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三体

三体

かなり前(数年ほど前)に話題になった中国初のSF小説『三体』はテンセント版Netflix版との二つの実写番がありますが、二つとも何度か鑑賞したとろ、甲乙つけがたい感じで楽しめる作品でした。本記事の後半は作品のSFのテクノロジーについて書きますが、本作品はテクノロジーに興味が無くて、中国的史観を思い描きながら観ると楽しめます。ドラマを鑑賞して興味を持たれた方は小説版も楽しんでいただくことをおすすめしたいです。

三体(テンセント版)

三体(Amazon Prime テンセント版)

文化大革命の生鮮な悲劇から始まるNetflix版

文化大革命

生粋の中国人作家のSF作品ならでは、冒頭は中国の文化大革命から始まります。中国で1966年から1976年まで続いた文化大革命は、中国人の知識階級一般(特に西洋留学組)には負の悲劇の歴史として認識されています。西洋一般にもアジア(中国)の負の歴史として捉えられています。文化大革命の中身は中国共産党内部での権力闘争でしたが、中国社会は10年も混乱することになります。文化大革命では知識階級、大学教授クラスが次々に粛清され、Netflix版は原作同様、文化大革命のシーンを冒頭に持ってきており、そのむごたらしさをしっかり描写しています。今でもその時代の生き残りの方がいますので、西洋では彼らへのインタビューをもとにいくつものレポートや書籍が出版されています。

Netflix版のスタッフはゲーム・オブ・スローンズの製作陣が担っていてその残虐性の描写は遠慮ないという感じです。文化大革命の描写は、キャラクターの人類理解に繋がる部分ですので、原作に忠実です。一方でNetflix版は登場人物を、原作では中国人メインであったところを、多人種(オックスフォード5)に置き換えて万人受けするように改変しています。なおその改変は製作者と原作者の劉慈欣リウ・ツーシン氏とZoom会議で練り込んで変えたものらしく、適当に西洋人に置き換えたキャラを組み替えたわけではないそうです。

配偶者
批闘で殺害
配偶者
後に殺害
葉文潔(イエ・ウェンジェ)
葉文雪(イエ・ウェンシュエ)
紹琳(シャオ・リン)
葉哲泰(イエ・ジョータイ)
楊衛寧(ヤン・ウェイニン)

批闘される人物(物理学教授の葉哲泰)にかぶせられている三角帽子のシーンは文化大革命の代名詞的なものです。この葉哲泰は西洋のビッグバン理論や相対論を精華大学の基礎科目に取り入れたことで批判され、この大衆の前でシバかれるシーンに至っています。なおチクったのは妻であり、同大学の物理学部教授の紹琳(シャオ・リン)です。なお、葉哲泰 (イエ・ジョータイ)は本作『三体』の主人公の一人、葉文潔(イエ・ウェンジエ)のです。その父を殴り殺すのは葉文潔(イエ・ウェンジエ)の妹、葉文雪(イエ・ウェンシュエ)(つまり葉哲泰の娘)という、なんとも言えない悲劇です。家族にチクられ自分の子供に殴り殺される、同様のことは共産主義下の旧ソ連でも行われました。

文化大革命は、つまるところ、毛沢東が自分の大躍進政策の失敗した時、自分が権力を失いかけるときに、権力の座を奪いに来るのは劉少奇(リウ・シャオチー)だとみこして、というか心配して、劉少奇を失脚させるために企てた人民(大衆)動員型の争乱(権力闘争)です。この騒乱がエスカレートして中国国内では比類ない悲劇になるのですが、この時に徹底的に利用されたのが紅衛兵(若くて頭の弱い鉄砲玉)です。葉文雪(イエ・ウェンシュエ)はまだ幼く頭も弱い時期だったので、プロパガンダに踊らされ紅衛兵として父を撲殺するという道化をやってしまいます。

このシーンは中国史研究家にとってはよくできている場面らしく、映像としての赤色の使い方も、現在の中国で赤ではなく当時はあのような赤色だったそうです。三体の内容はどうでもいいという人でも、Netflix版の文化革命シーンは戦慄を覚えるそうです。私はそこまで味わえませんが、悲劇の描き方がすごいですね。でも、作品としては文化大革命の話ではないのでこの程度で抑えておいてくれて十分です。

尚、小説で読む方は、おそらく単行本化されたものを読むことになると思うのですが、冒頭の文化大革命の描写は、単行本化されたものは中ほどに「回顧」という形で入れ込まれて持ち味が薄まっています(表現とインパクトをやわらげた)。連載時の構成をそのまま使うと中央政府に目を付けられることを、出版社側が危惧したすらだとされています。文化大革命のシーンはNetflix版だけを見ておけば、あとは小説を読んでも、テンセント版を見ても、アニメ版を見ても本作は十分に味わえますよ。葉文潔の抑え込まれた人類文明への宿怨が理解できれば良しです。

