裏フィンランド

憧れる人も多い北欧フィンランド、表面的なことだけでなく内側の部分を紹介します

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投稿した記事はカテゴリを分けています。
しかし記事一覧表があればより分かりやすいのではと思ったのでまとめてみます。

当はてなブログとnoteの違いについて

はてなブログではフィンランド移住に興味がある人や既に生活している方達に対しての情報提供の場です。ただ就労や言語習得だったりと、正直ちょっとお固い内容が多いでしょう。

日常の何気ないことや親しみが持てるようなフィンランド情報はnoteにて発信しています。何となくフィンランドを知りたいと思ってる方はこちらの訪問をおすすめします。

 

フィンランドで働く

就職活動や就労時に知っておいた方がいいこと

フィンランド留学で就労経験ービザの労働条件について
フィンランドで働くー労働文化編ー 採用プロセス
フィンランドで働くー労働文化編ー 退職の流れと解雇条件
フィンランドで働くー労働文化編ー 面談や評価制度
フィンランドで働くー労働文化編ー 福利厚生

税金について

フィンランドで働くー税金編ー 働くときは税金カードを取得しよう
フィンランドで働くー税金編ー 仕事に必要な経費を考える
フィンランドの行政機関公式動画で学ぶ税金用語

 

フィンランドで生活する

フィンランド語について

フィンランドで生活するのに必要な言語スキル
本当は難しい?フィンランド語の発音

 

フィンランドの自然について

注意!夏のフィンランド旅行、これに気を付けてー森と草むら編ー
注意!夏のフィンランド旅行、これに気を付けてー水辺編ー

はてなブログProを一時的に解約しました

表題の通りはてなブログProを一時的に解約しました。
来月からは一般ユーザーのブログになります。

 

一時解約の理由

私事ですが、2024年の春に転職してから少しづつ任される業務が増えてきています。
それに伴い記事の作成に時間を取れてない状況が続いています

残念ながら今後もこの状況が続く可能性が高く、自身のプライベート時間や個人的にやりたいことの時間を確保するので精一杯になりつつあります。

 

またはてなブログとは別にnoteというサービスでも日常的な内容で記事を書いています。このままではどちらも中途半端になるため、新しく始めたこちらの方の更新頻度を下げます。

※更新自体は完全に止めるつもりはありませんがほぼ更新停止状態になりそうです

 

さすがにそれにお金を払い続けるのも疑問なのでProを解約しました。
ブログ自体を削除する予定はありません。過去の記事は引き続き閲覧できますし、noteの方は更新する予定です。

 

また状況が落ち着いたら色々と書いていこうと思います。

 

フィンランドの食文化ー森の国フィンランドでは木の皮も食料

フィンランド料理と言うと皆さんどんな食事を思い浮かべるでしょうか。

黒くて丸いライ麦パン、サーモンスープ、トナカイ肉などが観光客に人気ですね。

現代では美味しい食事が食べられるようになったフィンランドですが、元は寒冷地に位置する小さな国。食べるものに困っていた時代がありました。

今日はそんな古きフィンランドのちょっと意外な食事を紹介してみます。

 

バークブレッド

フィンランド語で「Pettuleipä」と呼ばれています。
Leipäはパンを意味しますがPettuの意味は何でしょうか。

PettuleipäはPettuからできたパン、つまり松の木の皮から作られた粉から作られたパンです。
英語ではBark breadと呼ばれ、日本語にも英語訳がそのまま使用されています。

木の皮なんて使用して、味は美味しいのか気になるところですよね。
残念ながら味はそこまでいいわけではありません

樹皮粉を用いると通常のパンに比して苦みが増し、また出来上がるパンが食欲をそそられない灰緑色になってしまう。
イースト菌が樹皮粉を十分に分解できないためパンが膨らみにくく、硬く、型崩れしやすい、といった弱点も抱える。

 

現代風にアレンジしたものならともかく、原型版は誰にでもお勧めできるものではなさそうです。

 

なお、このパンは元々救荒食物(きゅうこうしょくもつ)として生まれました。
救荒食物とは異常気象や災害、戦争に伴い発生する飢餓などの理由で食べるものに困った際に食されていたものです。

 

