前回では、情報革命が、情報社会を効率よく運営する社会システムを生み出しているところであると述べました。情報革命が、ネットワーク技術やIT技術等によって単に便利な情報社会を生んでいるだけではなく、その情報社会を効率良く回していく仕組み(社会制度)を構築しつつある、という話です。
もう少し詳しく見ていきましょう。
トフラーは、農業社会 → 工業社会 → 情報社会への変遷を唱えました。第一の農業社会から考察しましょう。
農業社会での主たる流通の対象は何でしょうか。それは、紛れもなく「農作物」です。江戸時代までの日本社会は、少数の都市中央部を除いて社会の構成員のほとんどが農民であり、農民は一定量の土地で一定量の農作物を栽培して、封建領主などにその農作物の一部を収めていました。例えば、米を栽培している農民は年貢米を大名に納めていました。年貢米という現物を納めているので、年貢米を貨幣に置き換えることもなく、すなわち年貢米は「商品」ではありませんでした。
また、農業技術もそれほど進んでいなかったので、土地の大きさに比例して、農作物の生産量がほぼ決まっていました。一定量の土地から一定量の農作物が栽培されるので、土地の測量(検地)や土地の管理(誰がどのくらいの土地を有しているかの把握)が、社会を成り立たせる上で極めて重要になっていました。当然にして、土地の管理・運営に長けた社会制度が求められることとなり、その社会制度が「封建主義社会制度」でした。
封建主義社会制度は、封建領主が農民を護る仕組みであり、その見返りとして農民は封建領主に農作物を貢ぎます。(石高の得られる)武士であれば土地を仲立ちとした主従関係を封建領主と結び、封建領主から俸禄米をもらっていました。
第二の工業社会はどうでしょうか。工業社会での主たる流通の対象は、、、もうお分かりですよね。そうです。工業製品=商品です。
封建主義社会が農作物中心経済であるのに対して、工業社会は商品取引経済です。工業社会では大量の商品が生産され、流通されます。都市部のみならず、農村等を含む地方のあらゆる場所に商品が流通し、更には国境を超えて世界中に商品が流通します。世界中の消費者は自分の好みの商品を購入して、それを消費します。
商品には、衣食住の対象、すなわち服飾品、食料品、家屋・家財道具が含まれるのはもちろんのこと、自家用車等の実用品、趣味の嗜好品・骨董品、ライブ観劇やスポーツ観戦のチケットなど、ありとあらゆる種類のものが含まれます。もちろん、書籍、CD(音楽)、DVD(映画)などのコンテンツ商品なども含まれます。
そして、この商品を生み出すものは「資本」であり、資本が商品の生産・流通を生み出す価値の源泉になっています。『資本論』では、資本は「価値を生み出す価値」として説明されています。
さて、この資本の管理・運営に長けた社会制度は、、、紛れもない「資本主義社会制度」です。いま我々が生きている社会です。
次回は、「第一の封建主義社会制度」「第二の資本主義社会制度」を踏まえて、第三の社会制度、今まさに生まれようとしている新しい社会制度について考察しましょう!