三体を雑にまとめると

葉文潔(イエ・ウェンジエ)

三体は中国のSF作家劉慈欣リウ・ツーシン)の三部作、長編宇宙叙事詩で上流知識階級のネイティブ中国人でも何度も読破に挫折するという大作です(私の知る限り三分の一ほど読むと疲れてしばらく本を開かなくなったらしい)。日本では早川書房から出版されています。内容は物理学者を中心に世界中の科学者が謎の自殺をして、4光年先の惑星から三体人というエイリアンが地球を侵略しにくるという話です。これを防ぐために、地球側が手立てを講じますが、三体人のテクノロジーがすごくてかなわない、どうしようという流れになっています。その三体人を招き入れたのが若き日の女性物理学者葉文潔イエ・ウェンジエ)の愚かな行いでした。

ストーリーの追っかけ方としてはの葉文潔イエ・ウェンジエ)に注目するのが簡単です。テンセント版の若き日の葉文潔イエ・ウェンジエ)は美女で視飽きませんが、Netflix版は普通です。どちらも演技に味があるので、ストーリーはどちらも満足に味わえます。

歳をとってからのの葉文潔イエ・ウェンジエ)、つまり大学教授を退官しているわけですが、両実写バージョンともに活動家みたく芯が通った立ち振る舞いになり、腹に一物ある曲者感が出ています。これもNetflix版もテンセント版も見ごたえある演技で楽しませてくれます。

SF的なネタが出る毎に、なぜそのキャラクターがそのような行動に出るのかなどが想像できるように構成されていて、作品としてはSF部分を無視して適当な刑事ドラマに置き換えても、普通に成立しそうです。人間ドラマの部分は少し淡白ですが、ヨーロッパのようなネトネトした感じはないのでそこが壮大な宇宙ドラマに観客を引き込んでくれます。

上の雑なまとめだと、ドラえもんの四次元ポケットどこでもドアで何かミスっちゃったみたいな、漫画的なものを思い浮かべるかもしれませんが、そんなオチャラケではなくて、細部が真面目に作られている作品です。陽子サイズのコンピューターとかも出てきて、どうやってそういうものを製造するかなどのSF的理由付けが真面目にされているので面白いです。また、人間同士の葛藤、思想的考察なども描写されていてキャラクターの作り込み方も味わえます。特に、登場人物がなぜそういう考え方でそういう結論を導くのかなどがしっかりしているので、読み応え、見ごたえあります。

エイリアンが宇宙船で地球に攻め込んでくるという雑なよくあるSF宇宙戦争映画とは違います。ストーリーとしてはエイリアンが450年後に地球に攻め込んでくるのですが、それまでの人類の攻防戦対応が味わい深く楽しめるように描かれています。450年あるのだからいろいろなことできそうですが、三体人は侵略を始める450年後までは地球で科学が進歩しないようにハイテク技術を使って素粒子レベルで科学実験(基礎研究)がまともに成立しないような細工をします。そのため科学技術、特に素粒子レベルの基礎研究のデータが取れず(データがデタラメにしかならず再現できるデータにならないため)地球上での科学技術が発展しません。それで地球がそのまま科学技術デフレのまま450年後の三体人の侵略を待ち受けることになるのか、次シーズンに続くという感じですね。なお、Netflix版、テンセント版ともに雰囲気が壮年期以降の葉文潔イエ・ウェンジエ)は台湾の蔡英文総統に似ています。

三体(テンセント版)

三体 Audible版

Netflix版の文化大革命のむごたらしいシーンは何のため?

葉哲泰

Netflix版の文化大革命のシーンでは、若いころの葉文潔イエ・ウェンジエ)が経験する悲劇として、清華大学の物理学教授の父(葉哲泰)が大衆の面前で子供(自分の妹)に嬲り殺されます(批闘)。このシーンは当時の文化大革命を生き残った中国人からのインタビューをもとに作られていて、本当にあのようなむごたらしく殴ったそうです(生存者の証言によると映像よりもっとひどいそうです)。殴り殺すという言葉がピンとこない人向けに、どちらかというとブチ殺すという感じで、人をミンチになるまで棒などの堅いもので殴り殺します。殺した後は、飛び散った肉片を鍋やチューに入れて食べるとか、わけわからん残虐性丸出しの時代の話です。なお、女性が標的となった場合は強姦の後、全身を切り刻まれて鍋に入れて食べられています。

