2025年10月14日で Windows 10 のサポートが終了します。そのため、Windows 11 がインストールされた中古のノートパソコンを探している方は多いのではないでしょうか。その際に「Office 付き」を条件にしている場合、ちょっと冷静に考えてください。
「Office 付き中古 PC はお得」というイメージに惑わされがちですが、トータルで考えればあまりお得ではないことがあるので注意が必要です。結論から言うと、長期的に使うことを考えるなら、Office なしのノート PC + Microsoft 365 の組み合わせの方がお得です。
そこで、Office 付き中古 PC に潜む「落とし穴」と、長期的に見て本当にコスパの良い選択肢を、わかりやすく解説します。
中古ノートパソコン市場は盛況。でもOfficeには落とし穴が
中古ノートパソコン市場は、リモートワークの浸透やテレワーク需要の高まりを背景に、ここ数年でかなり活発になっています。もし、これから中古ノート PC を購入するなら「Windows11 が問題なく使える」比較的新しいモデルを選ぶべきでしょう。
一般的に、Windows 11 に正式対応している中古ノート PC は、2 万円〜5 万円程度の価格帯がボリュームゾーンとなっています。性能としては、Core i3 や i5 の第8世代以降、メモリ 8GB〜16GB、SSD 搭載モデルが主流です。試しに Amazon で検索すると、2 万円を切る中古ノート PC も結構多いですね。
そしてこの価格帯の PC には、「Office付き」と表示されているものも数多く存在します。Windows 11 に対応したノート PC で「Office付き」となれば、見た目には非常にお得に感じるかもしれません。ですが、ここに思わぬ落とし穴があるのです。
中古 PC に付属している Office の多くは古いバージョン。すでにサポートの終了が間近、または終了しているケースも少なくありません。例えば、下の画像のように Office 2019 がインストールされているものが多いですね。最新の買い切り版は「Office 2024」ですから、2 世代前ということになります。

Officeバージョン別のサポート状況
Office のサポート終了時期について確認してみましょう。
バージョン | サポート終了 | リスク |
---|---|---|
Office 2016 | 2025年10月14日 | Windows 10 と同日にサポート終了 |
Office 2019 | 2025年10月14日 | 現在の中古 PC で最も多い。Windows 10 と同日にサポート終了 |
Office 2021 | 2026年10月13日 | 比較的新しいが、来年の秋に終了するので、長期利用にはやや不安 |
現在出回っている中古 PC の多くには、Office 2019 が搭載されているケースが多く見られます。中には Office 2021 が含まれている場合もありますが、数はまだ少なめです。
サポートが終了すると、セキュリティ更新が止まり、ウイルス感染や互換性問題が発生しやすくなります。また、新しいWindowsとの互換性も落ちていきます。そのため、最新の Windows 環境で長く使いたい方には注意が必要なんですね。
ちなみに、Office 2016 と 2019 は、メインストリームのサポート期間はすでに終了していて、表にある日付は延長サポートの終了日です。メインストリームとは、機能追加も踏まえた修正プログラムが提供される期間のこと。延長サポートは、動作障害やバグに対する修正プログラムのみ提供される期間のことです。
つまり、今年の 10 月で完全にサポートが終了するので、使い続けるリスクが格段に上がるということですね。
「Office付き」と「Officeなし」の価格差を比べてみる
Office付きモデルとなしモデルを比較すると、「Office付き」のモデルは同等スペックの「Officeなし」モデルより数千円〜1万円ほど高い傾向があります。
つまり、その差額で Microsoft 365 を導入することも可能ですし、浮いた分でメモリやストレージ容量の高い PC を選ぶこともできます。Office のサポートが切れるため、近い将来に Office の購入が必要なことを考えると、Office 付きモデルを購入するのは、あまり得策だとは言えません。
長期的に見てお得なのは「OfficeなしノートPC」+「Microsoft 365」
ここまで説明してきたように、中古ノート PC にインストールされている Office は、サポート期限がまもなく切れるものがほとんどです。そのため、継続的に使うなら、「Officeなし」の中古ノートPCに「Microsoft 365」を組み合わせるのが圧倒的にコスパが良好です。
Microsoft 365 なら、常に最新バージョンの Word、Excel、PowerPoint などが使え、1TB の OneDrive ストレージも利用可能。複数デバイスでの利用もできるため、PC に縛られず、スマホやタブレットでも作業が可能です。Microsoft 365と買い切り型Officeの違いについて詳しくは、以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
とは言っても、「Microsoft 365 はサブスク契約なので、毎月お金が取られて嫌だ!」と考える人は多いと思います(私もそうです)。ですが、こちらもトータルで考えると、買い切りとそれほどの差がないんですよね(詳しくは上の記事を参照)。
また、サブスク契約ではありますが、Microsoft 365 のライセンスは Amazon などで定期的にセールされています。よって、セール時に購入することで、コストを大幅に抑えることができます。
どうしてもOffice付きにこだわるなら互換Officeに要注意
「やはりサブスクには抵抗がある!」という方の場合は、できる限り、新しい Office がインストールされているモデルを選んだ方がいいでしょう。そこで気をつけたいのは、「互換 Office」がインストールされているノート PC。
「Office 付き」とうたっている中古ノートパソコンの中には、マイクロソフト製の Office ではなく、「互換Office(WPS Office、LibreOffice など)」がインストールされているものもあります。
一見すると Word や Excel と同じように見えるかもしれませんが、
- 書式が崩れることがある
- マクロや関数の一部が非対応
- ファイルの互換性に問題がある
といった理由で、ビジネスや学校での使用には向いていないケースが多いです。
特に「Office ソフト付き!」とだけ書かれていて、詳細にマイクロソフト製とは明記されていない場合は、互換 Office が入っている可能性が高いです。Office の有無だけでなく、どのバージョンの Office が入っているかは必ずチェックしましょう。
まとめ:本当にお得な選び方をしよう
「Office 付きの中古ノートパソコン」は一見魅力的ですが、冷静に考えるとあまりコスパがよくありません。
サポートが終了間近、または終了した古い Office を抱えるより、自分に合った PC と Microsoft 365 を組み合わせた方が、結果的に安く、安全に、長く使える選択になります。
もちろん、「ネットに繋がない」「特定の用途にしか Office を使わない」という方は買い切り Office でも十分ではあります。ただ、そういう使い方は限りなく少数派になるかと思うので、普段の仕事や勉強に使うということであれば、Microsoft 365 を使った方がいいと思いますね。
「Office 付き中古 PC はお得」という幻想にとらわれると、逆に高い買い物になる可能性があるので、その点に注意して、パソコンを選ぶといいのではないでしょうか。この記事が皆さんの中古 PC 選びの参考になれば幸いです。
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