例えば1918年、フィンランド内戦が起こった頃の話です。
当時は店で普通に松の木皮粉が手に入る状態だったとのこと。
なお地方では1930年代までこの松の木皮粉に頼らなければならない家庭もあったそうです。

そう考えると現代は本当に簡単に食料が手に入る世の中になったものですね。

 

なお現代でも教育の面や好奇心から"木の皮パン"を作っている人は一定数います。
ネットで調べればレシピも見つかるので興味がある人は作ってみてはどうでしょう。

 

画像引用元:
Kotiliesi
Yle
Yle

産業保健についての記述について

先月更新した「フィンランドで働くー労働文化編ー 福利厚生」にあります産業保健についての記述について補足があります。

本来であればどのような制度か説明するべきところですが、これは会社や業界によって非常に多岐に渡るため記述が非常に難しい部分です。

また勘違いをさせてしまう記述を万が一にした場合、給与の一部が適切に支払われないなどの弊害があります。

そのためこの部分に関しての記載は見合わせています。
このような形で記事を切ってしまうのは本意ではないでいつか適切な形に落とし込めるよう考えておきます。

フィンランドで働くー労働文化編ー 福利厚生

前回では評価制度についてお話ししました。

今回は福利厚生について話します。
こちらも評価制度と同様、職場によって非常に多岐に渡ります。
その中でも比較的一般的ともいえる福利厚生をそれぞれ紹介していきます。

もちろん職場によってはここで紹介した福利厚生がないこともあります
また試用期間内、もしくは短期やパートの雇用時は福利厚生が利用できないこともあります。
要件は確認するようにしましょう。

 

 

1. 対象サービスが実質半額に Epassi

まずはとても有名なこのサービスから。

「Epassi(エーパッシ)」と呼ばれています。
簡単に言うとこれは「お金をチャージしてサービス利用時に払う」電子マネーのようなサービスです。

チャージした額と同額のお金を雇用主側がチャージしてくれます
例えばあなたが€100チャージしたら雇用主側も同額を自動チャージ、合計€200のサービスを受けられるようになります。つまり実質半額になります。

 

なお勤務先によってはあなたがチャージしなくても一定額が自動で入金されるとこもあります。
その場合はチャージする必要がありません

※給与から引かれてるか、無償で会社から支給されるのかは場合によります。

 

対象サービス

これも職場によって様々です。対象は以下のサービスです。

職場によっては一部のみしか対応していないこともあります。

  • 食事(Epassi対応店で食事した場合のみ)
  • マッサージ
  • 歯の治療や健康診断
  • ジムやプールの利用料やヨガのクラスを受講
  • 映画館や劇場鑑賞
  • 交通費(HSLの定期券購入なんかにも使えます)

上限額が決まっている、また月単位で見るとそこまで多額の補助ではありません。
でもこれらのサービス利用が実質半額になるのはちょっと嬉しいですよね。


※上記図はチャージする必要がある場合を指しています。

利用時の注意点

もちろんチャージ額には年間の上限が設定されています。
上限額は職場によって変動することがあります。

年間の最大チャージ可能額を一度にチャージできるのか、少しづつ分けてチャージできるのかは職場によって異なります。
資金繰りが厳しいような規模が小さい会社や組織ですと後者の場合が多いでしょう。

なお雇用主側のチャージの有効期限は1年です。
使われなかった分は新年度に期限切れとなり消滅します。

例えば、残高がまだ€100あるのに新年を迎えたら雇用主側が負担していた分の€50が消滅し、€50(自己負担額のみ)が理論上残ります。
※もしくは次年度も同じ保障が継続されるならば新年度の分の補助を利用することになります。

使う予定がある場合は年内に使い切るようにしましょう。

 

2. 交通費の支給や自転車費用の負担

日本では一般的な交通費全額支給、フィンランドでは一般的ではありません
つまり交通費は自腹という会社員がそれなりにいます。

ただ会社によっては全額または一部負担、補助してくれるところもあります。
Epassiを介せず補助してくれる場合、Epassiは運動や食事など他のサービスに使えることを意味します。

なお交通費だけでなく自転車など、通勤に必要な物品の購入を補助してくれる場合もあります。

 