このシーンがあってこそ、このむごたらしい経験が後の葉文潔(イエ・ウェンジエ)の地球人を裏切る、人類を裏切る行為へと発展します。妻が夫をチクり、父を娘が撲殺するというような、人類社会のむごい動きから人類に愛想をつかすシーンです。そういう意味で、このシーンは極めて重要なシーンです。なおテンセント版ではこのシーンは軽く騒乱が起きた程度にしか描写されていません。なぜなら、現中国の習近平政権は文化大革命肯定的にとらえており、本当は何のために何が行われたかなどを、メッセージを込めて表現しようものなら、テンセント社は中央政府から国賊扱いになりかねないからです。このシーンが軽す見過ごすと子供の時に学校で牛乳をぶっかけられたから学校の全部が悪い、だから世の中の学校を爆破すると騒いでいる野郎との違いがわからなくなります。

清華大学

Tsinghua University 清華大学

本作品(テンセント版)には清華大学という大学が頻繁に登場します。中国に本当にある大学で、超エリート中国人が通う大学です。米国系の教育を取り入れた大学で、資本も米国から多額が入っています。ちなみに現国家主席の習近平の出身大学ということになっています(本人が論文を書いたのかどうかは疑義があるらしい)。日本に当てはめて考えると、北京大学が東京大学相当ならば、清華大学は京都大学(理系)という感じでしょうか。超学歴社会の中国では、清華大学はブランド中のブランドで、多くのエリート中国人学生は母国の清華大学に入れなかったら、日本に留学して東大にでも入ろうという感覚です。東大を滑り止めにするという感覚とはまた違うようではありますけれど、科挙クラスの試験戦争の勝者なら日本の大学入試なんて大したことないのかもしれません。精華大学につぎ込まれている国家予算が膨大なので、日本の大学より優れている、良いと考える人が多いようです。

その中でも、本作品の主要キャラクターの巣となっている理学部物理学科は日本の故湯川秀樹クラスの人材がゴロゴロとうごめいているとされ、これこそ大学内での三体世界といっていいでしょう。

謎のカウントダウン

三体 カウントダウン

網膜に直接映し出されるという謎のカウントダウン。このカウンターがゼロになったら何が起こるのか気になるところです。Netflix版、テンセント版ともに網膜に直接映し出されるカウントダウンは同じですが、なぜカウントダウンなのか疑問を持つところです。カウントダウンが映し出されているシーンでは、本作品が三体人との戦争のストーリーであることが明かされていないからです。

カウントダウンがゼロになるころには、三体人が4光年先から地球に到達する(移住開始のための侵略を本格的に始める)という意味です。なぜ特定の人物の網膜に直接カウントダウンを映し出すことができるのかは、すでに三体人が地球に戦略兵器を送り込んでいたからです。

ようするにカウントダウンは三体人がカウントゼロで地球に到着し、地球を征服するという意味合いで使われています。

三体って何?

3 Body Problem

高校物理で万有引力を習った頃に「三体問題」は聞いたことがあると思います。惑星レベルの二つの巨大な物体が万有引力で力を及ぼし合うとき、数式で簡単にその物体が次の瞬間にどう動くか予想ができます(解析的に予測できるという意味)。二体問題であれば、普通に大学入試の物理に出題される程度の難易度です。しかし、多体問題、惑星レベルの三つ以上の巨大な物体がたがいにどう影響を及ぼし合うか、数式で一発で表現することができません。三つに増えるだけでいきなり複雑になり、単純に数式を使って解析的予測ができなくなります。作者はこの三体問題から「三体」という名前をタイトルに使っています。なお、「三体問題は解けない」などと誤った理解をする人が見受けられますが、そんなことはなりません。あくまで連立方程式を解いて、スパッと気持ちよく解を出すことができないというだけで、地道に解を見つけることはできます。有名な解はラグランジュ点といわれる安定ポイントですね。ラグランジュ点の計算は近似などを用いて極力計算を簡単になるように誘導してから方程式を解くのですが、それでも面倒な計算をひたすら続けなくてはなりません。数学好きな人でも楽しいと思わない計算です。

ドラマでは「三体人」は未知の高度文明を持ったエイリアンのことを指します。三体はつまるところ未確認生命体です。三体は地球から4光年先にある惑星に住んでおり、そこでは太陽が3つあります。先ほどの三体問題でも説明したように、太陽が3つあると、その3つが三体の母星に与える影響が単純予測できません。正確には予測できないというより、予測するにはシミュレーションなどの派手な分析をする必要があります。そのため、農業などで必要な暦を作ることができません。3つの太陽がある惑星系では、太陽と母星の距離により、朝が来て夜が来るというような単純な生活環境にはならず、日が昇って沈む前にもう一つ間太陽が昇って夜が来ないとか、太陽が三つ同時に上って文明を焼き尽くすほどの灼熱地獄が続くかと思えば、母星が太陽から離れすぎてすさまじい氷河期が続くなど、次にどうなるかが予測不可能な困難極める生活環境です。過酷な環境で生き残った種族は生き残りのための判断が素早く冷酷にできるという特性があります。地球人とは共存できないと判断すれば、即、敵になり敵をせん滅する行動に素早く移るという性質があるということになります。

三体人は地球人とは違い、常に思考と行動(言葉)が一致しているという特徴があります。行動や言葉から、三体人の考えていることが完璧に理解できるということです。そのため、三体人同士ではテレパシー的な言葉を介さない通信をするだけで完全意思疎通ができます。思考と行動が一致している、わかりやすく言えば「嘘をつく」能力が無いのが三体人です。地球人(人間)の場合は、空腹になっても「まだお腹減っていないです」と言葉では否定することがあります。こういった人間の行為が三体人には理解できず、人類は信用ならない共生できないということになります。

三体人はヤバい奴らなのか?

