
ペットの遺骨にカビが生えてたらどうしたらいい?

保管場所を再検討することとカビの対処を優先しましょう。
愛するペットの葬儀や納骨が慌ただしく過ぎたのもつかの間、日本の高温多湿な環境にさらされて気がついたら発生しているペットの遺骨のカビ。できることなら出くわしたくありませんよね。
もし、大切なペットの遺骨にカビが生えていたら、どのように対処するのが適切なのか気になりますよね。
結論からいうと下記のとおりに保管状況を変えることとカビの除去が最優先です。
とはいえ、みんなが一様に同じカビが発生している状況ではないため、適切に対応しないとカビが再発生する懸念も考えられます。
そこで本記事では、遺骨にカビが発生した原因から適切な対処方法、さらにはカビの発生を防ぐ予防方法についても解説しています。
「大切なペットの遺骨にカビが生える」といった悲しい思いをしたくない人やカビの発生を未然に防ぎたい人は、ぜひ本記事を参考してください。
ペットの遺骨にカビが生える3つのおもな原因

ペットの遺骨にカビが生えるのはなぜですか?

発生原因はおもに3つあります。
ペットの遺骨にカビが生えてしまう原因は、おもに以下の3つが挙げられます。
しっかりとした対策を講じるためにもまずはカビの発生原因について、それぞれみていきましょう。
カビが生える原因1. 骨壺内にカビの胞子が入る
ペットの遺骨や骨壺内にカビが生える原因の一つとして、骨壺内にカビの胞子が入ることが挙げられます。
カビの胞子は非常に小さく、一般的な家庭の空気中には数百~数千の胞子が漂っていると言われています。
参考:カビの基礎知識(外部サイト)
一般的な家庭では無菌状態を保つことは非常に難しく、加えて一般的なペットの骨壺は遺骨を納める目的で作られているため、骨壺内は完全密封状態ではありません。
したがって、ご遺骨を納める際や結露防止で虫干しをする際に骨壺内にカビの胞子が侵入している可能性があります。
とはいえ、カビの胞子は目に見えないほど小さいため、侵入を完全に防ぐことは難しくなおかつ確認することも難しいのが現状です。
他の原因を踏まえて後述する対策方法を実践することで、カビによる被害を最小限に抑えることができます。
カビが生える原因2. 発生源となる栄養素が付着
ペットの遺骨や骨壺内にカビが生える原因の一つとして、以下のように発生源となる栄養素が付着していることが挙げられます。
- 素手でご遺骨や骨壺を触れる
- ご遺骨に有機物が付着
- 空気中のホコリや花粉が付着
発生源となる栄養素が付着する要因として、素手でご遺骨や骨壺を触れるなどの人的ミス以外にも、火葬後のご遺骨の多孔質構造といった付着しやすい環境的問題も存在します。
イレギュラーなケースとして、火葬の際に完全に燃え尽きなかった有機物がご遺骨に付着し、カビの発生を促してしまうこともあります。
ご遺骨や骨壺に触れる際は手袋を着用し、触れたあとは念入りに清めることが大切です。細かな点にも配慮をすることでカビの発生リスクを下げることができます。
カビが生える原因3. 発生環境の湿度・室温
ペットの遺骨や骨壺内にカビが生える原因の一つとして、以下のようなカビの発生環境が整うことが挙げられます。
- 室温:5℃~35℃
20℃~30℃でよく育つ - 相対湿度:60%以上
80%以上でよく育つ - 酸素:通常濃度
人が生活できる環境ならほぼ育つ - 栄養:ホコリや皮脂など
有機物でなくても育つ
一般的なカビは上記のような環境が整うと発育し、特に湿度60%以上、室温25℃前後の環境で発生しやすくなります。
- 梅雨や夏場などの湿気の多い時期
- 押入れや収納など空気が滞りやすい場所
近年の住宅事情を考慮するとどの時期でもカビは発生しやすい環境にあるため、室温と湿度の管理が欠かせません。
エアコンや除湿機を使用して、湿度60%以下に保つ以外にも冬場の時期は過加湿にならない配慮が必要です。
カビと間違えやすいペット遺骨の付着物
カビの発生原因とあわせて、カビと間違えやすい付着物についてもおさえておきましょう。
- 脂肪組織:黄色く変色
- 薬品や重金属:青く変色
- 火葬時のスス:黒ずんで変色
上記のように火葬時に残った成分が遺骨に付着し、カビのように見えることがあります。
付着している場所によっては見た目だけでは判断が難しいこともあるため、不安な場合は火葬業者や専門家に相談するのが無難です。
ペットの遺骨にカビが生えた時の対処法3選

実際にカビが生えていた場合、どうしたらいいですか?