3. PC周辺機器やスマートフォンの割引販売

業務上必要なものは職場で支給されるものですが、プライベートで使用するものも社員割引で購入できることもあります。
使われなくなった少し古い型のノートPCを破格の値段で買い取ることができたり、最新のスマホを割引価格で買えたりと様々です。

 

4. 提携企業のサービスや店舗の割引

例えばフィンランドの大手スーパー、Kグループの社員やその提携会社の社員。
彼らはKグループのスーパーで5~10%OFFになる買い物ができます。
このように職場によっては提携企業サービスの割引や無料券などがもらえます。

 

5. 軽食や昼食の食事手当

職場によっては小腹が減った従業員のために軽食を用意しているところもあります。
生野菜やフルーツ、ゆで卵やヨーグルトにクッキー、パンや炭酸飲料など職場によって様々です。

ちなみに自分の職場はアイスクリームも対象なので好きな時に自由に食べれます。
(個人的に気に入っている福利厚生の一部です!)

フィンランドといえばコーヒー休憩文化(Kahvitaukokulttuuri)ですね。
ドリップコーヒーはほぼ全ての職場で無償提供されています

なお日によってはコーヒー休憩にプッラやケーキが出てくることもあります。

 

また昼食手当として雇用主側が全額負担、または一部負担してくれるところもあります。
提携先の食堂で食べたら無料、もしくは社員証を見せたら割引価格となることもあるでしょう。

Epassiを介して昼食補助としている雇用主もいます。

もしくは食堂で食べなかった場合はその日の分の昼食手当を現金で支給されることもあります。
これは給与支払い時に支給されることが多いと思います。

 

6. 医療費の負担

雇用主は「業務に支障がある症状がある」場合に従業員に対し医療費を負担してくれることがあります。
逆に業務に支障がないもの、また歯の治療は自己責任とし治療費は基本的に全額自己負担となります。

しかし職場によっては「年に〇〇€まで自己負担の治療費を支給する」医療費補助があります。

これを使えば定期健診や歯の治療に使うことができます。
治療費を気にせず病院に行きやすくなるでしょう。

個人的に専門医による診察は公共病院より私立病院の方が質が高い印象があります。
こういった福利厚生を利用して良いサービスを使えるというのは嬉しいですね。

 

7. 産業保健の提供

先ほど業務に支障がある症状がある場合、雇用主が治療費を負担してくれることがある、としました。
これは産業保健(Työterveys)と呼ばれています。

(2024/11/10追記)
本項に関しては下記の理由により、今現在解説を記述をしていません。

フィンランドで働くー労働文化編ー 面談や評価制度

無事内定を得て入社が決まった方、おめでとうございます!

フィンランドで働くということは最初は戸惑うこともあるかもしれません。
国が違うので当然日本とは違う労働文化や風習、制度があります。

今日はその内の一つ、面談や評価制度についてお話ししようと思います。

 

面談と評価

面談は主に無期雇用で正規の従業員に対して行われます。

シーズンバイトなどの短期契約や、派遣会社を通して仕事をしている人はほぼ対象外です。

フィンランドにも日本と同じく年に最低1回、職場によっては数回ほど上司との面談が予定されます。

面談は以下の名称で呼ばれることが多いです。
職場によって呼び名や扱いが大きく異なります。また複数の面談が行われることもあれば一つしか行われないこともあります。

呼び名の一例:

  • Yhteistyökeskustelu
  • Kehityskeskustelu
  • Kausikeskustelu
  • Tavoitekeskustelu
  • Arviointikeskustelu
  • Palkkakeskustelu

面談では主に「過去の業務の評価」や「給与交渉(昇給)」などを議題として、上司と話します。
また評価以外に「現在の業務で改善したいこと」や「今後挑戦したい業務」などを話し合うことがあるでしょう。

所要時間は職場や相談内容に大きく左右されますが、15分で終わるものもあれば2時間以上かかるケースもあります。

 

昇給について

基本的には2種類あります。評価制度による昇給と労働協約による自動昇給です。

評価制度は職場によって基準を設けているため非常に多岐に渡ります。
上司の一存で決まる場合もあれば社内規定に則ったりと様々です。

また労働協約が有効である業界ならば毎年数%、協約に基づいた率で自動的に昇給します。

労働協約は業界によります。
あなたの職場(業界)がどの組合に所属しているのか不明ならば確認しておきましょう。

 

