FP三宅金蔵のお金の学校

お金にジャマされない人生を

【資産防衛】インフレ課税と円安トレンド

 こんにちは。FPの金蔵(きんぞう)です。

 みなさんは、「インフレ税」という言葉を聞いたことがありますか?

 以前このブログ*でも取り上げましたが、世の中の物価がどんどん上がることで、一般庶民が同じお金で買えるモノやサービスの量が減って苦しむ一方、1000兆円以上の巨額の借金を抱える政府は、借金も目減りして大喜びという話です。

 政府が借金をするために、国債をじゃんじゃん発行して世の中に出回るお金の量を意図的に増やした結果、物価が上がって国民が貧しくなっている訳ですから、見えづらい形で政府が国民に税金(インフレ税)を課しているのと同じですね。

 バブル崩壊後、あまりにも長期間に渡って、デフレが続いたために、インフレにピンと来なかった一般庶民も、新型コロナ感染拡大以降に起きた物価上昇で、インフレの恐ろしさを徐々に実感しています。

 物価上昇に伴う実質的な購買力の低下は、通常静かにゆっくり進んでいくため、フツーの生活を送っている一般庶民には見えにくいのですが、最近の急激な円安トレンドは、それを誰もが分かりやすい形で見える化しました。

 今回のGW中にニュースでよく見た、海外旅行に行けなくなった日本人と日本で爆買いする訪日外国人の姿ですね。

 物価上昇で徐々に購買力が落ちている日本円の価値の下落が、急激な円安でドルと直接比較されることで、顕著になりました。

 日本で買ったお米やカップラーメンを大量に持って、ハワイに海外旅行に行く日本人の姿と、1杯数千円のラーメンを安いと言いながら食べる訪日外国人の姿がそれを象徴しています。

 

 一昔前なら、日本円で1億円といったら大金で、ドルで換算してもミリオネア(百万ドル)=お金持ちとほぼ同義語でした。

 今や、対ドルベースで3割近く下落した日本円での1億円は、70万ドルにしかならないですから、もはやミリオネア(百万ドル)=お金持ちではありませんね。

 では、どうすれば預貯金で保有する自分の資産を守ることができるか?

 ズバリ、インフレや円安に連動して元本価額が変動する資産へと組み替える事です。

 具体的には、株式や投資信託などの有価証券、不動産や金などの実物資産、外国債券のような外貨建ての資産などが候補となります。

 あくまでも、個人的な見解となりますが、今後の長らく続くであろう円安トレンドを考えると、外貨建て資産が有効な資産の逃避先になると考えています。

 新NISAの非課税投資枠を使った、S&P500やオルカンなどの外国株式への積立投資はその王道ですが、年間の投資枠が限られているのと、短期的な変動が大きいので、ある程度のまとまった資金を一気に逃避させる先としては若干不安が残ると思います。

 そこで、個人的におススメしたいのは、格付けが高く安全性の高い外国の国債や外貨建てMMFマネー・マーケット・ファンド)です。

 具体的な商品としては、以前このブログ*でも紹介した三菱UFJアセットマネジメント のeMAXIS Slim 先進国債券インデックスという投資信託になります。

 日本を除く世界主要国の国債(投資適格債)のみを対象としているため、安全性は抜群で、インフレ抑制のため金利が高止まりしている現状では、金利上昇に伴う価格下落のリスクもほとんどありません。

 (以下、eMAXIS Slim 先進国債券インデックスの資産保有状況です)

 

 昨年亡くなった父親からまとまった預貯金を相続した母親の資産管理を、現在私が行っていますが、全資産の半分以上は、日本円の銀行預金からこの商品に切り替えました。

 外国株式のような大幅な価格上昇は見込めませんが、高齢の年金生活者である母親にとっては、安全性と流動性が一番ですので、円安とインフレ対策に、この商品を選んでいます。

 おかげさまで、昨今の円安トレンドでかなりの為替差益も発生しています。

 上記のような理由から、現在、日本円の預貯金のみ保有されているご高齢の方に、最初の外貨建て資産の候補の一つとしておススメいたします。

 

