スパンク城が在った砂地に辿り着くと、砂トカゲが僧侶ヨウガイに馬を止めさせた。
「出でよ我が同士」
僧侶ヨウガイの頭の中で響いた砂トカゲの声に砂地が波打った。
数千にも及ぶ無数の砂トカゲが砂地を飛び跳ね出した。
「お待ちしておりましたダドゥ様」
一匹の砂トカゲが答えると、僧侶ヨウガイと共にするダドゥ様と呼ばれた砂トカゲが問いかけた。
「封印の壺は見つけられてないようじゃな」
「はい、奴は封印の壺を見つける前にスパンク城を砂に帰しました」
「相変わらず頭が悪いようで助かったよ」
二匹のやり取りを聞いた僧侶ヨウガイが驚いた。
「貴方様は一体何者なんですか」
「おや?トカゲとは呼ばずに貴方様と呼んだか」
言われて僧侶ヨウガイが頭を掻いた。
「我は、アスガンド寺院の初代法師、今は砂の王ダドゥと呼ばれ精霊として存在している」
僧侶ヨウガイが慌てた。
「数々のご無礼、申し訳ありませんでした」
砂トカゲが表情の読めない顔で語りだした。
「何者か言わなかったから仕方あるまい。我々は500年奴らを封印した七つの壺の隠し場所を見守ってきた。スパンク城を砂に帰した魔物は、触れたものを砂に帰す力を持つガプーという魔物じゃ。それに対して我は砂を操る術を持っておる。それと、命ある者ではないから奴に触れられても何も起こらない」
僧侶ヨウガイが瞳を輝かせた。
「では、初代法師様が言った戦う術はあるという言葉を信じても良いと」
「そうじゃ、人間という生き物じゃった頃よりも戦う術を持っておる」
その様子を上空から見ていた白ガラスクレイバーも瞳を輝かせて、僧侶ヨウガイと砂トカゲの元に舞い降りて人の形を成した。
「突然驚かせて申し訳ありません。私は白ガラスのクレイバーと申します。上空から仲間たちと魔物の様子を探っています。魔物はここから更に西へと進んでいます。どうか我々にも手伝わせてください」
砂トカゲが嬉々とした。
「ほう、空と陸、両方から情報を集められるというわけか?それはありがたい」