研究論文
Modulation of the oxidative plasmatic state in gastroesophageal reflux disease with the addition of rich water molecular hydrogen: A new biological vision(水素水の追加による胃食道逆流症の酸化ストレス調整:新しい生物学的視点)

胃食道逆流症の補助療法としての水素水の効果

一言まとめ

胃食道逆流症(GERD)患者84名に、プロトンポンプ阻害剤(PPI)単独治療群と PPI+水素水併用治療群で3ヶ月間の比較試験を実施。水素水併用群で症状と酸化ストレスの有意な改善を確認。

3分で読める詳細解説

結論

水素水とPPIの併用療法は、GERDの症状と酸化ストレスを有意に改善し、患者のQOLを向上。

研究の背景と目的

GERDは、胃内容物の食道への逆流による慢性的な症状や炎症を特徴とし、酸化ストレスがその発症と進行に関与する。一般的な治療法であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)は酸分泌を抑制するが、効果が不十分な患者や副作用も報告されている。本研究は、水素分子を豊富に含む電解還元水(ERW)が、酸化ストレスを軽減し、GERDの症状と生活の質を改善する可能性を評価することを目的とした。

研究方法

  • 対象: GERDと診断された84名(男性40名、女性44名、平均年齢約52歳)
  • 治療法:
    • 対照群(CG): PPI(パンタプラゾール)40 mg/日(初月)、20 mg/日(2–3か月)+水道水(1,500mL/日)
    • 実験群(EG): PPI + ERW(1,500mL/日、pH 8.1–11.6、Eh値–200~–800 mV)
  • 期間: 3か月
  • 評価項目:
    • GERD症状スコア(GERD-HRQL、胸焼けスコア[HS]、逆流スコア[RS])
    • 酸化ストレス関連指標(d-ROMsテスト、BAPテスト、NO、MDAなど)
    • 質問票で患者満足度を評価

研究結果

  • 症状改善:
    • GERD総スコア(TS): CGで63→38(P < .001)、EGで56.5→27.5(P < .001)
    • 胸焼けスコア(HS): CGで25→15、EGで23.5→7.0(P < .001)
    • 逆流スコア(RS): CGで25→15.5、EGで25→7.5(P < .001)
  • 酸化ストレスの軽減:
    • d-ROMs: CGで385→381、EGで403→292(P < .001)
    • BAP: CGで839→798、EGで855→1,797(P < .001)
    • NO: CGで57.2→41.1 nmol/mL(P < .001)
  • 満足度:
    • ERW群で75%が「良い」と評価

Appendix(用語解説)

  • GERD(胃食道逆流症): 胃酸などが食道に逆流して起こる症状や炎症。
  • 酸化ストレス: 活性酸素種(ROS)が体内で過剰になり、抗酸化能力を超える状態。
  • d-ROMsテスト: 血漿中の酸化ストレスレベルを評価する指標。
  • BAPテスト: 血漿中の抗酸化能を評価する指標。
  • NO(窒素酸化物): 細胞内信号伝達に関与するが、過剰になると炎症や酸化ダメージを誘発。

論文情報

タイトル

Modulation of the oxidative plasmatic state in gastroesophageal reflux disease with the addition of rich water molecular hydrogen: A new biological vision(水素水の追加による胃食道逆流症の酸化ストレス調整:新しい生物学的視点)

引用元

Franceschelli, S., Gatta, D. M. P., Pesce, M., Ferrone, A., Di Martino, G., Di Nicola, M., De Lutiis, M. A., Vitacolonna, E., Patruno, A., Grilli, A., Felaco, M., & Speranza, L. (2018). Modulation of the oxidative plasmatic state in gastroesophageal reflux disease with the addition of rich water molecular hydrogen: A new biological vision. Journal of cellular and molecular medicine22(5), 2750–2759. https://doi.org/10.1111/jcmm.13569

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