三体人

三体人を映画『プレデター』みたいなエイリアンのようにとらえるとミスリードします。三体の実態はクマムシ的なエイリアンで本体は雑魚い可能性が高いのですが、使うテクノロジーがすごすぎるので、つまり、物理学の基礎研究を極めつくしているので、人類はかなわないというのが設定です。テクノロジーの凄さはドラえもんみたいな技術的に皆目見当がつかないものではなくて、人類が頑張ればその程度は400年で達成できそうと思える感じになっているのがポイントです。

とにかく、三体人はヤバいというより感情がなく生存本能に特化した知的生命体という感じです。彼らの母星では3つの太陽があり、その太陽と母星の配置で氷点下から灼熱地獄まで目まぐるしく気候が変化します。そのたびに文明が滅びては、ゼロから文明を再構築して発展させてきたという歴史があるので、三体人は厳しい環境に馴染んだエイリアンとしての性質があり、そんな環境で生き延びるにはウソついている暇がないようです。つまり三体人には嘘という概念がありません。行動が常に思考を表し、それがすべてである極端なエイリアンです。三体人には文化というようなものは無さそうです。生き残るためには意思疎通が素早く正確にできる必要があります。嘘のようなものを意思疎通に混ぜて、その意志の真偽を判断するタイムラグが甘ったるいという種族のようです。だから文化のような味わう時間が必要なものは無駄という概念で切り捨てられます。

Netflix版のシーズン1では三体人の姿の描写は無いですが、テンセント版ではVRゲームの中で、ゲームの作者(多分地球人)が想像した三体人が描写されています。なんか背の高いペラペラした感じのエイリアンみたいな描写になっていました。三体人は過酷な環境の中で文明を発達させた知的生命体で、冷酷で判断が速いです。いずれにせよ地球人にとっては脅威になります。

人類の行動はソフォン(智子)でバレバレ

小説で読んだ方はソフォンは漢字の智子と書かされているので、ずっとトモコと読んでしまったままのミスリード期間が少しあったかもしれません。トモコは三体人の仮想空間上のアンドロイド的なキャラクターだと勘違いしたまま読み進めても、話がそれなりに通じてしまうので危ない部分です。ソフォンは漢字で智子と書き、陽子や電子とかの類と同類の粒子で、三体人が作った知恵のある粒子という意味です。

ソフォン(智子)

三体人はソフォン(智子)というAIバリバリのスーパーコンピューターを4台製造します。それも一つの陽子を次元展開して惑星の空を覆うサイズの膜に巨大化させて、その膜に飛行船からレーザーを使って地球で言う半導体のパターンを書き込んでスパコンにします。それを次元をもどして(ふたたび折りたたんで)陽子サイズに戻します。次元の折り畳みの過程でスパコンの機能は失われないという前提です。その陽子サイズのスパコンを2つずつペアにして、量子力学で言う重ね合わせ状態量子もつれ(エンタングルメント)の状態にします。ペアの片方が送信機ならもう片方は必然的に受信機になります。つまり、二組の送受信機の組み合わせにするというシステムにするわけです。電波や光ファイバーで通信したとしても、通信速度は光速を超えることはできず、4光年先と通信するとして送信と受信で合計8年かかるわけですが、量子の重ね合わせ状態を情報のやり取りに使うと光速を超えて瞬間移動のように通信できる(リアルタイム通信)というSF的構築です。この技術はもちろん、いまだ地球上では獲得できていません。

