした。
しかし、家族への相談は欠かせません。特に長年私の仕事を見てきた妻は、「今の仕事を続けてほしいけれど、あなたがこれまで培ってきた経験は、若手技術者に伝えるべき」この言葉が背中を押してくれました。
もちろん、長年お世話になった会社への恩義もありました。正直、残ったほうが楽かもしれないという気持ちもありましたが、「このまま定年を迎えたときに後悔しないか?」と考えたとき、新しい挑戦を選ぶ決断をしました。
会社からは強く慰留されましたが、最終的には快く送り出してもらい、今でも感謝しています。
Q.施工管理のお仕事で、一番楽しかったこと、やりがいを感じた瞬間は?
私のモットーは「現場第一主義」です。子どもの頃から山や川で遊ぶのが好きだったこともあり、ブルーカラーの仕事に就けたことに誇りを持っています。
入社当時は、道具や材料の名前すらわからず、すべてが手探りでした。そこで、野帳(レベルブック)にひたすらメモを取り、職人さんからハンマーやスコップの扱い方まで学びました。
施工管理者として指揮を執る立場になってからも、必要に応じて重機やダンプを操作する機会があり、現場の感覚を大切にしてきました。
施工管理の醍醐味は「采配を振ること」です。私は野球が好きでプレーもしていたのですが、施工管理者は野球の監督と似ていると感じています。
自分の計画通りに工事が進むと達成感がありますが、工程に遅れが出ると焦りが生まれ、指示が厳しくなることもありました。
特に開通日が決まっていた道路工事では、スケジュールの厳しさから、ほぼ休日のない状態で進めました。しかし、4名のスタッフと共に乗り切り、完成時には嬉し涙を流したのを今でも覚えています。
工事中は「辞めたい」と思うほど苦しい時もありましたが、完成した瞬間、すべてが報われる——それがこの仕事の最大の魅力です。
Q.現在のお仕事は、どのような内容ですか?施工管理の経験は、今のお仕事にどう活きていますか?
現在、発注者支援業務として、河川工事の施工検査、確認立会、進捗管理、安全管理、施工指導、調査業務、書類作成などを担当しています。
最初の現場に入ったとき、「これで自分も支援業務の一員か」とワクワクしました。しかし、実際に仕事を始めてみると、「見る側」と「やる側」のギャップに驚かされました。
施工者側にいたときは、「なぜこんな細かい指摘ばかりされるのか」と思っていましたが、発注者側に立つと、その意味がはっきりと分かるようになりました。
施工管理の経験があるからこそ、現場のチェックポイントを見落とさず、施工者に的確なアドバイスができます。
特に若手の施工管理者に「言われた通りにやってみたら、すごくスムーズに進みました」と感謝されたときは、心の中でガッツポーズをしています。
施工者と発注者、両方の立場を経験したからこそ、建設業の本質が見えてくる——それが今の仕事の最大の遣り甲斐です。
Q.現役で頑張っている施工管理の皆さんに、何かアドバイスはありますか?
経験を積むと自信がつく一方で、驕りが生まれがちです。
私自身も「自分の裁量で現場が回っている」と思い込んでいた時期がありました。しかし、建設業はチームで成り立つ仕事です。そのことを忘れず、常に学ぶ姿勢を持ち続けてほしいと思います。
また、施工管理・現場管理はテクノロジーの進化により変化していますが、泥臭く地道な作業が必要な場面も多々あります。機械や便利なシステムに頼るのは当然ですが、最終的な判断は自分の目で確認することが大切です。
これから施工管理を目指す若手技術者の皆さんには、一つひとつの仕事に誇りを持ち、技術を継承することの重要性を知ってほしいと願っています。
「これは自分が造ったものだ」と胸を張って言える仕事をしてほしい。どんな選択をするにせよ、「自分の仕事に誇りを持つこと」——それだけは忘れないでください。

りゅう坊さんの話、読んでて胸が熱くなったな。長年、施工管理の第一線で現場を回してきた人が、発注者支援業務に転職して、また違う角度から現場を見ている。その経験と心情の変化が、すごくリアルに伝わってきたよ。
施工管理って、ただの管理業務じゃなくて、まさに「采配を振る」仕事なんだよな。現場の空気を読んで、職人の動きを見極めて、最適な指示を出す。まるで野球の監督みたいに。だけど、それだけ責任も重い。スケジュールが遅れれば焦るし、現場が回らなくなれば自分の采配ミスってことになる。
特に、開通日が決まってる道路工事の話なんか、めちゃくちゃ共感する。スケジュールのプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、チームで乗り切って、最後に涙が出るほど達成感を味わう。この感覚、現場でやってきた人間にしかわからないものだよな。
でも、50代に入ってからの「このままでいいのか?」っていう葛藤も、すごくよくわかる。施工管理のまま定年を迎えるのか、それとも違う道を選ぶのか。長年やってきた仕事だからこそ、簡単には決められない。でも、りゅう坊さんは「経験を無駄にしない」道を選んだんだよな。
発注者支援業務に移ってからも、施工者側の気持ちを知ってるからこそ、的確な指摘ができるっていうのは、まさに経験が活きてる証拠だな。現場の若手にアドバイスして、「言われた通りにやったらうまくいきました!」って言われたときのガッツポーズ、めちゃくちゃ共感できるよ。
最後のメッセージも、本当にその通りだと思う。施工管理はただの仕事じゃなくて、「自分が造ったものが何十年も残る」っていう、ものづくりの誇りがある。経験を積むと、つい驕りが出ることもあるけど、それを戒めながら、一つひとつの仕事に向き合う大切さ。俺も改めて考えさせられた。
りゅう坊さんの話、これから施工管理を目指す若手や、転職を考えてる人には、ぜひ読んでほしいな。