面談は積極的に

フィンランドでは昇給交渉を始めとして、職場でこうしたほうがいいなどの提案や要望は「まず言ってみる」といった文化があります。

これは仕事に限らずフィンランドの文化的なものです。
「言わなければ伝わらない」を覚えておきましょう。

 

実際に要求が受け入れられるかは別として、とりあえず何でも言ってみることが大切です。「迷惑をかけるんじゃないかな」と気にする必要はありませんし、「察してほしい」は察してくれません。

これは自分の個人的見解ですが、業務について意見を言わない人は積極性に欠けるなと感じます。ぜひ恐れずに自分の意見を言ってみてください。

 

そして昇給の交渉(Palkankorotus)をするのはフィンランドでは一般的です。
お金に対して卑しいと思われたくない方もいるでしょうが自身の努力を正当に評価してもらうのは働く上でとても大切だと思っています。
きちんと「自分が何をどれだけ達成してきたのか」をアピールし、給与交渉に臨みましょう。

 

自分自身だけでなく上司や職場も評価する

これも職場に大きく左右されるところではありますが、フィンランドでは上司や職場に対する満足度を調査する習慣があります。

職場だけでなく学業の場でも行われることがあるので学生の立場でも身近なものとなるでしょう。その場合対象は学校や先生です。

 

Tyytyväiskysely(満足度調査)やTyöhyvinvointikysely(働きやすさ調査)といった名称で行われます。
匿名で行われることが多いでしょう。

直接面と向かって上司に言いにくい事や、上司だけでなく組織全体に対して物申したい時がある際はここで回答するといいでしょう。

「従業員はこの職場に在籍して満足しているかしてないか」が統計データとして出ます。
改善されるかは別として、管理職の人間が新たな気付きとなるきっかけにもなるかもしれません。

 

記事としては少々短いですが次回が少し長くなってしまうので一旦ここで切りたいと思います。
次回は福利厚生について説明します。

フィンランドで働くー労働文化編ー 退職の流れと解雇条件

前回はフィンランドの企業で採用される際のプロセスについて書きました。
今回はそれと合わせ、退職する際のプロセスについてを書きたいと思います。

退職時にトラブルとならないよう事前に把握しておきましょう。

 

 

退職手続きをする前の確認事項

退職時に適用されるルールは状況によって変わります。
そのためまずは退職する前に自分の状況、主に以下の点を確認しておきましょう。

  • 雇用期間について(有期雇用か無期雇用か)
  • 雇用形態について(民間企業の従業員だったか、公務員だったか)
  • 勤続年数(何年くらい働いていたのか、または試用期間中なのか)
  • 勤務先がどの業界に属しているか(労働協約TESの適用があるのかどうか)

それでは解説していきます。

 

雇用期間について

まず日本と同じく雇用期間が有期か無期かによって大きく左右されます。

有期雇用は一時的な雇用形態を指します。「Määräaikainen työ」と呼ばれています。
就業終了日が定められているため契約終了時に自動的に離職扱いになります。

無期雇用は常用雇用と同じで就業終了日が定められていません。「Vakituinen työ」と呼ばれています。
ですので退職したい時に別途申請をする必要があります。

 

有期雇用時の退職手続きについて

有期雇用の契約期間内に退職手続きをしたい場合、まず雇用主の合意が必要となります

被雇用者(労働者)の一存だけでは雇用契約を終了できません。
また同様に雇用主側の勝手な都合だけで雇用契約を終了することもできません。
もちろん双方の合意があれば期間内でも雇用契約を解除できます。

これだけ書くと契約満了まで絶対に働かないといけないのかなと感じるかもしれません。
でもそうでもないパターンもあるので安心してください。

よくあるのは「無期雇用で雇ってくれる会社を見つけた」という形で退職する場合です。
ちょっとした臨時のお手伝いポジションならば雇用主もそれで納得してくれるパターンが多いでしょう。そのためこの理由で転職する人はわりと多いです。

フィンランドでは有期雇用より無期雇用のが人気があります。
その方が次の仕事を期限を気にせず探す必要がなくていいですよね。

 

ただしプロジェクト単位の雇用では途中で退職されてしまうと損害がでてしまうこともあります。
雇用契約を解除したい側が責任を問われ、賠償金支払いなどが発生する可能性は0ではありません。