 ※外貨建て資産への投資はくれぐれも自己責任にてお願いいたします。 

*(参考記事)

24年2月27日 『【資産防衛】財布のお金が溶けています』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e8%b2%a1%e5%b8%83%e3%81%ae%e3%81%8a%e9%87%91%e3%81%8c%e6%ba%b6%e3%81%91%e3%81%a6%e3%81%84%e3%81%be%e3%81%99/ 

24年1月28日 『スリム先進国債権、1000億円突破!』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e3%82%b9%e3%83%aa%e3%83%a0%e5%85%88%e9%80%b2%e5%9b%bd%e5%82%b5%e6%a8%a9%e3%80%811000%e5%84%84%e5%86%86%e7%aa%81%e7%a0%b4%ef%bc%81/

【資産防衛】さよなら、日本円~

 こんにちは。FPの金蔵(きんぞう)です。

 先週の日銀の金利据え置き発表以来、円安が止まりませんね。

 今朝ほどは、ついに1ドル160円の大台を突破したかと思えば、政府の為替介入?で155円台まで急激に円高に戻りました。

 本来は、GW中は資産運用から離れて、ゆっくりしたかったのですが、ここ最近の流れを見ていると、もう日本円とはほぼ縁を切った方が良いという個人的な結論に達しました。

 そこで、SBI証券の口座を開設した際に、セットで口座を開設した住信SBIネット銀行で、急遽日本円から米ドルへのドル転を本日行いました。

 こういう時に、金融機関が休日でお休みでも、リアルタイムのレートで格安の手数料でドル転できるのは、ネット銀行の強みですね。

 以下、ご参考までに、住信SBIネット銀行の為替手数料です(出典:住信SBIネット銀行 HPより抜粋)。

 

 

 しかも、住信SBIネット銀行の場合、SBI証券との連携が優れていて、ドル転した米ドルをそのままSBI証券の口座へ外貨で出金することができます。

 通常、SBIネット証券内で、日本円をドル転すると、1ドルあたり25銭の為替手数料をとられますから、かなりお得です。

 まあ、これを狙って、わざわざ住信SBIネット銀行の口座を新規に開設したのですが、今回このメリットが久々に役立ちました。

 

 ちなみに、SBI証券の口座に米ドルで入金した全額で、ただちに外貨MMFを購入しました。

 高金利の今なら、税引き前で年利5%近い金利が付きますので、ほぼゼロ金利の日本円のまま預けているより、圧倒的に有利ですね。

 以下、ご参考までに、現在の外貨MMF金利です(出典:SBI証券HPより抜粋)。

 

 今朝の段階で全資産のほぼ9割近くが既に米ドル建てだったので、目先の生活防衛資金を除き、今回のドル転でほぼ全資産がドル建てになりました。

 これでもうどれだけ円安が進んでも、安心です。

 あくまでも、個人的な見解ですが、日銀が安定的な2%の物価上昇という、実現不可能な目標を掲げる限り、金利を上げる場面は当面来ないと思っています。

 米国のインフレも根強く、金利引き下げも当面難しいことを考えると、今後円高に振れる要素はほぼ皆無ですね。

 今回の一時的な為替介入?もおそらく焼け石に水です。

 おそらくすぐに1ドル160円台に逆戻りし、170円、180円と円安が加速度的に進んでいくのではないでしょうか。

 これだけトップニュースで円安が騒がれても、日本人の大部分、特に高齢者は普通預金やタンス預金で日本円を持ち続けると思います。

 長年の習慣や固定観念を変えることは容易ではありませんから。

 先のことは誰にも分かりませんが、自分の資産の半分、いやせめて2,3割でも、将来の為替リスクに備えて外貨を持つ事を個人的にはおススメいたします。

 *投資や外貨預金はくれぐれも自己責任でお願いします。

【社会保険】FIRE封じの制度変更?