ソフォンはスーパーコンピューターですので、体育館なみの大きさ(テンセント版の実写では惑星の空をまるごと覆うくらいの大きさの基盤に回路が描かれている)がありそうですが、三体人はそれを陽子の大きさレベルに縮小しました。地球を覆うほどの幕状のスーパーコンピューターが機能を保ったまま、陽子一粒の大きさに凝縮されるということです。バカげていると思いがちですが。超ひも理論(現在物理学でも未完成)によるとあらゆる物質は点(粒々)ではなくて紐で構成されていて、その紐(次元)が折りたたまれているという、難解な理論物理学の理論があります。素粒子レベルの大きさのものにも次元が折りたためられていて、次元を展開すると惑星を覆うくらいの大きさになり、たたむと陽子ぐらいのサイズになるらしい。その理論をネタにしたのだと思うのですが、仮にスパコンを惑星サイズで作り込んでも、スパコンの機能を保ったまま次元を折りたたむことにより陽子サイズにまで圧縮できるらしく、ソフォンは陽子サイズのスーパーコンピューター、しかも量子コンピューターです。多分ですが電気で動くものではなく、ニュートリノとか他の素粒子をエネルギーにして永遠に動くってことだと思います(Netflix版では一つの陽子に膨大なエネルギーを詰め込んだとか説明されていたので意外と電池駆動みたいなものなのかも)。物理的な移動をどうコントロールするかなど、いくらでも突っ込める箇所かもしれませんが、そのまま受け入れましょう。

三体人はその陽子サイズのスパコンを二体、地球に送り込みAI駆動で地球を監視しています。地球を透明な膜で覆い(その膜は一つの陽子を次元展開して巨大化させたもの)、地球上のどこでも監視できるらしい。ゼロ次元状態のソフォンは陽子サイズですので質量は限りなくゼロで、ほぼ光速で移動できます。0.1秒ほどあれば地球上のどこにでも移動できますので、地球上のあらゆるものを監視できるという理屈ですね。三体人の母星から四光年先の地球に送り込むときは、陽子の質量は限りなくゼロに近いということから、ほぼ光速で四年ほどで送り込めます。気になるのは、ソフォンがスパコン的な動作をするときは次元を展開して高次の状態になる必要があると思うので、スパコンの能力を使うときは、多分バカでかいスパコンの図体にならないといけないと思うのですけど、あまり詳しく説明されていません。そこは目をつむって、とにかく三体人はソフォンで地球人を好きなように監視しているというわけです。

地球に送り込まれたソフォンがまずやったことは、地球所の粒子加速実験所(素粒子実験場)でターゲットの粒子に成り代わって、実験データをバラバラにするという悪さです。ただでさえ思った結果にならない素粒子実験で毎回デタラメなデータが並ぶということで、物理学者は自分の実験に意味がないと自暴自棄になり自殺し始めます。デタラメなデータが出たなら、粒子加速器の故障や機器の傷みや精度不足を疑い始めるのが筋であるようにも思いますが、真面目な科学者はそう思わないという前提なのですね。

ETO(地球三体協会)とは?

ETO(Earth-Trisolaris-Organization)とは地球外生命体の三体人を地球にどうかかわらせるかを考えるグループです。実態は三体人をとあがめる宗教団体化しています。内部には三つの政党みたいな派閥があって、生存派救済派降臨派がそれにあたる。生存派は三体人に関わらず、地球人が(自分だけが)生き延びさえすればよいという考え方。救済派は三体人の母星で文明を192回ほど滅ぼした3つの太陽の運行の暦を作るのを学術的に手伝い、三体人が自分の星でずっと住みついていてほしい、地球には来ないでという考え方。降臨派は地球上の人類は腐りきっていて、自分で改善などできないから三体人に地球を征服してもらって、三体人の高度な文明に置き換えてほしいという考え方。どいつもこいつもヤバイ連中ですね。三体人は陽子を操ったりチョロくできる連中なので、その道徳人類より優れているはずという前提があります。

もちろん降臨派がメインにならないとストーリーが進まないのですが、救済派の涙ぐましい三体問題を解析的に解こうとする努力も好きなところです。結局、解析的には三体問題に解はないのですが、初めて問題を知ると、なんか解けそうに思ってしまうんですよね。最終的には降臨派(要するに売地球奴)が大勢を占めることになります。

ETOの総帥は葉文潔イエ・ウェンジエ)で資金提供者は富豪の跡取マイク・エヴァンズです。

「審判の日」号で何がわかる? 古箏(こそう)作戦 

マイク・エヴァンズが建造した、三体人との交信を図るためのパラボラアンテナ付きの巨大船ジャッジメント・デイ、審判の日号には、三体人との交信記録から、その侵略方法、新テクノロジーなどのデータが隠されてていると予想されます。ジャッジメント・デイの搭乗員は主にETO(地球三体協会)で占められています。作戦指令センターでは三体人との戦争に備えるため、常偉思(チャン・ウェイスー)少将(テンセント版)がその船に保管されているデータを奪うことを提案します。(Netflix版ではトマス・ウェイドが強奪を指揮します)。両社ともこのシーンは熱を入れたみたいです。