双方の合意を得られないかもしれないケースは注意しておきましょう。

 

無期雇用時の退職手続きについて

雇用期間が無期限であれば申請する必要があります。
書面またはメールにて退職したい旨を書き、上司に連絡するのが一般的です。

退職手続きは企業や組織にもよるので必ず確認するようにしましょう。
また公務職に勤めている方は退職方法は民間企業とは異なります。

書面さえ渡せば法律上問題はないのですが、もし上司に話を通さずいきなり届出だけ出したら相手を驚かせてしまうでしょう。

会話をするのに問題がない状況なら、書面で出す前に口頭で申し入れをする方が良いですね。
届出を提出したら翌日から退職するまでの期間(Irtisanomisaika)のカウントがスタートします。

退職するまでの期間が終了したら雇用契約は終了となります。

 

退職するまでの期間 Irtisanomisaika

退職届を提出してから退職日までの期間は日本と異なるので注意が必要です。

例えば日本は民法でこのように定められています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

(民法第627条第1項)

2週間と定められていますが就業規則や引継ぎの関係上、それ以上時間を要するケースもあるでしょう。
逆に雇用主と被雇用者、双方の合意があれば即日の退職も可能です。

 

一方フィンランドでは退職までの期間(Irtisanomisaika)は業界によって異なります
なおこの退職までの期間は被雇用者の勤続年数と役職によって大きく変動します

それでは学生やワーホリの人が働くことになりそうな飲食業界(PAM)を例にしてみましょう。
この業界では労働組合が合意した労働協約により雇用について取り決められています。

転職活動前には退職するまでの期間を予め確認しておきましょう。
調べておけば面接時に「いつから仕事が開始できるのか?」の質問にスムーズに答えられます。

 

補足:労働協約がない業界の取り決めについて

退職するまでの期間を始めとして、雇用条件などあらゆる取り決めには優先順位が存在します。

労働協約 > 雇用主と被雇用者間の雇用契約、または企業毎の取り決め > 法律

といった順序で上書きされていくようなイメージです。

(例)

  • 労働協約が法律より悪い条件になることはありません。
  • 労働協約が有効であれば、個人と雇用主間の雇用契約書にて労働協約より悪い条件を記載することはできません。
  • 労働協約の記載がない事項であれば、個人と雇用主間の雇用契約書上にて新たな取り決めを作ることができます。

労働協約については自身の過去note記事にて解説しています。
少しややこしい内容ですがフィンランドで働く上で知っておくと役立つこともあるので、興味のある方は是非読んでみてください。

 

有効な労働協約もなく、雇用契約書に記載なし、または企業全体の取り決めにも記載されてない場合は雇用契約法が適用されます。

退職までの期間が協約や雇用契約書で定まっていないケースでは法により以下の期間が定められてます。

 

試用期間中の退職手続きについて Työsopimuksen purkaminen koeaikana

フィンランドでは日本同様、試用期間が設けられています。
フィンランド語では「Koeaika」といいます。

ただしフィンランドの試用期間は正当な理由がなくとも即日雇用契約を解除することができます
また理由も開示されないこともあります。

雇用主はもちろん、被雇用者も自分に合った職場ではないと感じたらすぐに雇用契約を解除できます。
双方にとってのお試し期間です。「お互い良き雇用関係を結べるか」を見極め、決断をしやすいですね。

試用期間中の退職手続きは口頭で伝えるだけの場合もありますが、職場によるので確認しましょう。

 

退職前の有給消化は一般的ではないフィンランド Lomakorvaus

日本では退職前に有給を消化するのが一般的です。
しかしフィンランドでは逆に有給を消化しないパターンが多いです。

もちろん退職届を出す前、取得すると申請した有給休暇は通常通り休めます。

年次有給休暇を申請は雇用主の承認が必要、というのが第一としてあります。
そのため雇用主が承諾すれば有給を消化することはできますが、引継ぎの関係などで申請が受理されないこともあります。

申請の受理は絶対ではないため受け付けてくれない雇用主もいることを覚えておきましょう。
その際退職するまでに消化できなかった有給は買取(Lomakorvaus)で保証されます

