#リュケイオンからの挑戦状⑤(推論)解答・解説

ツイッターで出題した #リュケイオンからの挑戦状 ⑤ の問題の解答や考え方、推論能力のトレーニング方法について解説しています。

【問題】

生命の存在には液体の水が必要である

上記の文に書かれたことが正しく、それのみを元に判断したとき、以下の文に書かれたことは正しいと言えるか。「正しいと言える」、「正しいとは言えない」のうちから答えなさい。

・液体の水が存在する惑星には、生命が存在する

【解答】

正しいとは言えない

【解説】

まず、

最初の「生命の存在には液体の水が必要である」の文

この文章は生命が存在するために液体の水が必要であることを示しているだけで、

「液体の水があれば必ず生命が存在する」、

つまり、生命が存在するために「液体の水が存在すれば十分」であることを意味しているのではありません。

液体の水が必要であることは分かりますが、液体の水だけで良いかどうかはこの文だけでは判断できません

野球とボールの関係に置き換えてみるとわかりやすいかと思います。

「野球をするにはボールが必要だ」

これはボールが必要だと言っているだけで、

ボールだけで野球ができることを意味していません。

次に、

「液体の水が存在する惑星には、生命が存在する」の文

「液体の水が存在する惑星」これは固有名詞ではなく、

特定の惑星を指しているのものではないため、

「液体の水が存在する惑星」一般について言っていると考えられます。

言い換えれば

液体の水が存在する惑星ならば、生命が存在する。

という感じです。

上で述べたように、液体の水が存在するだけで良いとは読めないので、

「液体の水が存在する惑星」という条件が満たされるだけでは生命が存在するかどうかがわからないため、

これは正しいとは言えません

もちろん、液体の水のほかに何かが必要である可能性と同時に、

液体の水が存在するだけでいい可能性も残されていますが、

与えられた文だけではそのように判断することができませんから、

「正しいとは言えない」が正解です。

野球とボールに置き換えてみるとこうなります。

【例題】

野球をするにはボールが必要である

上記の文に書かれたことが正しく、それのみを元に判断したとき、以下の文に書かれたことは正しいと言えるか。「正しいと言える」、「正しいとは言えない」のうちから答えなさい。

・ボールがあれば野球はできる。

与えられた文だけで判断すると、ボールだけで済む可能性は残されていますが、

この文だけでは他の条件(バットやベースなど)が必要か不要かがわからないので、

「正しいとは言えない」が正解というわけです。

入試でも良く出る「読めばわかる」問題;その出題理由は?

実際の学校の定期試験や入試問題でも、このように知識が無くても解ける問題というのは実は結構あります。

特にこのタイプの問題は国語や理科でよく見かけます。

数学の証明問題でも当然のように使います。

このような問題が出題される背景には、

難しい学校になると、受験生皆が勉強しているような知識問題だけでは点差が開きにくく、

そのような問題ばかりではうまく選抜できないという事情があります。

裏を返せば、どんなに難しい言葉を使った文章にも対応できる推論能力を身に着けていれば難関校で勝負できるということです。

ご家庭で簡単にできるトレーニング方法は?

ある程度の推論能力は実は発達の過程で自然に身についていますが、

それだけでは、この問題のような必要vs十分の錯誤や早まった一般化に代表されるような、

陥りがちな論理の誤りに気が付くことができず、

試験などに堪えるものにはなりません。

簡単にできるトレーニング方法はハッキリ言って無いと思います。

身近に論理的に突き詰めて話をしてくれるような人がいないと、

生活の中でトレーニングしていくのは難しいでしょう。

新聞の社説や科学雑誌、ニューズウィークのような週刊誌、科学読本など、

論理的な文章を読む習慣をつければ、自然に身についていく可能性がありますが、

時間はかかりますし、そもそもそれを読むための読解力が必要です。

最短距離で身に着ける方法を以下ご説明します。(つづく)

推論能力アップにお勧めの講座と教材

オンライン個別

先ほどもお話ししたように、

基本的な推論の仕組みは発達過程で日常生活を通じて自然に身に着けているものです。

たとえば、「炊飯器の中のご飯が減っているから、誰かが食べたに違いない」

これも立派な推論です。

しかしながら日常生活で身に着けた程度の推論というのは直感に近いものがあり、

得てして間違いを引き起こしやすいものです。

その間違いには、陥りやすいパターンというものがあります。

この問題のような必要vs十分の錯誤・早まった一般化もその一例です。

そのパターンを学ぶことで、

気が付きにくい推論の誤りを誤りとして認識できるようになるため、

誤りを引き起こしにくくなります。

誤りのパターンを学ぶことこそ、

推論能力を上げる近道なのです。

リュケイオン・オンラインではこの誤りのパターンをオンライン個別のレクチャーと演習問題を通じて学ぶことができます。

私が知る限りでは、小中学生向けでこの誤りのパターンを学習できるような教材や講座は弊社を除いてありません。

リュケイオンのオンライン個別は1時間2,500円~で受講することができます。

期間限定で更にお安くすることがあるので、ぜひ講座の紹介ページをチェックしてみてください。

すらら

すららの国語は、「誤りのパターンを学ぶ」よりもやや遠回りですが、

正しい文の読み方や論理の捉え方を一文の読解からはじめてみっちり学習できます。

すららの中学国語では1文→短文→長文のサイクルを3年間で3週も繰り返し、

最終的に入試レベルの長文を何題もやって仕上げるような構造になっています。

これをすべてやり終えたころには、

係り受けや照応解決のような文構造に関するものはもちろんのこと、

論理構造を的確にとらえることができるようになっているでしょう。

すららはリュケイオン・オンラインで3教科8,800円~で受講できます

値段はすららネット本部で受講する場合と変わりませんが、

リュケイオンオンラインでは講師にいつでも学習内容を直接質問ができたり、

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