爆撃や神経ガスで制圧することや球電兵器、小型中性子爆弾を使用することも提案されますが、それらは人命を奪うまでに数分以上あるため、その間を利用して、三体人との交信データを爆破したり消されたりすれば元もこうもありません。そのため、ナノワイヤー(目に見えないほど薄くて強靭な線)で目的の船舶をスライスしてしまう計画に落ち着きます。ナノワイヤーで切るとエッジが整うので、たとえハードディスクやSSDをカットしても、問題なく繋げて元に戻せる、データも破壊されないという理由です。現実のナノワイヤーだとHDDをそれでカットすれば、さすがにデータは戻りません。カット面に少しで埃などが付着しただけでもアウトです。本作でのナノワイヤーは中の搭乗員までズタズタにカットされてしまう設定です。バイオハザードのレーザーカットみたいなヤバイやつですね。

古箏作戦

ナノワイヤーでカットするのは船舶丸ごとなので、中の搭乗員までカットされます。普通に考えて寄生獣なみにエグイ描写になるので、いちおうシーンの言い訳みたいなものが必要ですが、テンセント版は乗組員は猟奇殺人を行ってきた犯罪者で凶悪犯連中という設定にして、惨殺されても文句が出ない保険をかけています。Netflix版は、女子供もスライスカットされるので、そこの残虐性の描写は遠慮ありません。

尚、作戦名になっている(こと・そう)は日本や中国にある弦楽器です。ほぼ日本の琴を思い浮かべると同じものです。は琴と違って本体の上に柱という音の高さを決める可動式ブリッジがあります。本作戦のネーミングとしてはピッタリ合っていますね。

フェルミのパラドックス

フェルミのパラドクスについても知識を入れておきましょう。イタリア出身の物理学者エンリコ・フェルミが同僚と昼飯している時に軽い気持ちで「彼らはどこにいるんだ?」と同僚に問いかけたことに発する矛盾論がフェルミのパラドクスとして知られています。彼らとは地球外生命体、つまり宇宙人のことを示しており人類と同じ程度のコミュニケーション力があることが前提になる宇宙人のことです。猿やオランウータン程度では役不足です。

現在では地球人と同レベルの知的生命体は単純計算で宇宙に2,000兆個ほど存在する可能性があり、これだけの知的生命体の数があるのに人類がコンタクトした例がないことが矛盾しているという意味を含みます。つまり、すでに気づかないうちにコンタクトしているか、宇宙で知的生命体が地球人類ただ一つという極論から、宇宙人はまだ地球にやってきていないだけ、宇宙人とは霊魂のことであるなどの緩い考察まで無数に解釈がある。とにかく考え始めると一生考えてられるほど、知的好奇心をくすぐるテーマです。新しい主張・考察が誕生しやすいのもフェルミのパラドクスの特徴です。本作『三体』では黒暗森林理論という作者の考察になっていて、ブラックホール蒸発の量子力学的説明に成功したスティーブン・ホーキング博士とほぼほぼ同じ解釈であることも興味深いです。

暗黒森林理論(黒暗森林論)

三体Ⅱ 黒暗森林

オリジナルの黒暗森林という表現は味がある表現です。日本語的には暗黒森林でもいいですね。フェルミのパラドクスに答える形で、暗黒森林理論は宇宙における文明の生存戦略を例えたもので、なぜ人類が宇宙に無数に存在すると推測される知的生命体・宇宙人とコンタクトできないかといえば、宇宙の物質総量は有限であり、文明は生存こそが最優先欲求であり、もしそのコンタクト(通信)を物質的に枯渇してしまった他の知的生命体にかぎつけられたら、その知的生命体は生存のための物質の侵略者となり地球を侵略し人類を滅ぼしに来る。だから皆「息をひそめて黙っている」というのが暗黒森林理論です。息をひそめることが宇宙での生存競争の理(宇宙社会学)に最もかなっているという考えです(高度な通信技術を持っている生命体に、自文明を嗅ぎつけられたら物質だけ奪われて文明は滅ぼされてしまうという考え方)。だから、知的生命体こそ他の知的生命体とコンタクトしないのだという考え方です。宇宙全体を暗黒森林と見立て、その森林の中には正体不明のハンターが獲物を狙っている。敵か味方かわからない相手に真っ暗な森で出会ったら、まずは敵と認定して殲滅(先制攻撃)するのが自分の生存策略としては最善であるという理論です。謀略・策略が十八番の中国文化らしいといえばそうですが、現実にもあっている気がします。しかし、これには敵にはこちらの先制攻撃がバレないことが前提です。ばれたら普通に戦闘になります。つまり中国が得意のサイレント・インベージョンこそが前提だということです。

この理論によると、人類が同等の知的生命体に出会わないのは、エイリアンがわれわれとの宇宙戦争を避けるためだとも受け取ることができ、怖い感じもしますね。なお、宇宙人はいるけど、地球人のような文化までは持っているかは不明なので、異星文明とのコンタクトは中に蛇が潜んでいる靴を履こうとする場面と大差ないと考える科学者も多くあります。人間は靴を履くことが多いですが、動物は靴など不要ですからね。靴というものが理解できないわけです。靴の中に足を入れたとたん侵略攻撃されたと捉えられるわけです。人間が普通に生活しているだけで宇宙人には脅威であるという考え方ですね。だからコンタクトは難しい(認識し辛い)と考えられるわけですね。

