温泉とレジオネラ属菌
「温泉浴槽から基準値を大幅に上回るレジオネラ属菌が検出された」といったニュースが後を絶ちません。
平成14年に起きた宮崎県の日向サンパーク温泉の事故は大変ショッキングで、記憶に新しいところです。6月の体験入浴を経て7月1日 に正式開業し、わずか7月23日 までの間に入浴者19,773名のうち295名がレジオネラ症を発症し、7名が亡くなりました。
レジオネラ属菌は、土壌や河川などの自然界に存在している細菌ですが、温泉の温度はレジオネラ属菌が増殖するのにとっても適した温度ですので、こまめな換水や清掃などの基本的な衛生管理を怠るとすぐに増殖します。特に循環式浴槽などの水回りの中に発生するアメーバー状のバイオフィルムの中に潜伏して増殖することが知られています。
レジオネラ属菌が肺の中に取り込まれると、感染してレジオネラ肺炎を発症し、ひどい場合は上述したように死に至ることもあります。
「打たせ湯」や「給湯口」に注意!
循環している温泉水が肺の中に取り込まれる状況とはどんな時かを想像してみると、「打たせ湯」や「お湯が浴槽に注がれる給湯口」などが特に心配です。
写真は、給湯口から湯が注がれる様子を写したものです。動画ではないのでわかりにくいのですが、飛沫がかなり飛んでいるのを確認しました。
温泉施設の中には、本当はいけないのですが循環湯を打たせ湯として落としている場合が少なくありません。そのような打たせ湯を頭からかぶりながら「息をしている」訳ですので、鼻や口から「レジオネラ属菌を含んだ飛沫」を取り込んでしまう可能性が大いにあります。給湯口の近くに陣取って入浴していても同様で、飛沫が口から肺の中に入るかもしれません。入浴中の浴槽が循環式の浴槽ならば、給湯口から逃げるべきです!
健康のために温泉に行って、病気になってはいけません。