映画:『完璧の帝国』/ ジョン・マッケンロー、ローラン・ギャロス | kuroame-55のブログ

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猫ブログを別で書いてましたが、そちらはしばらくお休みをしておりまして、新規でAmebaで好きな芝居やドラマや映画の感想とかイラストとかその他もろもろ徒然なるままに書いていきたいなと思っています。

今日は、翻訳家のお友達に教えていただき、これまで日本未公開だった『完璧の帝国 L'Empire de la perfection de Julien Faraut』を観に日仏学院まで行って参りました。

 

わたしは飯田橋界隈はしょっちゅういくのですが、日仏学院に足を運ぶのは何年振り、、、、 それこそ昔はわたしはそりゃもうよく行った場所でした。大学生の頃は、日仏学院とアテネフランセと、週のうち何日行っていたことか。それから留学して戻ってきてからもわたしにとってのオアシスでした。

 

久しぶりの日仏学院は懐かしくも、なんか、はっきりいって、綺麗なんだけどなんだかもの寂しくなっていました。昔は美味しいレストランもあったし、欧明社の本屋さんも大好きな場所で。いまはその箱だけが残っている、そんな印象を受けてしまいます。昔は近くにリセもあったし、もっとフランスムードが生活感に溢れて漂う界隈でその筆頭だったんだけどなあ。

 

映画のおはなしの前に、日仏学院のはなしがまだ続きますが、でも好きなところです。そこに集まるひとたちはやっぱりなんとなくフランスなんですよ。肩の力が抜けているし、自分の趣味のためなら駆けつけてくるひとたち。わたし、映画が始まる前に早く着きすぎて、ぶらぶらしてるにもあまりそこでついていたTELE5 Mondeの番組も面白くなかったし、思わず映画館(エスパス・イマージュ)の中にいたのですが、日仏学院のひとがなんとなくわたしを見つつ、そのまま行きそうな感じだったのですが「ひょっとしてまだ入っちゃいけませんでした?」と聞いたら「一応受付がもうすぐ外であるので」と言われ(笑)外に出直しました。なんかあんまり「まだ入らないでください」とも「いけません」とも言わないあたりも力が抜けている。わたしも完全に力が抜けている(いつもかもしれませんが)。出てきたら、さっき館内で目があった女性がいたので「まだだめなのにうっかり入ってしまいました。笑」と言うと「そう、まだかも、、、、と思ってました。笑」といった具合。そしてそのかたの友人と思しき女性がもうひとり現れて「何時までだっけ。」と言うので「1時間半っていうはなしでしたよね。」とまるで既知の友人のように話しながら会場時間を待ちましたw そうだ、またここにこよう。こういう感じ好きよと思いました。トイレもね、狭いんですが、手を洗うところも狭いので、出てくる時にひとがいるとちょっと時間を譲って、譲ってもらってにっこりしたり、やっぱりなんかパリっぽいんですよ。ひととひとの距離が日本より狭い、なんとなく人間味があるんです。

 

まあそれはともかく映画なのですが、日本未公開、今回特別に日本上演ということで字幕がついたそうですが、フランス映画です。マッケンローが一位だった頃のその完璧主義者たるマッケンローの姿を写します。わたしはテニスが大好きで、するのも(うまくなりませんが)、観るのも大好き。いまおやすみが続いてしまっていますが、錦織圭の試合が観られるときは、それが午前3時からだろうと必ずライブで観ますし、サラリーマン時代、彼の活躍を見るために、そんなに大忙しの日でなければ有休を取ったり半休を取るくらい、錦織ファンです。彼が世界第4位だった頃は、わたしが「今日はちょっとお休みします」と会社に連絡すると、バレバレで「錦織が勝ってるものねえ。」と社長に言われたくらいです(爆)。 また話が飛びましたが、とにかくテニスの試合を見ていると、大抵、イライラしたり、物に当たったりし始めると、負けます。クールにやり過ごすほうが勝ちます。なのに怒っても強いひとがたまにいる。最近だとジョコビッチ、一昔前だとなんといってもマッケンローだったことを思い出しました。自分の思うようにならないと、怒り狂うマッケンローは、映画の中でも言われていましたが、自分が勝つために邪魔なものは全て敵とみなしているようです。 そして、マッケンローの試合を見ていると、フェデラーやナダルもそうですが、ただ勝つだけではなく、「どうやって勝つか」というところまでの深さも感じます。

 

監督のジュリアン・ファロは、マッケンローのその姿を余すことなく見せてくれます。そうそう、マッケンローの父親は弁護士、母親は看護師だそうですが、その二人も登場しますが、母親が「一番いい大学に入ることとデヴィスカップに出ること」を息子のジョンに課したようですが、ジョンは子供の頃から、走るのもしゃべるのも全部早く、そして勉強もトップだったようです。ものすごく勝気でトップじゃないといやなんですね。そしてスタンフォード大学の1年生になったときにお母さんに言ったそうですよ。「ママ、もうあとの人生は僕のすきにやらせてくれ。」

 

彼はひたすら勝ちたい。テニスというのは本当にきついスポーツです。体力的にもきついし、頭もものすごく使いますし、たったひとりで戦うスポーツです。その中で、ジョンは自分の行動でより自分を孤立させていく感じです。そのストレスがマックスなとき、最高に強くなる。

 

そんな彼が、勝ち続けていたジョンが、伝説のローラン・ギャロスの決勝でイワン・レンドルに、最初は優位に進みながらも、ミスが出てきて、結局負けてしまった試合を緊張感たっぷりに見ることになります。彼が失敗すると思わず我々観客からも声がもれるほど、彼の痛みを感じてしまいます。

 

終わってから、ジョンの言葉が続きますが、あの試合を思うと、いまだにフレンチオープンの舞台が辛く感じられるし、まだ、悔しくて眠れないことがあるし、吐き気を催すこともあるし、自分のせいで負けたことをいまでも本当に忘れられないと言っています。そして、勝っていたら、人生はもっと変わっていたはずだと言っているのです。

 

そして彼のテニスの勝率ですが、なんと、96.47%です。96.47%ですよ!!いやはや、、、、

 

日本での上演回数は限られているようですがぜひご覧になっていただきたい、素晴らしい映画です。ドキュメンタリーとも言い切れないない、映画でいて映画とも言いきれないような、でも映画。撮影クルーたちのドラマでもあります。