ソコトラ諸島 異質な植物と生物の宝庫

植物

ソコトラ諸島 異質な植物と生物の宝庫

ソコトラ諸島はインド洋に浮かぶ4つの島からなるイエメンの小さな群島である。

アラビア海のガラパゴス諸島のような生物多様性の宝庫の島々であり、イエメン本土のあるアラビア半島から隔離されて進化してきたかなりユニークな生物多様性で知られている。

その別世界のような固有動植物から「地球上で最も異質な場所」という異名でも呼ばれ、なんと植物種についてはその3分の1以上が地球上のどこにも生息していないものだ。

ドラゴンブラッドツリー 竜血樹

例としてまずはソコトラ島の代名詞ともいえる木、ドラゴンブラッドツリーを紹介したい。

ドラセナ・シンナバリ(Dracaena cinnabari)とも呼ばれるドラゴンブラッドツリーはその名前の通り血の様な赤い樹液を出す木だ。

こちらの動画を見てもらえれば、あなたも見たことがあると思うかもしれない。傘のような形をした樹冠でも有名だ。

THE DRAGON BLOOD TREE !

また、ソコトラ島独特の植物としては、砂漠のバラ(アデニウム・オベスム・ソコトラナム)もある。

これは、乾季に水を蓄えるために球根状の幹を持ち、ソコトラ島の険しい地形と対照的な美しいピンク色の花を咲かせる。

さらんかつて世界で最も貴重な資源であった乳香の木もソコトラ島で見られ、ソコトラ島が世界的な乳香貿易の重要な一部であった時代とのつながりを示している。

Adenium – Why my Desert Rose has so many flowers?

ソコトラ島の生物

ソコトラ島は一般に動物相よりも上記の竜血樹のようなユニークな植物相で知られている。

しかし、島にはいくつかの変わった生き物たちも生息しているのでそちらも紹介したい。ただしこちらは植物に比べると、正直地味ではある。大型哺乳類は移入されたヤギくらいしかいないのである。ということでこちらの紹介はまずはトカゲkらだ。

トカゲ: ソコトラ島には様々な種類のトカゲがいる。世界的に見れば大きくはないが、島で見られる動物の中ではそれでも大型の部類に入る。そして有名なのは足なしトカゲだ。

こちらの動画を見てもらえればわかる。蛇の苦手な人は注意してほしい。一応本当に脚なしトカゲである。何回見ても蛇にしか見えないけれど。

エジプトハゲワシ: ソコトラ島に生息する鳥類の中では大型の部類に入る。腐肉を食べ、道具を使って卵を割るなど、その知能の高さでも知られている。

ソコトラオオハシ: こちらも猛禽類。ソコトラ島に生息する大型の動物のひとつである。動物園の人気者であるくちばしの大きな動かないスローライフの鳥、ハシビロコウと近縁種である。

島にはその他にも多くの固有種の鳥がいる。ソコトラムクドリ、ソコトラサンショウクイ、ソコトラグロスビード、そして次に紹介する海鵜などだ。世界的なバードウォッチャーのパラダイスの一つである。

ソコトラウミウ: この島に生息する海鳥。大きくはないが、島で見られる鳥類の中では大型の部類に入る。繁殖シーズンは大量の鵜が大集結し、なかなか迫力がある。是非こちらの動画を見てほしい。

そしてそこに住む人々

ちなみに地理的に孤立した島であるにもかかわらず、ソコトラ島には数千年前から人が住んでいる。島内にはさまざまな言語で書かれた碑文も残っていて古代から多様な文化があったことがわかっている。

伝説の地としても有名だ。エデンの園の原型の場所であるという地元の伝説もあり、聖書やオペラなどでも有名なあのシバの女王がかつてこの島を訪れたとも信じられている。

大航海時代以降の時代では16世紀のポルトガルから19世紀、20世紀のイギリスまで、長年にわたってさまざまな植民地支配の対象となってきた。

たとえば島最大の町ハディブには植民地時代の建築様式の建物が今でもいくつか残っている。

では元のその前に元々住んでいた人たちは誰か?

ソコトラ島の先住民はちゃんといる。その名もソコトリ族である。彼らは独自の言語と文化を持っており、ソコトリ語はイスラム以前のアラビア語のひとつだ。

長い歴史を見るならずっとソコトラ島はアフリカ、アラビア半島だけでなく地中海やインド亜大陸を結ぶ、多様な集団の交易路の中継点という重要ポジションであった。島中には現在も考古学的遺跡が残っているほどだ。

ちなみに現在の産業としては先述のドラゴンブラッドツリーの栽培、そして中東地域でハチミツやポテトチップスのように愛され常食されている植物であるナツメヤシの栽培が経済を支えている。

もちろん豊富な魚介資源に囲まれているので漁業も盛んである。

ソコトラ群島のソコトラ島以外の他の3つの島、アブド・アル・クリ島、サムハ島、ダルサ島については、はるかに小さく、人はほとんど住んでいない。しかし生物的な観点からはこの地域の生物多様性に貢献しており、それぞれにさまざまな動植物種が生息している。

現在、イエメンに所属しているこの群島は2015年から始まったイエメン紛争の場の一部となっている。激しい争いこそ少ないものの地域住民の間では分裂が生じている。そしてその独自の生態系の保護にも影響を脅かしかねない事態に直面している。

こちらはソコトラの人々の伝統的な祈りの様子だ。荘厳である。

その他ソコトラ豆知識

ソコトラ島には世界で最も手つかずの自然が残るサンゴ礁もある。こうしたサンゴショウは海の多様性だけでなく陸上の生物の豊かさと相互に補完する役割を持っている。これからも失われないでほしいものだ。

どう見ても蛇にしか見えないような脚なしトカゲを紹介してまた少しかわいい動物好きからは嫌われてしまいそうだが、さまざまな種類の鳥や、特にコウモリが生息するユニークな鍾乳洞もソコトラにはある。

この島はそこまで変わっている種類ではないが海洋生物も豊富である。沿岸では絶滅の危機に瀕しているタイマイをはじめとするさまざまなウミガメの繁殖地でもある。

最後に全体の風景をどうぞ。

The Alien Beauty of Socotra Island

自然が美しいのは言うまでもないが、やはり立っている木が独特で、スターウォーズやドラゴンボールのキャラクターたちが寝転んで果物を食べていそうな風景である。。皆さんはどんな印象を抱いただろうか。

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