【魔術・占い】古代中国の魔術師「伝説の5人」
中国の歴史には、多くの魔術師や道士が登場し、その超常的な力が皇帝や庶民の間で信じられてきた。
彼らは不老不死を求めたり、幻術を使って人々を驚かせたり、呪術や風水で権力者を助けたりした。
道教や中国の神秘主義に基づいた魔術は、現代においても伝統医療や気功、風水などの形で影響を与えている。
本記事では、古代中国で特に有名な5人の魔術師を紹介する。彼らがどのような魔術を使い、どのように歴史に影響を与えたのかを詳しく解説していく。
1. 彭祖（ほうそ）：伝説の不老長寿の魔術師
彭祖とは？
彭祖（ほうそ）は、中国最古の道士とされ、長寿を極めた伝説的な人物である。
『列仙伝』などの古代書によれば、彼は800年以上生きたとされており、道教の仙人の代表格とされる。彼の名は、中国の不老不死思想の起源ともいえる存在だ。
彼が用いた魔術
彭祖は、特に長寿を保つための術に長けていた。その技法は、後世の道教に大きな影響を与えた。
- 養生術（ようじょうじゅつ）：特定の食事や生活習慣を守ることで健康と長寿を保つ方法。
- 呼吸法（吐納・とのう）：特定の呼吸法を使い、体内の気を調整する。
- 薬草療法：天然の植物を使い、老化を遅らせる秘薬を作る。
- 瞑想と気功：内なる気を高め、寿命を延ばすための修行。
歴史への影響
彭祖の伝説は、後の道教の不老不死思想に大きな影響を与えた。特に秦の始皇帝や漢の武帝は、彼の長寿の秘訣を学び、不老不死の薬を探し求めた。現代の中国医学や気功、健康法にも、彼の影響が色濃く残っている。
2. 左慈（さじ）：三国志に登場する幻術師
左慈とは？
左慈（さじ）は、三国時代（2世紀～3世紀）に実在したとされる道士で、強力な幻術を操ることで知られていた。
彼の伝説は、後漢書や三国志演義などの文献に記録されており、特に曹操とのエピソードが有名である。
彼が用いた魔術
左慈の魔術は、多くの幻術的な技法を含んでいた。
- 水を酒に変える術：水を瞬時に美酒に変える。
- 変化術（へんげじゅつ）：自分の姿を別人に変えたり、物を別のものに変える能力。
- 縮地法（しゅくちほう）：長距離を瞬時に移動する技術。
- 分身の術：自分の影や幻を作り出し、複数の場所に同時に存在する。
曹操との対立
左慈は、曹操の宮廷で魔術を披露したが、その超常的な力を見た曹操は恐れを抱くようになった。
特に宴会の席で、水を酒に変えたり、料理を空中から取り出す奇跡を見せたことで、曹操の怒りを買ったという。
曹操は彼を捕らえようとしたが、左慈は幻術を使って姿を消し、結局捕らえられることはなかった。
後世への影響
左慈の逸話は、中国の伝統的な幻術や雑技（中国の伝統的なマジックやパフォーマンス）にも影響を与えている。
現在の中国のマジックショーには、彼の影響が色濃く見られる。
3. 葛洪（かっこう）：錬金術の大家
葛洪とは？
葛洪（かっこう）は、東晋時代（4世紀）の道士であり、道教思想を発展させた人物である。彼は、不老不死の薬（丹薬）の研究を進め、多くの著作を残した。
彼が用いた魔術
- 錬金術（丹薬作り）：鉱物や薬草を組み合わせ、不老不死の薬を作る研究。
- 呪符（じゅふ）と護符：病気を治すための呪符を使用。
- 気功と養生法：健康を維持するための呼吸法と運動法。
歴史への影響
葛洪の医学と錬金術の研究は、中国の伝統医療や道教に大きな影響を与えた。
彼の書物『抱朴子（ほうぼくし）』は道教理論を深める重要な文献である。
4. 司馬承禎（しばしょうてい）：風水と呪術の達人
司馬承禎とは？
司馬承禎（しばしょうてい）は、唐の時代の著名な道士で、道教の修行や養生法に精通していた。彼の思想は、後の道教や中国の伝統的な健康法に影響を与えた。
彼が用いた魔術
- 風水術：地勢や方角を見極め、運気を操作。
- 呪符と祈祷：病や厄災を祓う呪術。
- 雨乞いの術：天候を操るとされる術。
5. 林黙娘（りんもくじょう）：道教の海の女神
林黙娘とは？
林黙娘（りんもくじょう）は、宋代の福建省に生まれたとされる女性で、海上の安全を守る女神「媽祖（まそ）」として信仰されている。
彼女が用いた魔術
- 天候を操る：嵐を鎮める力。
- 霊視と予知：未来を見通す能力。
- 魂を呼び戻す：水死者の魂を救済する力。
まとめ
中国の歴史には、数多くの魔術師が存在し、それぞれが異なる能力を持っていた。
彼らの伝説は現在でも語り継がれ、道教や風水、伝統医療などに影響を与えている。