 こんにちは。FPの金蔵(きんぞう)です。

 今朝の新聞に、『社会保険料に株の配当などの金融所得を反映 厚労省が検討本格化(朝日新聞)』という衝撃的なニュースがありました。

 今まで源泉徴収を選択して、確定申告しなかった金融所得(配当、利子)については、健康保険や介護保険などの社会保険料の算定の対象に含めていませんでしたが、今後含める方向で検討を開始したとのこと。

 もしこの制度変更が実現すると、真っ先に影響を受けるのは、株式などから多額の配当金を得えながら、源泉徴収の選択で確定申告していない、後期高齢者医療保険国民健康保険に加入している高齢者でしょう。

 今まで算定対象でなかった金融所得が社会保険料の算定対象に含まれると、

 ・健康保険料や介護保険料の大幅アップ

 ・窓口負担の増加(1割⇒2割、3割)

 といったマイナスの影響が考えられます。

 今まで優遇されてきた高齢者の負担増については、特に異論はないのですが、今回の改正は、今後配当収入を得て、FIREを目指す現役世代にも大きな影響があると思われます。

 具体的には、年間数百万円程度の配当収入を実現して、FIREを目指す会社員の場合、退職後、会社の健康保険を脱退して、自分で国民健康保険に加入しなければいけません。

 その保険料を算定する際、今までなら配当所得は源泉徴収で申告不要を選択している限り、算定基礎の所得金額に含まれなかったのですが、今後は含められる可能性が高いです。

 今までなら、退職後の所得が低い為、軽減措置等で安く済んでいた国民健康保険料も、大幅にアップするかもしれません。

 ご参考までに、私が住んでいる大阪府にある大阪市国民健康保険料の計算式は、以下の通りです。

 実際に今回の改正が実現すると、以下<所得割>の算定基礎所得金額が人によっては、大幅に増える可能性があります。

 

 

 会社が保険料を半分負担してくれたり、扶養分の保険料がかからない会社員の健康保険に比べて、全額自己負担の国民健康保険料はただでさえ高くなりがちなのですが、それが更に高くなるかもしれません。 

 将来的に株の配当収入等でFIREを検討されている方は、こういった将来の負担増にくれぐれもご注意ください。

 ※今回の制度変更の対象は、証券会社の特定口座(源泉徴収あり)を開設し、申告不要で配当所得を得ている方で、かつ後期高齢者医療制度国民健康保険に加入している方です。

 会社員で健康保険に加入しながら、申告不要を選択している方は対象外ですので、ご安心ください。

医療の大盤振る舞い、そろそろ限界?

 こんにちは。FPの金蔵(きんぞう)です。

 昨日付の日経新聞で、『大企業健保の赤字、過去最大6578億円 高齢者医療費重く』という記事がありました。

 主に大企業の社員で構成される全国約1400の健康保険組合の赤字が6千億円以上に拡大し、全体の9割が赤字になるとのこと。

 健保の支出の4割もの金額があてられている高齢者医療費が重くのしかかっている様です。

 現役世代の負担と言う意味で考えると、年金保険料と違って、健康保険料には、<上限>がありません。

 全国の健康保険組合が加入している健康保険組合連合会健保連) の発表によると、加入者の平均保険料率は前年度比0.05ポイント増の9.32%で過去最高になったとのこと。 

 自営業者などが支払う国民健康保険料も24年度から上限が2万円引き上げられ、年間106万円となっています。

 月当たりにすると、約8.8万円/月となっており、かなりの金額ですね。

 こういった現役世代の健康保険料の増加が止まらないのは、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度への現役世代からの支援金が歯止めなく増加しているからです。

 後期高齢者医療制度の費用は、公費(税金)5割、現役世代からの支援金4割、被保険者の保険料1割で賄われています。

 なんと医療サービスを受ける75歳以上の高齢者はかかる費用の1割しか負担していません。

 これはかなり高齢者への医療の大盤振る舞いですね。

(以下、厚生労働省HPの資料より)

 

 