三体II 黒暗森林 上

三体II 黒暗森林 下

カルダシェフ・スケール

旧ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフが考案した、宇宙文明の発展度を示す三段階の指標(ものさし)です。本作品では通信手段のレベルとして、どのエネルギーを使うかで当てはめて考えると次のような感じになります。本作品を理解するときに、カルダシェフ・スケールでレベル1以上がないと、そもそもエイリアンとの意味のある通信ができないと示唆されています。単純化してまとめると、地球上のラジオ放送みたいな出力の弱い通信がエイリアンに届くわけがないから、まともに数光年先にも届きそうな通信をSFしないとストーリーが嘘っぽく見えるということです。

レベル1は、惑星文明で、地球上の利用用可能なすべてのエネルギーを使用および制御できるレベル。地球以外の星を開拓しようとするレベルです。
レベル2は、恒星文明、太陽系の規模でエネルギーを使用および制御できるレベル。数千年規模で移動したりエネルギーを蓄えたりするレベルです。
レベル3は、銀河文明、銀河全体の規模でエネルギーを制御できる(自分の所属する銀河に限る)レベルです。

この弁類だと人類はレベル1にも達しておらず、ちょっと昔(今)まで石油利権を奪い合ったり、海洋利権を奪い合っているレベルで、地熱や潮汐エネルギーすらまだまだ有効利用できていないので、百歩譲ってもレベル1でもまだ入門者レベルになります。レベル2は、人類も太陽光程度は利用していますが、金星や木星のエネルギーはまだどう有効利用するかわからないレベルです。レベル3は銀河そのもがまだよくわからず到達までの道のりすら見えません。ダークエネルギーの一部でも明らかになれば、もう少し想像が膨らみますね。現状では人類はただ銀河を眺めて、銀河の光をフィルム写真に感光させる程度にしか使えていないと思います。いずれにせよ、レベル1でもクリアすれば、世界からエネルギー問題はなくなりますね。本作品では、葉文潔(イエ・ウェンジエ)が三体と通信するとき、電波の出力が弱すぎるので太陽を増幅装置として使う方法が用いられます。これでほぼレベル2の通信ができるので、4光年先の惑星で電波をキャッチされる可能性が高くなるという意味あいです。

蛇足ですが、想像がつかないのであまり使われませんが、レベル4というのも分類されていて、自分の所属していない銀河のエネルギーまで利用できる文明がそれにあたります。カルダシェフ・スケールで考えるとレベル3の知的文明はまだ銀河に存在しないので、地球人がエイリアンに遭遇できないのは当然であると説明されます。地球文明は現在レベル0.75らしいです。

Bu Yao Hui Da 不要回答

応答するな

若き頃の葉文潔イエ・ウェンジエ)が三体人から初めて受け取ったメッセージ「Bu Yao Hui Da (不要回答)」です。文字がいきなり送られたわけではなくて、宇宙から地球に届いた電波、しかも狙いを定めた周波数帯でコンピューター解析でメッセージ的意味を持ちそうな信号をふるいにかけ翻訳機にかけたモノらしい。この翻訳機が出した三体人からのメッセージは、翻訳機の文字通り「応答するな」、「Bu(不) Yao(要) Hui(回) Da(答)」という意味でした。

ドラマではこの後に三体人がメッセージの意味が説明していて「我々がこのメッセージを受け取った方向には数千の星がある、このままだとどこの星から送信されたかは特定できない。でも応答したら、我々は送信元を特定できて、送信してきた星を侵略することができる。だから、このメッセージに応答するな」という親切なアドバイスでした。葉文潔イエ・ウェンジエ)は自分の父を同志が撲殺するという人類の愚かさに辟易していたため、「もし、あなた方がこの星を征服するのなら、私が手を貸します」と愚かな応答をしてしまいます。

マイク・エヴァンズ

多国籍石油企業のCEOの父をもつ欧米系環境活動家。今風に言うとグリーンピースの活動家みたいなものです。種の共産主義とか、多分中共でも受け入れられない独自の信条がある。葉文潔イエ・ウェンジエ)から未知(三体)とのコンタクトに成功したことを明かされ、父から相続した全財産で電波望遠鏡を載せた船舶を建造し、三体人とのコンタクトを続ける。ETOでは降臨派に属する。

死神永生(ししんえいせい)

三体Ⅲ 死神永生

小説では死神永生は完結編、三部作の最終巻になります。暗黒森林の巻で面壁計画階梯計画といった人類側の対抗作戦が進行していて、これが展開されるのが死神永生です。死神をしにがみと読ませずししんと読ませているのがポイントです。