下記の方法で対処するのがおすすめです。
どの対処方法があなたの状況にとって適切なのか、それぞれの対処方法について1つずつみていきましょう。
対処法1. 遺骨を天日干しをする
対処法の一つとして、ご遺骨に付着したカビの量に多少に問わず、天日干し(日光消毒)で対処するのが手軽かつ確実です。
- UV-C(100~280nm)
特に250~260nmの波長が殺菌効果が最大限に発揮されます。 - UV-B(280~315nm)
日焼けサロンで用いられる波長である程度の殺菌効果も持ち合わせています。 - UV-A(315~400nm)
殺菌効果は比較的低いものの一部の微生物に対して効果を示します。
参考:紫外放射による殺菌作用
上記のとおり、直射日光にはさまざまな波長の紫外線が含まれており、10℃以下の冬場でも2時間程度、直射日光にさらすだけでも充分に殺菌効果が得られます。
ただし、屋外で天日干しをする際は天候によって骨片が飛散する恐れがあるため、充分に注意が必要です。
日陰干しやガーゼなどで覆う場合、充分な殺菌効果を得るために半日~1日程度天日干しする必要があるため、天候と相談しながら慎重におこないましょう。
対処法2. 消毒用アルコールで拭く
対処法の一つとして、ご遺骨に付着したカビが少量であれば、70%~80%の消毒用アルコールで拭くのが確実です。
- 日本の消毒用エタノール濃度:76.9~81.4%
- 厚生労働省通達のコロナ対策:原則70~95%
- CDC(米国疾病予防管理センター)ガイドライン:60~95%
- WHO(世界保健機構)ガイドライン:80%
上記のとおり、エタノール濃度60%以上でさまざまな菌やウィルスに対しての殺菌効果が期待できるとされていますが、80%以上は殺菌能力が低下するため、エタノール濃度72%~77%の消毒用アルコールを使用するのが確実です。
拭き取りが難しい場合、消毒用アルコールを吹き付けたのちに乾燥させることで同等の消毒効果は期待できますし、代用品として塩化ベンザルコニウムを使用するのも一案です。
とはいえ、カビが生えているのがご遺骨ともなると心理的抵抗があり、「自分でやるのはちょっと・・・」といった意見は少なくありません。
対処法3. 専門業者に依頼する
対処法の一つとして、カビ除去の専門業者に依頼することが現実的かつ確実です。
そもそも大切なペットの遺骨にカビが生えてしまう現実は、飼い主としての精神的ダメージは計り知れません。ましてや、自分自身でカビを除去できるとはいえ、実際に自分の手でカビを除去することの心理的抵抗は大きいものです。
自分で対処するのが大変な場合は、下記のようなカビ除去専門業者やご遺骨の洗骨業者に依頼するのが賢明です。
上記は業者の一例です。実際にご利用される際は、各業者にサービス内容や料金など確認の上、申し込むようにしてください。
次の項目では、ペット遺骨に生えるカビを予防する方法について解説していきます。
自宅でできる遺骨に付着するカビの予防法3選

カビの発生を防ぐ方法はありますか?

以下の基本的な3つの方法で予防できますよ。
遺骨や骨壺の取扱いに慣れている人からしたら当たり前のことかもしれませんが、予期せぬカビの発生を防ぐため、各項目についてそれぞれみていきましょう。
カビの予防法1.骨壺や遺骨を素手で触らない
ペット遺骨に生えるカビの予防方法の一つとして、骨壺や遺骨を素手で触らないことが挙げられます。
研究論文(一般細菌ふきとり検査値からみた手洗いの効果)によると手洗い前の手には、約1.3万個の細菌が付着し、ウィルスに関しては約100万個付着しているとされています。
参考:手洗いの時間・回数による効果|厚労省
ウィルスや細菌以外にも人の手が直接触れることで皮脂が骨壺や遺骨に付着し、カビが発生する栄養源となります。
遺骨や骨壺に直接触れる際は、以下に挙げる手袋を着用することで遺骨や骨壺へのカビの胞子や栄養源の付着を未然に防ぐことができます。
- ニトリル手袋
- ゴム手袋
- 綿製手袋
上記のような使い捨ての手袋であれば、衛生的にも問題がなくおすすめです。
カビの予防法2.調湿材を使用する
ペット遺骨に生えるカビの予防方法の一つとして、以下のような調湿材を使用することが挙げられます。
- 珪藻土系の調湿剤
- シリカゲル
- 活性炭入り除湿剤
上記のような調湿材を骨壺内に入れておくことで骨壺内の湿度を下げ、カビの発生を抑止できます。
調湿材や商品によっては、定期的な交換が必要なものもあります。使用する前に取扱説明書や商品説明書をよく読んだ上で使用するようにしましょう。
調湿剤の種類や使用環境によって異なりますが、調湿材の交換やメンテナンスを怠ると吸湿した湿気を放出してしまい、逆にカビの発生を促してしまうこともあるので注意が必要です。
カビの予防法3.適切な場所で保管する
ペット遺骨に生えるカビの予防方法の一つとして、適切な場所で保管することが挙げられます。
前述した調湿材で骨壺内の湿度を調整する以外にペットの遺骨が入った骨壺の保管場所もカビ予防に大きく影響します。
- 風通しの良い場所
- 直射日光の当たらない場所
- 高温多湿な場所を避ける
上記のような場所を選定し、具体的には室温が15~25℃程度、湿度が50~60%程度に保たれている場所に保管するのが最適です。
現実問題として、エアコンや除湿機などを使用して適切な保管場所や保管環境を維持することで、カビの発生を未然に防ぐことができます。
ペットの骨壺(遺骨)の適切な保管方法の3原則

適切な保管方法は何に気をつければよいですか?

