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ミキサー食(ペースト食)とは|作り方のポイントやデメリットについても解説

「ミキサー食(ペースト食)って何?」

「ミキサー食を作るときのポイントは?」

などのお悩みはありませんか?

この記事ではミキサー食(ペースト食)とは、作のポイント、デメリットなどについてお話しします。

ミキサー食(ペースト食)とは

ミキサー食(ペースト食)とは、咀嚼嚥下機能が低下した人でも食べやすいように、

食べ物の形状を残さず、食事をミキサーにかけペースト状にした食形態のことです。

ミキサー食は加水して作る場合が多く、飲み込むときに食塊ができずに誤嚥しやすいためとろみ調整食品を使用して粘度調整をします。

咀嚼嚥下機能が低下している人で、消化・吸収能力に問題が無い方に適している食形態です。

とろみ調整食品について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

とろみ調整食品(とろみ剤)とは?種類や使い方などについて【高齢者と栄養】

ソフト食(ムース食)との違い

ソフト食は、咀嚼嚥下機能がやや低下した人でも食べやすいように、

食べ物をペースト状にして、ゲル化剤を加え再形成した食形態のことです。

ソフト食は、咀嚼や食塊形成機能が必要になるため、ミキサー食よりも食形態のレベルは高いです。


食品を例に挙げると、

ミキサー食はポタージュのようなもの。

ソフト食は絹ごし豆腐のようなものです。

作り方のポイント

ミキサー食は基本的には、料理をミキサーにかければできますが、

その際に注意すべきことがいくつかあります。

つぶつぶ・ザラザラ感をなくす

料理をミキサーにかける際は、つぶつぶ・ザラザラ感(残渣)をなくすようにしましょう。

つぶつぶ・ザラザラの形態が残っていると、誤嚥しやすくなってしまいます。


つぶつぶ・ザラザラ感をなくすためには、長めにミキサーにかけることが必要です。

しかし、長めにミキサーにかけてもなかなかペースト状にできない食材もあります。

例えば、焼き魚の皮(鮭の皮)などは均一にしずらいです。

そのような食材をミキサーにかけるときは、ペースト状にしづらいところを取り除いてミキサーにかけるようにしましょう。

※嚥下能力によってはつぶつぶ・ザラザラがあっても大丈夫な場合もあります。

とろみ剤を使い、とろみをつける

料理をペースト状にするためには、ある程度の水分が必要になります。

そのため、料理とだし汁などを一緒にミキサーにかけるのですが、それだけではサラサラのペースト状になってしまいます。

サラサラのペースト状では誤嚥しやすくなるため、ある程度のとろみを付けることが必要です。

料理をミキサーにかけ、ペースト状になったことを確認したら、とろみ剤を加えて適度な粘度に仕上げましょう。

目安はほんの少しとろみの強いポタージュ状です。

どのとろみ調整食品が良いかわからない場合は、以下の記事をご覧ください。

とろみ調整食品(とろみ剤)一覧|おすすめの選び方をもとに17製品徹底比較

色彩に配慮して1品ずつ盛り付ける

料理をミキサーにかける際に、1品ずつミキサーにかけ盛り付けるようにしましょう。

例えば、タンドリーチキン(添えキャベツ・トマト)の主菜だとしたら、

「タンドリーチキン」「キャベツ」「トマト」の3回に分けて作成し、都度盛り付け、茶・緑・赤の色彩が分かるようにしてあげると、見た目による食欲低下も防ぐことができます。

また、味もわかりやすくなるため、やや面倒ではありますが大切なことです。

(麻婆豆腐のような1品完成料理の場合は、1度に全て混ぜてしまって構いません。)

汁物は汁具と分ける、もしくは汁具無し

汁物をミキサー食対応にする場合は、汁具のみをミキサーにかけペースト状にしましょう。

そして、汁には単体でとろみを付けてください。

そうすることで、汁物の味を感じることができます。


ただ汁物のミキサー食対応は難しく、

汁と汁具のとろみ濃度に差があると、嚥下のタイミングがずれ、誤嚥につながる可能性もあります。

汁物は、汁具無しで汁にとろみを付けたものでもいいと思います。

ミキサー食のレシピ

お年寄りのミキサー食 いろいろ(介護食)