 そういえば、今年81歳になるうちの母親も、おかげさまで至って元気ですが、歯医者にだけは時々通っています。

 昨年父親が亡くなって、代わりに貸店舗や倉庫の家賃収入を引き継いだ時、真っ先に気にしたのは、医療費の自己負担割合が増えないかということでした。

 というのも、ある一定の課税所得がある高齢者世帯では、負担割合が原則1割から、2割もしくは3割に引き上げられているからです。

 元々国民年金しか受け取っていなかったので、おそらく今年も1割負担のままだとは思いますが、それにしても1割負担で病院に行けるのはうらやましいです。

 しかも、日本の医療保険には、<高額療法費>というありがたい制度も存在しており、医療費の自己負担額が1か月に一定額を超えた場合は、その超えた分は高額療法費として健康保険から支給されます。

 例えば、70歳以上の自己負担額の上限は、所得が最も低い層で、1か月8,000円(通院のみ)となっています。

 こういった至れり尽くせりの制度になっているのは、今や全人口の3割を65歳以上の高齢者が占め、しかもその高齢者の投票率が高いせいです。

 

 上記のデータは、平成29年に行われた第48回衆議院議員総選挙の年代別の投票率ですが、何と70-74歳の投票率は74.13%にも達しています(全体の投票率は53.68%)。

 これだけの票数を持った世代に対して、医療費の負担増など、厳しい政策を打ち出すのは裏金問題でスネに傷を抱える政治家にほぼ不可能ですね。

 賃上げで給料が上がっても、健康保険料などの社会保険料の負担増で、手取りがほとんど増えない現役世代と、平均2千万円以上の貯蓄がありながら、低い自己負担で定額医療サービスを享受する高齢者。

 世代間の対立をあおる訳ではありませんが、抜本的に制度を改めてなければ、日本の医療保険いづれ崩壊するでしょう。

 厳しい現実ですが、保険料を負担する現役世代として目をそむけてはいけないと思います。

【新NISA】高配当株への転換期?

 こんにちは。FPの金蔵です。

 先日のブログ*で、年初来、好調だった米国市場の流れが変わったことを書きましたが、更にそれを裏付ける動きがありましたので、お伝えします。

 まず直近のS&P500の動きですが、代表的な米国ETF(上場投資信託)である、バンガードS&P 500 ETF(ティッカー:VOO)の動きを見ると、以下の通り、きれいな下降トレンドに入りました。

 

 

 一方、このブログ*で何度も取り上げている、代表的な米国高配当株式ETFである、バンガード・ハイディビデンド・イールドETF(ティッカー:VYM)の動きは以下の通りになっています。

 

 

 最近はVOOと同様に下降トレンドでしたが、ここ二日間、VOOの動きと乖離して値上がりしました。

 これは、市場全体がいわゆるグロース株中心のキャピタルゲイン(値上がり益)狙いから、高配当株中心のインカムゲイン(配当)狙いへシフトしつつあることの現れであると個人的には考えています。

 分かりやすい直近の例として、ロシアのウクライナ侵攻を発端として米国市場が絶不調だった2022年、一年間のVOOとVYMのトータルリターンを比較してみると、以下の通りです。

 

 

 配当金込みのトータルリターンは、共にマイナスに沈みましたが、2022年、一年間に限ってみると、VOOに投資しているより、VYMへ投資していた方が資産へのダメージが圧倒的に少なかったことが分かります。

・VOOのトータルリターン -18.2% 

・VYMのトータルリターン -0.5%

 株式市場は先の動きをどんどん予測して動いていきますから、これは市場が今後訪れる株価の不調を予測して、資金をグロース株から、不況でも比較的安定している高配当株へシフトしている可能性が高いです。

 但し、この動きに追従して、VYMなどの高配当株式を今から購入することはあまりおススメしません。

 私は50代の団塊ジュニア世代であり、将来の自分年金形成のため、さらには資産全体の変動幅を抑える目的で、ずっと以前からVYMへ一定額を積立投資しています。

 しかし、20代、30代、40代の若い世代であれば、VOOなど、米国株式やオルカンへ集中投資した方が長期間ではトータルリターンが高くなるからです。

 ご参考までに、VOOとVYMのトータルリターンを過去10年で比較すると、以下の通りです。

 

