温泉博物館 名誉館長の 温泉ブログ

  温泉の科学や温泉現象について、わかりやすく解説します

読めない「温泉用語」って結構ありますよね!

「膠状珪酸」と「鮞状珪石」

北アルプスの「表銀座」の登山口にある中房温泉では、微生物の働きによって温泉成分からゼラチン状の珪酸(珪酸とゼラチン状物質の混合物かと思われる)が生成され、その稀少性から国の天然記念物に指定されています。指定名称は「膠状珪酸」で、「こうじょうけいさん」と読みます。「膠」は動物から抽出したコラーゲンを煮詰めて作る「にかわ」のことです。

中房温泉の膠状珪酸(中央のゼラチン状部分)

秋田県秋の宮温泉では、温泉成分から球状の珪華が生成され、「鮞状珪石」という名称で天然記念物に指定されています。「鮞」とは「魚の卵」という意味の漢字です。地元では、秋田特産のハタハタの卵に似ていることから「ブリコ石」と言われています。

秋の宮温泉産「鮞状珪石」(下呂発温泉博物館蔵)

「無色澄明」

一覧表の中に「無色澄明」という言葉が載せてありますが、「透明」の誤りではありません。特に水や空気が澄んでいる時にあえて「澄明」を使うことがあるようで、温泉分析書の知覚的試験欄の記載に使われます。

温泉分析書の知覚試験欄の記載

難読温泉用語の一例

今でこそいろいろな温泉用語が読めるようになりましたが、最初は読み方がわからず戸惑ったものがたくさんありました。そのような私の情けない経験から、読みにくそうな温泉用語の読み方を表にまとめてみました。「女将」や「老舗旅館」など難易度が低そうなものも登場しますが、子どもたちにも覚えてほしい用語としてあえて位置づけました。

富山県新湯産「玉滴石」(オパールの一種)

秋田県玉川温泉産「北投石

島根県木部谷温泉「間歇泉」

日本初温泉分析法を記した化学書舎密開宗

それぞれの用語の意味は書きませんでしたので、必要に応じで検索して調べていただければと思います。