脱学生作品の流儀!学生でも出来る企画プレゼンとロケ地交渉は基本を押さえよう

こんにちは!渡邊です。
前回の記事では、AC学生広告賞応募作品用のCMの企画出し、『最初の時点で撮れるかどうか考えて物語を作らない』という話でした。 



今回は、その考えたアイディアをいかにして形にしていくか、撮影までの準備と関係各所への交渉についてもたくさんの学びがありましたので共有させていただきます。

アイディアが形になるまで

さて、前回のコンセプトを考える段階では、「撮れるかどうかは置いといて」という話でしたが、実際に撮るとなると、そういうわけにはいきません。

ここから技術・納期・予算的に私たちが撮影できるところまで現実にすり合わせていく作業になります。

映像制作のプロジェクトでは大きく分けて「プリプロダクション(通称:プリプロ、撮影前の準備など)」「プロダクション(撮影本番)」「ポストプロダクション(通称:ポスプロ/ポスト、編集作業など)」の3つに分かれていて、前回の企画出しの過程から撮影前の準備をするプリプロと呼ばれる期間は、作品の方向性やクオリティを左右するとても大事な過程です。

映像制作というと、撮影のことばかりに頭がいってしまいますが、このプリプロに一番時間がかかり、最も大変だったことは間違いないでしょう。

スタバは代表もみんなも大好き!ほっと一息つきながらプリプロに関する話し合いをしています。

めざせ!脱学生作品

私が監督を務める作品はは前回の記事でもお話しした通り、私の実体験がベースになっていますが、様々な事情で実際のロケーションを使うことはできません。とはいえ、他にあてもない私たちが次に考えることはというと、やはり学校の施設を使うこと。 

とりあえず絵コンテは完成していました。当時の私は大学で撮影可能だろうと思っていました。甘いなぁ。

今回のシーンは、雑貨屋を想定していましたが、この部分は物語の本質ではないので、少し変更して、カフェのようなお店にも変更してもまだ成立します。となれば、学校の食堂など上手く使えば、なんとか私たちでも撮れそうでした。

しかし、ここで指導者でもある代表からアドバイスが入ります。

「学校の施設は使わない方が良い。出演者もなるべく友人を使わないでやってみよう」

まさかの言葉に大変戸惑いました。

応募期間中ずっと持ち歩いていた資料です。咄嗟にコンペの説明を求められたときに一緒に提示して説明もできます。

学校施設やクラスメイトを使ってはいけない理由

私たちの作品はそもそも本当に大学を舞台にしたかったのでしょうか。出演者は全員演技未経験の学生でいいのでしょうか。代表の言葉でこのことを振り返るきっかけとなりました。

頭のどこかで、撮影できればいいや、探すのも手間だし協力してくれる大人なんて知らないし、と考えていたのでしょう。しかし、これは作品のクオリティ(説得力)を大きく下げてしまう原因となってしまいます。

特に30秒のCMという作品では、限られた尺の中でいかに見ただけでその世界観、ルールを伝えられるかどうかが鍵となります。学校の施設を頑張って雑貨屋さんにするよりも実際の店舗でやれば話は早いですからね。

そして、本当にそのクオリティで良いのか自問自答した結果、できる限り自分が求めている舞台と役者で撮影したいという気持ちが強くなりました。

絵コンテに使用した絵です。この時からクレームおじさんと女神のようなお客さんは脳内再生をしながらキャラクター作りをしていました。

私の求めている舞台は「落ち着きのある雰囲気のお店」で、役者は主人公の学生の他に「クレームおじさん」「女神のようなお客さん」と言った個性的な人たち。まず自分の求めているものを整理はできたもののどのようにしてアプローチをすればいいのでしょうか。

悩んでいる私は代表に相談しました。すると、このような言葉が。

「フィルムコミッションさんや知り合いにつないであげるから、プレゼンしにいこう」

フィルムコミッションさんでのプレゼンはどうなるのでしょうか!

実績のない学生が交渉しにいくために必要なこと

フィルムコミッションさんのところへ交渉しに行こうとするのですが、私はまだ受賞履歴はおろか、映像制作、そしてプレゼンの経験もほとんどありません。途方に暮れていると、代表から言われたのは『完璧なプランではなく、学生で大事なのはプロジェクトへの意欲と責任感を持って取り組んでいることを見せれば良い』ということでした。

そこで、大人の方に信頼してもらうために企画書と紙媒体の絵コンテ込みの脚本と関連資料を用意し、またPCも持参してプレゼンテーションが可能な状態にしました。

パソコン画面を見せながらプレゼンしたので、資料を印刷しないでもプレゼンしたいは行うことは可能です。しかし、やはり持って行って正解でした。

紙の資料は万が一のPCの故障に対応できるほか、渡すことで一相手から定の信頼感も得ることができます。若者にとっては最も便利で馴染みのあるデジタル媒体だけでなく、さらに上の年代の方にとって馴染みのある紙媒体も用意しておいた方が良い、と学びました。

通常、学生プロジェクトでフィルムコミッションさんを巻き込むことは多くはないですが、今回代表が組合会員ということもあってと特別にプレゼンする機会を用意して頂きました。

プレゼンの様子です。フィルムコミッションさんの方々が積極的に耳を傾けてくださり感謝しています。

当たり前ですが、とても緊張しました。

しかし、資料も完璧に用意して、熱意も心に秘めて、この姿勢で交渉を行なったことで、大変ありがたいことにフィルムコミッションさんから協力を得ることができました。プレゼンに耳を傾けて興味を持っていただけたことには今でも感謝しています。

無事にロケ地が決まる

それから、いろんな方を繋いでいただき、最終的にここで撮影したいと思うような店舗を見つけます。そして、そのお店の方に今までと同様に企画のプレゼンを行います。

実際の店舗にある看板です。

その結果、道の駅 ながおか花火館にある「越後御貢屋」さんで撮影許可を得ることができました!

企画時にはまさか本当のお店、しかもとても雰囲気の良い店舗で撮影ができるなんて想像もしていませんでした。もし、「自分で撮れるかどうか」企画時に考えていたらこのような結果にはなっていなかったでしょう。

大学からも近いので撮影スタッフやキャストさんを呼ぶことも難しくなく、最高の環境でした。それにしても、自分の生活圏にこのような施設があることをこの撮影で知るきっかけとなり、プライベートでも来たくなりました。この発見もコンフォートゾーンから抜け出たことによる副産物でしょう。

実際に看板が見える場所で撮影が行われました。

誰でもプレゼンはできるようになる

プレゼンは実績や見た目から溢れ出るオーラで全てが決まるわけではないと感じました。適切な道具や資料の準備、ある程度清潔な見た目、そして冷静さと熱意を持つことを両立させることができれば学生であっても話を聞いてもらえることが多いです。交渉だけでなく、そもそも人と話すときにも大切な要素ではないでしょうか。

学生であるということは一見門前払いを食らってしまう存在のように思ってしまうかもしれませんが、実は学生であるということが一つの武器になることもあります。「真面目に日々勉強して、積極的に制作して、さらに大人との交流に一歩踏み出す学生」と聞くとついつい応援したくなるのではないでしょうか。

そして、そのような支援に対し、態度で答えていくことが非常に大事なのだと、とても大切なことを学ぶことができました。

次回、地獄のキャスティング編へ続きます。

それではまた次のブログでお会いしましょう。See you soon !