川崎のアルコイリスでペルー料理
「川崎」それは神奈川県が誇る横浜に続く大都市、県庁所在地ではない自治体で唯一の100万都市、更には日本で唯一の男性比率が高い大都市。つまりちょっと治安が悪い街ではあります。それもそのはず20世紀に入ると川崎には大企業が次々と進出し、京浜工業地帯の中心となり、男性の働き手がわんさか増えました。すると繁華街、風俗店、競馬、競輪、ドヤ街なんかもセットで栄えてしまうのは自明の理です。しかし近年、タワマンやラゾーナ川崎ができたことで、場所によってはファミリー層に人気の街になりました。そしてデートスポット「チネチッタ」やJ1の「川崎フロンターレ」も設立され、場所によっては若者に人気な街になったのです。
今や川崎は、単純に治安が悪いだけではありません。場所によっては男性にも、ファミリーにも、若者にも魅力的な多様性のある街に成長したのです。その川崎で、私がお勧めするランチがペルー料理アルコイリスです。
川崎駅から徒歩圏内のペルー料理
アルコイリスはラゾーナ川崎から徒歩3分、中華料理、ベトナム料理、ムエタイジムなどのテナントが入るビル1階にあります。このビルのオーナーが何人なのか密かに気になります。
さてアルコイリスは1922年創業の老舗で店内は広々としていて清潔感がありペルー感のあふれるかわいいお店です。そしていたるところからリャマの視線を感じます。数名のおばさんスタッフがいらっしゃるのですが、ネイティブ日本人おばさんと比較して多少違和感のあるメイクをされていますし、断定的な日本語をあやつるので日系ペルー人なのだと思います。「好きな席どうぞ」と言って、水を取りに奥へ消え、水を置くと「注文QRコードね」という常套句を残し、また奥へ消えていきます。皆さん非常に大らかなので女性一人でも入りやすく、とてもありがたいお店です。
2人でランチメニューとデザートを注文。
平日ランチは11時半から14時半ラストオーダーで6種類のランチメニュー以外に日替わりランチ、アラカルトも選べるようです。ランチメニューですとスープと食後のコーヒーが付きます。
先日、主人と伺った際、初アルコイリスの主人は一番人気のLOMO SALTADO(牛肉ポテト炒め)とインカコーラ、私はESTOFADO DE POLLO(鳥肉の煮込み)とデザートにルクマプリンをお願いしました。
この店が凄いのは、オーダーをしてから秒でスープが運ばれてくることです。温かい黄色いスープは一見カレー味かと思いきや、優しいお味の野菜コンソメです。キャベツ以外は何が入っているのか詳細不明なのですが、何やら葉っぱのくずみたいのが浮いていて、ひとまず美味しいです。主人も「思っていた感じと違うけど、美味しい。」と驚いていました。私としては小学校の給食で食べたスープに似ている気がします。主人に「このスープね、私の小学校の給しょ」あたりでチキンの煮込みが運ばれてきました。迅速すぎる、迅速すぎて郷愁に浸る暇もない。けれどお皿にたっぷりと盛られた香ばしいお料理を見ると、興味はチキンに移ります。
ESTOFADO DE POLLO(鳥肉の煮込み)
チキンはレーズンと共にトマトで煮込まれているので、ほんのりフルーティーで甘味があり、他には人参、ポテトがドンと入っていて食欲を誘います。香辛料は控えめで、気持ちピリ辛程度、煮込みダレもサラサラとして食べやすいです。ESTOFADOとはシチューという意味ですが、小麦粉が入っていないので、日本人のイメージするシチューではありません。お米はペルー米なのか、さらっとしており、タレを浸してもべたつかずに美味しくいただけました。お米は少な目も選べますが、私は通常量でも丁度良かったです。
LOMO SALTADO(牛肉ポテト炒め)
主人の頼んだ牛肉炒めは牛肉、玉ねぎ、トマト、フライドポテトの醤油炒めで、これまた懐かしい味でした。子供の頃に食べた屋台の味とでもいうのか、醤油の香ばしい香りが日本人の口に合うと思いました。特に男性が好きそうな味です。ちなみにペルーに移り住んだ広東人の影響を受けたお料理だそうです。
インカコーラ
あのインカコーラもあります。
インカコーラは、ペルーで首都リマ建設400年を記念して1935年に発売された炭酸飲料水です。その黄金の輝きたるや、大量の着色料をぶちこまない限りは出せない、再現性は臨めない、凄まじい色彩を放つ飲み物です。ペルーではあのコカコーラを凌いで不動の人気を誇る国民的飲料水だそうです。以前、ペルー旅行の際、私は幾度となく飲用の機会を得ましたが、医療資源の乏しい南米の地で得体の知れない黄金色の液体を体内に入れるなどという危険な行為はできませんでした。ちなみに短慮な主人はグイグイ飲んでいました。しかしついに今回は私も一口飲んでみました。その味たるや、舌に残る甘ったるい風味、鼻に抜けない酸味、後を引かない爽快感、私は無理でした。何でしょう、何らかの駄菓子の味でした。
ルクマプリン
一方、デザートのルクマプリンはとても美味しかったです。濃厚な食感で、キャラメルプリンのようなしっかりとしたお味です。ルクマはペルー原産の果物でかぼちゃの様な見た目、栗のような味をしています。なんと2,000年前のインカ時代から食べられてきた素晴らしいフルーツなのです。100年たらずのインカコーラとは比べようもございません。食後のアイスコーヒーをいただきながら、至福の時間を過ごすことができました。
いつかランチメニューを制覇したいものです。しかし12時過ぎには入店待ちのお客さんが列をなす人気店、この日も12時15分には雨の中10人くらい並んでいました。ちなみにランチタイムのお支払いはカードが使えず、PayPayか現金です。
川崎のペルー料理アルコイリスはリーズナブルなのに美味しくて、懐かしいお料理を提供してくれる素敵なお店です。お客さんには男性も、ファミリーも、若者もおりました。
また是非、伺いたいです。アルコイリスのお料理はアンデス文明の名残りであり、小学校の給食の味であり、屋台の味であり、駄菓子の味であり、私の記憶に仕舞われた豊かな思い出に響く特別な味なのだと思います。
お店情報
アルコイリス 川崎店 ペルー料理
神奈川県川崎市幸区中幸町3-32
川崎駅から徒歩約4分
アルコイリス 川崎店 (ペルー料理 / 川崎駅、京急川崎駅、尻手駅)
昼総合点★★★☆☆ 3.8