クックパッドで紹介されているレシピです。
詳細に書かれているため、参考になります。
↓をクリックするとクックパッドに飛べます。

私の経験上ですが、基本的に何でもミキサー食にできます。(魚の皮などを除いて)

料理+だし汁(加水)+とろみ調整食品でできます。

『レシピ例』

①タンドリーチキン100gとだし汁50㏄をミキサーにかける。

②つぶつぶ感、とろみ具合を見て必要に応じてさらに加水する。

③とろみ調整食品を少量ずつ加えながらミキサーにかけ、少しとろみの強いポタージュになったら完成。

ミキサー食のデメリット

ミキサー食にはデメリットがあります。

加水によりエネルギーが減少する

これが最大のデメリットです。

水分を加えないと、ミキサー食を作ることはできません。

しかし、加水すると食事の量が多くなってしまうため、

盛り付け量を逆算してミキサーにかける料理の量を減らします。

それにより、摂取エネルギーが減少してしまいます。


見た目は盛りだくさんに見えるし、満腹感もあるのですが、

エネルギーは通常の2/3ほどに減ってしまいます。


それにより、体重の減少→筋力の低下→活動量の低下→食欲低下→食事摂取量減少→低栄養となってしまいます。

加水により味が薄くなる

加水をすることにより、味が薄くなってしまいます。

それが、食思低下につながります。

結果、低栄養になりやすくなってしまいます。


ミキサー食のみでの栄養補給は難しく、ミキサー食対応の方には栄養補助食品を活用していただくケースが多いです。

栄養補助食品により、200~800kcal程度のエネルギーアップをして低栄養を防ぐことが大切です。

ミキサー食対応の栄養補助食品

全ての栄養補助食品が使えるわけではありません。

ミキサー食を食べているということは、咀嚼嚥下機能が低下しているということですので、

液体タイプの栄養補助食品は使えないことが多いです。

そのため、ゼリータイプの栄養補助食品を選択することが無難です。

ゼリータイプの中で、最も無難な商品が「アイソカルゼリー ハイカロリー」です。

アイソカルゼリー ハイカロリー

(出典:amazon.co.jp

内容量:66g

エネルギー:150kcal


公式ホームページによると、「医療介護現場でのシェアNo.1(2022年のカップゼリー販売数)」だそうです。

それほど使用されているのには理由があり、

①エネルギー補給

②全12種類で飽きない味付け

③ビタミン・ミネラルが強化されていない

④食べる手間が少ない

などの魅力により、選ばれているのだと思います。


エネルギー補給をしたい場合は、これが無難かと思いますが、咀嚼嚥下能力によってはゼリーも食べられない場合もあります。

そのような場合は、医師・管理栄養士の指導のもと適切な食選択をしてください。

これ以外にも栄養補助食品は様々あります。

また、ミキサー食にすることでエネルギーが減少するだけでなく、

そのほかの栄養素の摂取量も減少していると考えられます。

エネルギーアップの栄養補助食品に加えて、ビタミン・ミネラル補給の栄養補助食品も使用した方が良い場合もあります。

ミキサー食相当の方の場合、かかりつけ医への通院や訪問介護などを実施している場合も多いと思いますので、

身近な専門職の方と相談の上、適切な栄養管理をすることが大切です。

高齢者向けの介護食も
一緒にチェック!

まとめ

ミキサー食(ペースト食)とは、咀嚼嚥下機能が低下した人でも食べやすいように、食べ物の形状を残さず、食事をミキサーにかけペースト状にした食形態のことです。

ミキサー食を作るときは、
「つぶつぶ・ザラザラ感をなくす」
「とろみ剤を使い、とろみをつける」
「色彩に配慮して1品ずつ盛り付ける」
「汁物は汁具と分ける、もしくは汁具無し」
などに注意しましょう。

ミキサー食のデメリットは、加水によりエネルギー量が減少すること、味が薄くなり食思低下の原因になることです。

それを補うために栄養補助食品の活用が大切になってきます。

市販のミキサー食(ペースト食)について別の記事でまとめています。
興味のある方はご覧ください。

【管理栄養士厳選2024年】市販のミキサー食(ペースト食)一覧



参考

渡邉早苗,寺本房子,松崎政三 「三訂 臨床栄養管理」,建帛社,2016年12月,38ページ

ミキサー食の作り方のポイント・おすすめレシピ(健康長寿ネット)