 

 VOOのトータルリターン220.3%に比べて、VYMのリターンは151%となっており、およそ1.5倍もの差になっています。

 年代がある程度上で、残りの投資期間が短い方、私の様に将来の自分年金を作りたい方、資産規模が大きくなって、全体の値動きをマイルドにしたい方などは、VYMは最適な商品の一つだと思いますが、それ以外の方にはおススメしません。

 いずれにせよ、直近のVYMの値動きは、迫りくる株式市場の悪化を知らせてくれる重要な一つのシグナルだと考えています。

 そうった市場の動きをしっかり見据えつつ、いざそうなっても慌てずに、今後もどっしり構えて積立投資を継続していってください。 

 ※投資はくれぐれも自己責任にてお願いいたします。

*(参考記事)

24年4月13日 『【新NISA】試練の時が始まるか?』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e3%80%90%e6%96%b0nisa%e3%80%91%e8%a9%a6%e7%b7%b4%e3%81%ae%e6%99%82%e3%81%8c%e5%a7%8b%e3%81%be%e3%82%8b%e3%81%8b%ef%bc%9f/

24年2月15日 『【新NISA】死ぬまで売らないVYM』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e3%80%90%e6%96%b0nisa%e3%80%91%e6%ad%bb%e3%81%ac%e3%81%be%e3%81%a7%e5%a3%b2%e3%82%89%e3%81%aa%e3%81%84vym/

【異例】現役裁判官、国を訴える!

 こんにちは。FPの金蔵(きんぞう)です。

 最近読んだ新聞の中に、「津地裁裁判官が国相手に提訴へ」という面白いニュースがありました。

 大都市から津地方裁判所へ転勤を命じられた裁判官が、支給される地域手当が減ったため、実質的な報酬が下がったのは違憲として、国を相手に訴えるとのこと。

 一般企業のサラリーマンには少し分かりづらいと思いますが、訴えを起こす根拠として、日本国憲法80条第2項には、「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを<減額>することができない。」と定められています。

 法の番人たる裁判官は、立場上、政治家を始め、いろいろな所から圧力を受けるので、その経済的な基盤を守るために、こういった条文が憲法に定められています。

 更に、同じく憲法78条で「裁判官は、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことができない。」と、特別に身分保障もされています。

 今回訴えた裁判官によると、名古屋高等裁判所から、津地方裁判所へ異動になったことで、地域手当が減額され、実質的に報酬が3年間で計240万円減ったとのこと。

 裁判官に支給される地域手当は、基本給にかけて算出され、名古屋市15%、津市6%となっているので、年間80万円(240万円/3年)減ったということは、基本給がおよそ890万円ということになります。

 弁護士の平均年収が軽く1千万円を超えることを考えると、裁判官という重責を担う仕事にしては、少し安い給料かなと思います。

 今回訴えを起こす裁判官もこの点を指摘しており、裁判官の中には、地方に異動になって減給される時点で辞める方も多いそうです。

 ただでさえ成り手の少ない地方の裁判官の人材を将来的に確保することも、今回の訴えを起こす目的の一つだそうです。

  同じように人材不足に陥っている公立学校の教員に関しては、残業代の代わりに給与に上乗せしている「教職調整額」を月給の4%から10%以上とする案が検討されています。

 裁判官や教員も立場は公務員ですが、毎月給与をもらって働くサラリーマンであることには変わりありませんから、仕事内容と報酬が見合ってなければ、当然成り手は減っていきます。

 今回の裁判でどういった判決がでるか分かりませんが、裁判の勝ち負けに関わらず、地方勤務の裁判官の待遇改善に向けて、今後何らかの動きがあるかもしれません。

 そのきっかけとして、現役の裁判官として国を訴える異例の行動に出た勇気を心から応援したいと思います。

【不動産】みんな売り逃げたい?