例えば転職後、有給休暇日数が無いので無給で夏季休暇を取得したいという人は一定数います。

その際、前職場の有給休暇分の買取額を無給期間に充てるといったテクニックが使えます。

 

転職活動時のおすすめ退職スケジュール

フィンランドでは次の仕事先が決まる前に退職するのはおすすめしません。

転職市場が小さいというのもあり、タイミングが悪いと次の仕事が中々決まらない事もあります。
これは実務経験が既にある人にも当てはまります。

そのため常に人手不足の業界や職種を除き、在職中に転職活動をすることを強くおすすめします。

退職した後は職歴証明書をもらおう Työtodistus

フィンランドでは「いつからいつまで、会社のこのポジションで働いた」という職歴の証明書が必要になる時があります。証明書のことをTyötodistusと言います。

会社によっては自動発行されますが、自ら申し出ないと発給されないこともあります
退職前に上司にどのように申請する必要があるかを確認しておくとスムーズでしょう。

なお雇用契約終了日から10年以上経過すると貰えなくなってしまうこともあります。
忘れるのを防ぐためにも退職時に貰えるようササっと申請しておきましょう。

 


 

以上、被雇用者からの自己都合退職の場合について解説しました。
これからは雇用主側からの解雇予告についても少し書いていきます。

 

解雇について Työsopimuksen irtisanominen työnantajan toimesta

労働者の解雇は試用期間を除き、正当な理由がなければ解雇をすることができません。

現政権はこれを緩和しようと政策を進めているため今後どうなるかはわかりません。

 

無給の休暇 Lomautus

正当な理由の中には「経営不振」「事業の縮小」が含まれます。

その場合いきなり解雇するのではなく、給与を出さない無給休暇を従業員に言い渡す時があります。
これはLomautusと呼ばれる制度です。

一時的な措置として人件費を節約するのと同時に、今後経営状況が好転した時のために従業員を確保しておくという目的があります。
この期間中は被雇用者はKelaまたは条件が合えば失業基金から失業手当を貰えます。

コロナ時に経営が厳しい業界はLomautusとなる人が多かったです。

 

無給休暇中に退職について Lomautetun työntekijän työsuhteen päättyminen

無給休暇中に退職を申し出たらどうなるでしょうか。

無給休暇中では基本的に退職までの期間に従う必要がない権利が発生し、即日退職が可能です。
先の見えない状態で落ち着かないよりは他の仕事を探した方がいいかもしれませんね。

ただし無給休暇が終わる直前、終了日から遡って7日間はこの権利が適用されません
直前となる場合は通常通り退職までの待ちの期間が発生してしまいます。

なお雇用主が解雇する場合、無給休暇とは関係無しに一定期間分の給与相当額を支払う必要があります。

 

警告 Varoitus

「経営不振」「事業の縮小」以外の解雇理由の場合はどうでしょうか。

例えば問題を起こした従業員に対しての解雇です。
解雇と言っても警告などの段階を踏んでから解雇になる場合もあります。

警告はフィンランド語で「Varoitus」と言い、書面上で行われる正式な警告は「Kirjallinen varoitus」と呼ばれます。

会社にもよりますが大体3回目あたりで解雇になると考えた方がいいでしょう。
サッカーに例えるならばこれはイエローカードです。

どういった時に警告が来るのかは以下のパターンが多いのではないでしょうか。

  • 正当な理由のない欠勤や無断遅刻などをした
  • 会社が指示している安全対策や就業規則に従って業務を行わなかった
  • 他従業員に対してハラスメントや人種差別的行為を行った

 

 

もちろん警告の課程を飛ばし一発退場、つまりレッドカードとなる場合もありえます。
例を挙げるのが非常に難しいですが、あえて挙げるとしたら以下のような場合でしょうか。

  • 他従業員に対して暴行や傷害行為を行った
  • 横領や情報漏洩を意図的に行った(損失が小さい場合は適用されないかもしれません)
  • 雇用契約書に記載してある禁止事項を実施した
  • 犯罪行為を行った(職場によってはアウトだったりセーフだったりします)

 


 

いかがでしたでしょうか。
日本とフィンランドでは採用プロセスだけでなく退職も違う点が多々あります。

きちんと把握しておけばトラブル防止に繋がりますので是非確認しておきましょう。