三体III 死神永生 上

三体III 死神永生 下

面壁計画(ウォールフェイサー・プロジェクト)

ソフォン(智子)の完璧な人類監視をくぐり抜けるため、地球側は「面壁(めんぺき)者」を考案する。面壁者とは一言で言ってしまうと、三体が侵略攻撃を始める(地球に到達するまで)まで嘘をつき続けてソフォンをかく乱させる役割を担う者。ソフォンは人の心は読めないので、ソフォンの判断を誤らせるためだけに膨大な特権と権限が与えられる。おそらく007並にやりたい放題できる特権を持っている。

国連は計画をすべて自分の頭のなかで練りあげる役を4人選び、彼らに権限を委ねる。面壁者同士は独立で、相談などはなく別々に計画を練り上げて実行する。

面壁者の行動は公私混同になりがちで、実際の面壁計画の一部という保証は全くないが、ソフォンの裏をかくためのデタラメをしているという可能性はある。ソフォンにも味方の誰にも面壁者の本心はわからないのが、この計画の怖いところ。面壁計画の連続性を保証するため、面壁者は人工睡眠によって時を超え、400年後の三体人との決戦に立ちあうことになる。

Netflix版では、面壁者という言葉は東洋の仏教の瞑想修行者から引っ張ってきたとありますが、面壁者は少林寺で僧が狭い洞に入り壁に向かってひたすら座禅する、僧の影が石の壁に焼き付くほど、僧が石像と間違われるほどひたすら壁に向かって修行する者という意味で、瞑想とはまた違います。面壁は主に達磨大師の9年の座禅のことを意味します。

階梯計画(ラダー・プロジェクト)

三体が地球に侵攻している最中にその艦隊に、生身の人間をスパイとして送り込む計画。そもそも光速の1割の速度で人を送ったとしても4光年先に到達するには、理論上は40年、実際は加速時間などがあるので400年ほどになる。ナノ繊維や核爆弾で加速して光速の1%ほどの速度を出す計画を立てるが、その速度を達成するためには、そのロケットに載せられる重量は2キロ以内という制限がつく。やむにやまれず、死にかけの物理学に精通した賢い人材を安楽死させ、その脳だけを送ることになる。三体人には嘘をつく能力のある地球人の脳は貴重なサンプルとなるはずだから、必ず再生して復活させるはずだと見越している。再生された脳は三体人のテクノロジーを分析し、地球側にその情報をスパイとして伝えてくれるというもくろみ。

小ネタと裏話

三体』は中国でまずマイナーヒットし、その英訳版が米国をはじめ世界中でヒットしたSF小説なのですが、作品の面白さが評価され、作品の改変権が注目されました。一般に改変権といえば、映画化権、翻訳権などを思い浮かべますが、『三体』についてはキャストまで改変する権利が売買されました。Nefflix版では主人公がオックスフォード・ファイブに改変され、オリジナルの中国的な地味な学者の雰囲気は消え去っています。その代わりに、ヨーロッパの知識階級の学生らしい恋愛もストーリーの中に組み込まれました。

オリジナル版(早川の翻訳版)の出来が良いので、あまり触らないでほしいと思いがちですが、Netflix版も面白いです。Netflix版では葉文潔イエ・ウェンジエ)がなぜ地球を得体のしれないエイリアンに侵略させようとする決意に至ったのかという点を、文化大革命という人類の負の歴史を強調して描くことにより、あり得そうな感じを表現しています。テンセント版のドラマでは、文化大革命の部分はシンプルにさらっと脳裏によぎらないレベルで流されています。いずれにせよ、一人の物理学者の行為が全人類を危機に陥れるという流れはあり得そうで怖いですね。

今後、現実科学世界であり得そうな、人類をヤバくしかねない科学者がやっちまったミスを妄想すると、核融合反応、小型ブラックフォール生成などですかね。核融合は簡単にはできませんが、成功してしまうとほぼほぼ無尽蔵なエネルギーを獲得することになるので、一番先に技術を獲得した者が地球を支配できそうです。イーロン・マスクの資産以上の価値を生み出すことになりますね。小型ブラックホールがたまたま実験室で生成できてしまったら、今まで知らなかった空間が開けたり、都市丸ごとが暗黒の闇に飲み込まれるのかもしれません。ここらあたりは、想像ではいくらでも暗い方向に持っていけますが、本当のところはやってみないとどうなるのか皆目見当がつきませんね。

小説に挫折した人はオーディオブックという手もある

三体』は小説版は完結しているのですが、いかんせんドストエフスキーより長くて、一般人が読破するにはそれなりに時間の犠牲が伴います。それを実感した方は、Audibleのようなオーディオブックで楽しんでください。自分の脳内で映像化した方が、高齢になってもボケませんので、強くお勧めします。

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