以下の3原則を守れば問題ありません。
カビの発生を未然に防ぐためにも原理原則をおさえておくことが大切です。次の項目でそれぞれの内容についてみていきましょう。
具体的な遺骨や骨壺の保管場所について知りたい方は、以下の『ペットの遺骨の正しい置き場所と方角』を参考にしてください。
参考:ペットの遺骨の正しい置き場所と方角|風水で自宅に保管する方法
保管方法1. 直射日光を避ける
保管方法の原則の1つは、カビに対して有効的な直射日光を避けることです。
紫外線によって骨壺が変色したり、骨壺内で内部結露を起こしたりするなど、骨壺や遺骨に対して劣化を早める原因となるため、直射日光に長時間さらすことは避けましょう。
- 直射日光の当たらない場所
- 骨壺カバーなどで覆う
- 遮光カーテンなどを使用する
保管状況に応じて、上記のような直射日光を避ける工夫を講じることをおすすめします。
保管方法2. 風通しが良い場所に保管する
保管方法の原則の1つは、カビが発生しにくい風通しが良い場所に保管することです。
一般的に温度や湿度管理が徹底されている図書館や博物館においても、空気が滞留しているエリアにカビが大量発生するといった事例が報告されています。
参考:カビ対策|東京都立図書館
一般的に相対湿度60%程度を維持していればカビは発生しないとされていましたが、空気の流れが滞っている箇所に湿気がこもり、その結果、生えるはずのない場所でカビが発生するといった事態に発展しています。
上記の事例からもわかるとおり、骨壺の保管場所に密閉された場所や空気が滞留している場所を選ぶとカビの発生リスクが高まります。
風通しが良い場所に保管する以外にもサーキュレーターなどを使用して、こもりやすい湿気を逃がし空気が滞留しない対策を講じる必要があります。ただし、湿度40%以下になるような過度に乾燥した環境も避けましょう。
保管方法3. 室温変化が少ない場所に保管する
保管方法の原則の1つは、急激な室温変化が少ない場所に保管することです。
冬場の暖房時や夏場のエアコン使用時などの急激な温度変化が生じる環境では、窓ガラスや窓枠周辺に外気温差で結露が発生または結露水が生じている様子が多くの家庭で見られます。
結露水はカビの発生原因の1つであるため、骨壺内で結露が生じている場合、カビの発生リスクが極めて高くなります。
祭壇などで骨壺を保管している場合は室温を一定に保つ工夫を、押入や収納などの温度変化の影響を受けにくい場所で保管している場合は、空気が滞留しない工夫をすることが大切です。
必要に応じて、断熱材入りの骨壺カバーや吸湿放湿性能のある桐箱といった温度変化の影響を受けにくい資材を用いることもカビ発生対策の一環として有用です。
ペット遺骨のカビに関するよくある質問と回答
下記にペット遺骨のカビに関するよくある質問と回答について解説しています。
まとめ:適切なカビ対策で遺骨をカビから守りましょう。

カビを予防することのほうが簡単なんですね。

小さな予防対策を怠ってしまうとカビは簡単に発生します。
これまでの内容を振り返ってまとめとします。
ペットの遺骨は愛するペットの大切な形見です。しかし、保管環境が整っていなかったり、予防対策を怠ってしまうとカビはいとも簡単に発生してしまいます。
発生したカビを除去することは難しいことではありませんが、心理的抵抗があり飼い主にとって大きな負担になるため、ご自身で対処することが難しい場合は、専門業者に相談の上、プロの力を借りることがおすすめ。
発生したカビを除去するよりも未然に防ぐことのほうがはるかに効果的で、カビの発生原因をおさえ保管環境を整えることが大切です。
- 直射日光や高温多湿を避ける
- 風通しの良い場所で保管する
- 結露防止に調湿材を使用する
もし、これまでの方法でカビを防ぐことに限界を感じた場合、ペットの遺骨を粉骨し保管しやすくする方法についておさえておくことをおすすめします。
参考:ペット遺骨の粉骨ガイド|遺骨の粉砕から手元供養まで詳細解説!
適切なカビ対策を講じていれば、ペットの遺骨にカビが生えることはありません。
愛するペットの大切な形見や思い出を汚されないようにするためにもカビを未然に防ぎ、大切な宝物を守っていきましょう。
当サイト『ペットの終活コンシュルジュ』では、ペットロス対策に役立つ記事を追加・更新しています。ぜひ他の記事もご覧いただき、さまざまな場面で参考していただけますと幸いです。