【魔術・占い】インドの魔術の歴史と代表的な魔術5選
インドは、古代から続く宗教や哲学、そして神秘的な魔術の伝統が根付いた土地である。
ヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教などの宗教が生まれたこの地では、神々の力を借りる魔術や呪術が発展してきた。
インド魔術は単なる迷信ではなく、宗教的儀式や医学、占星術と密接に関係し、王族や聖者、庶民にまで広く信じられてきたものである。
例えば、ヴェーダ聖典には呪術やまじないに関する記述があり、ヒンドゥー教の儀式には悪霊を祓うためのマントラ(呪文)の詠唱や、特定の神々に祈ることで奇跡を起こす信仰が根付いている。
また、近代になってもインド各地で呪術師や霊能者が活動し、人々の悩みや問題を解決する手段として魔術が用いられている。
本記事では、インド魔術の歴史を詳しく紐解きつつ、今もなお語り継がれる5つの代表的な呪術を紹介する。
古代から現代に至るまで、インドの魔術がどのように発展し、社会に影響を与えてきたのかを詳しく見ていこう。
2. インド魔術の起源と歴史:ヴェーダ時代から現代まで
ヴェーダ時代の魔術:最古の呪術の記録
インド魔術の起源は、紀元前1500年頃に成立したとされる「ヴェーダ聖典」にさかのぼる。
ヴェーダ聖典は、古代インドの宗教的な知識や哲学をまとめた文献であり、その中でも『アタルヴァ・ヴェーダ』には特に呪術やまじないに関する記述が多く含まれている。
この時代の魔術は、以下のような目的で使われていた。
- 病気治療:薬草やマントラを用いて病を癒す
- 悪霊払い:呪文を唱えたり護符を用いて邪悪な存在を追い払う
- 豊穣祈願:農作物の成長を促すための儀式を行う
- 愛を引き寄せる魔術:異性の気持ちを引き寄せる呪文やお守り
『アタルヴァ・ヴェーダ』に記された呪術は、インド文化に深く根付き、現代でもヒンドゥー教の祭礼や占星術の中にその影響を見て取ることができる。
中世インドの魔術師:シッダとタントラ行者
インドの魔術の歴史において、「シッダ(Siddha)」と呼ばれる修行僧は特別な存在である。
シッダとは、「成就した者」を意味し、深い瞑想やヨーガ、修行を通じて超自然的な力を獲得した人物のことを指す。彼らは、
- 病気を癒す力
- 未来を見通す能力
- 空を飛ぶ超能力(サマディの境地)
を持つとされ、インド各地で神秘的な存在として崇拝されてきた。
また、「タントラ」と呼ばれる神秘主義の一派も、インド魔術の発展に大きく貢献した。
タントラの修行者は、特定の神々に祈りを捧げることで力を得るとされており、
- ヤントラ(神聖幾何学図形)を用いた魔術
- マントラ(呪文)の詠唱による念力発動
- ムドラー(神聖な手のジェスチャー)による魔術的防御
などの方法で、霊的なパワーを高めるとされる。
3. ヒンドゥー教と魔術の関係:神々の力を借りる呪術
神々の祝福を得るための儀式魔術
ヒンドゥー教において、神々の力を借りる魔術は広く行われている。たとえば、
- カーリー女神(破壊と再生の神) に祈ることで敵を倒す力を得る
- ガネーシャ神(障害を取り除く神) に願うことで成功を引き寄せる
- ヴィシュヌ神 に祈り、悪霊や呪いから身を守る
これらの儀式では、火を焚き、特定のマントラを唱えながら供物を捧げる「ホーマ(Homa)」という儀式が行われる。
悪魔祓いと護符の使用
インドでは、悪霊や邪気から身を守るための魔術も発展している。特に、
- タリスマン(護符)の着用
- マントラの詠唱による浄化
- ヤントラを用いた防護魔術
といった手法が用いられ、これらは現在でも多くの人々に信じられている。
4. 代表的なインドの呪術5選
① 黒魔術(カラ・ジャードゥー)
「カラ・ジャードゥー(Kala Jadoo)」は、悪意のある目的で使用されるインドの黒魔術である。
- 人形や写真を使用した呪詛
- 呪術師による特定のマントラ詠唱
- 相手の運命を操る力があるとされる
② バグラムキー魔術(Bhaglamukhi Vidya)
バグラムキー女神の力を借りて、敵を封じ込める魔術。
- 訴訟や政治で勝利を得るために使われる
③ ナーガ・プージャ(蛇の儀式)
インドでは蛇を神聖視し、「ナーガ・プージャ」と呼ばれる儀式が行われる。
④ 占星術魔術(ジョーティシャ)
特定の星の影響を利用した魔術が行われる。
⑤ アガスティヤの秘法
聖者アガスティヤが編み出したとされる魔術で、病気治療や天候操作が可能とされる。
5. まとめ:インド魔術の奥深い世界
インド魔術は、宗教や哲学と深く結びつきながら発展してきた。
ヒンドゥー教の神々と関わる儀式魔術や、黒魔術の存在は今もなおインド文化に息づいている。
魔術の歴史を知ることで、インドの奥深い神秘の世界に触れることができるだろう。