 こんにちは。FPの金蔵(きんぞう)です。

 昨年亡くなった父から空き家を相続してから、不動産に興味を持つようになりました。

 今までずっと賃貸暮らしで、不動産を所有したことがなかったため、あまり興味がありませんでしたが、田舎の土地とは言え、初めて不動産オーナーになったので、他のオーナーの事に関心を持ち始めたのです。

 私は大阪の郊外エリア、いわゆるベットタウンに10年以上住んでいますが、最近近所で目立った傾向がいくつかあります。

(1)駅近くの古い戸建てが壊され、更地で売りに出されている

 最寄りの駅の近く、割と便利な場所には、おそらく1960~70年代の高度経済成長期に建てられたであろう戸建て住宅の密集地があります。

 最近、その住宅地でぽつりぽつりと家が壊され、更地で売りに出されているのをよく見るようになりました。

 おそらく住人が亡くなられたか、高齢で施設等に入居されたたため、売却されたものと推測されます。

 そういうことに気づいて、改めて周りの住宅地を散策してみると、日中も雨戸やシャッター が閉まったままの空き家で、将来の売却予備軍が多数見つかります。

 うちのエリアは、私鉄とJRが両方使える割と人気の沿線なので、空き家にしておくのはもったいないとすぐに再活用が進んでいるようです。

 但し、近隣の住宅と密接していて、日当たりが悪かったり、敷地も狭いので、広々した田舎育ちの自分にはあまり魅力的には見えませんが。

(2)空き地の再開発や古い建屋の取り壊しが進んでいる

 うちの賃貸マンションの目の前には、おそらく100台以上は駐車できる広々とした駐車場がありました。

 但し、実際に利用されているのは2、3割程度で、都会にしては、ずいぶんもったいない土地の使い方だなあと前々から思っていました。

 駐車場の一画は、立派な庭石が置かれ、背丈の高い樹木が植えられて、日本庭園風にになっており、地主さんの趣味も感じられていました。

 それが昨年から急に再開発され、中規模の賃貸マンションと分譲住宅が現在建設されています。

 どういった経緯でそうなったのかは、全く分かりませんが、おそらく代替わりで後を継がれた地主さんのお子さんが開発業者に売却されたものと勝手に推測しています。

 都会であれだけの土地だと、固定資産税も相当な金額でしょうから、妥当な判断ですね。

 また、この駐車場以外でも、近隣で長年放置されてきた古い大型店舗なども次々と取り壊され、賃貸マンションに生まれ変わっています。

 改めて、なぜ今こういった再開発が急速に進んでいるのか理由を考えてみると、やはり人口減による、不動産価格の下落が今後顕著になってくるからではないと素人なりに考えています。

 先週12日に発表になった総務省の人口推計(以下グラフ)によると、23年10月1日時点で、前年より約60万人近い人口が減少しており、今後も減少幅の増加が見込まれます。

 2010年頃を境に、ちょうど緑の棒グラフが左右対称で徐々に下がっていく感じですね。

 

 これから毎年100万人もの人口が全国で減っていくことを考えると、都市部といえども、不動産価格の下落は避けられないでしょう。

 私が都会の不動産オーナーなら、下落が目立ち始めて一斉に値崩れする前に、一刻も早く高値で売り逃げたいですね。

 日本人は右に倣えの傾向が強いですから、一旦そういったトレンドが始まると加速度的に不動産価格の下落が進む恐れがありますから。

 但し、実際に私が所有しているのは田舎の不動産で、元々の値段が安いですから、下落してもダメージは限定的です。

  先日のブログ*でも取り上げた通り、リニアの開業時期を見計らいながら、じっくり売却の時期を見計らっていきたいと思います。

*(参考記事)

24年4月6日 『【相続】リニアと空き家問題』

https://fpjinwanofisu.webnode.jp/l/%e3%80%90%e7%9b%b8%e7%b6%9a%e3%80%91%e3%83%aa%e3%83%8b%e3%82%a2%e3%81%a8%e7%a9%ba%e3%81%8d%e5%ae%b6%e5%95%8f%e9%a1%8c/