【米国IPO(新規上場)】コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)の今後の株価見通しと将来性とは?

- 本稿では、2025年3月28日金曜日に米国市場にIPO(新規上場)した注目企業であるコアウィーブ(CRWV:CoreWeave)のIPOの詳細とその後の株価動向、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社のIPOは悲観的な見方が強く、投資家はビジネスモデルの不透明さや耐用年数の短さなどを懸念していますが、競争優位性の高さは評価出来ると考えています。
- 市場では空売りが殺到し、借株コストも高騰していますが、極端に偏ったコンセンサスが形成されたときこそ逆張りが報われることがあるのも事実です。
- IPOのタイミングは戦略的で、今後の需要拡大や契約進展により、流動性の低さと市場の嫌悪感が逆に価格上昇の要因となる可能性があると考えています。
コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)のIPO:評判は悪いが「群がりすぎ」の教訓?
コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)のIPOは…物議を醸しています。これほどまでに悲観的な声が新規公開案件で上がるのは久しぶりです。引受幹事たちは及び腰で、ほとんどの投資家が初値から空売りしたがっていたように見えます。SemiAnalysisによる最近のClusterMaxに関する記事では、同社が最高だと評価されていましたが、それにもかかわらず、投資家たちは終価に関する懸念、新たな顧客基盤の不透明さ、多くの調整項目などを嫌いました。最も懐疑的な見方をすれば、このビジネスは航空機リース会社のようなものでありながら、耐用年数はそれよりも悪いということになります。
しかし、それにも関わらず、SemiAnalysisは概ね前向きな評価をしていました。私も同様に前向きですが、その理由はまったく同じではないかもしれません。同社は自分たちの領域において最高であり、GPUのレンタルが最終的にリースビジネスのようなものになる可能性はあるにせよ、現時点では他社には真似できない確かな競争優位性を持っています。ハイパースケーラー各社はGPUの使用体験においてコアウィーブより劣っており、私は本気で「皇帝に服はない」と考えています。これまで1万台規模のGPUを真に使いこなしていた企業は存在しておらず、同社には「集中」という大きな強みがあります。
投資家の懸念は理解できますが、より深刻なのは、投資家たちがビジネスモデルの哲学的な側面にばかり囚われてしまい、本質的な全体像を見失っていることです。実際のところ、空売りの構造は非常に悪く、売りが殺到しており、借株コストは年率150%以上にも達しています。さらに、引受幹事が株式を購入して価格を動かすことも可能です。このように市場のコンセンサスが極端に一方向に偏っているときほど、逆の行動を取ることで報われることがよくあるのも事実です。
さらに言えば、最終需要を予測するのはほぼ不可能です。ロードショーでは、大口顧客がどのようにして利用を拡大していくかについて説明していました。マイクロソフト(MSFT)はおそらく拡大していませんが、最大のGPU購入者が新たにコアウィーブの顧客になったばかりです。空売りを多く抱える投資家にとって、新規契約が突如として舞い降りてくる可能性もあり、そのことで状況がさらに複雑になるかもしれません。特定の株価水準に達すれば、すぐにセカンダリー(追加株式発行)が行われる可能性もあると考えています。つまり、この銘柄は「戦場」になる可能性が高く、資本構成の再評価は長期的に同社の助けになるでしょう。
いずれにせよ、これが私の同社のIPOに関する見解です。長期的な懸念にはある程度共感していますが、彼らが今このタイミングでIPOを行うことはまったく驚きではありません。なぜなら、ちょうどGB200の本格展開を控え、初期割り当ても最大規模で、OAIとの契約も成立したばかりだからです。さらに、この銘柄は極めて流通株式数が少なく、市場から強く嫌われています。これは過去2年間における他の半導体IPOとまったく同じような状況です。アーム・ホールディングス(ARM)やアステラ・ラブズ(ALAB)も決算前には同様の構図があり、初回の決算発表では大きく市場予想を上回り、空売り投資家に大打撃を与えました。
また、インベストリンゴのテクノロジー・セクター担当のジェームズ・ フォード氏も、直近、コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)のIPOに関する下記の詳細な分析レポートを執筆しておりますので併せてご覧ください。
今回も歴史がほぼ正確に繰り返されても、私は驚きません。それでは次に、Alphawaveの買収提案と、ウルフスピード(WOLF)の再編計画について、詳しく見ていきましょう。
ウルフスピード(WOLF)の現状
もしこのニュースを見逃していたなら、以下がその概要です。CHIPS法に関連する補助金の遅延の可能性と、転換社債による資金調達の問題が発表されたことで、ウルフスピード(WOLF)の株価は50%も急落しました。
(出所:Bloomberg)
同社はあいまいな「最新情報」を発表しましたが、実質的には転換社債に関して明確な対策がないという意味です。問題は、当初これらの転換社債を発行した際には株価が転換価格と一致していたものの、その後株価は70%以上も下落し、転換社債は実質的にただの負債となってしまったことです。そしてその返済期限が迫っています。2026年には5億7,500万ドルの負債が返済期限を迎えますが、さらに先の償還スケジュールを見ると、状況はさらに深刻です。
(出所:Bloomberg)
加えて、トランプ前大統領がCHIPS法の補助金支払いを再交渉する可能性がある中で、同社の資本構成は非常に厳しいものに見えます。同社は現在、年間約20億ドルの赤字を計上しており、これを今後約5億ドルまで縮小する見通しを示しています。しかし、それでも1~2年分の資金しか残っていないことになります。その間にも、コア事業は引き続きキャッシュを失っている状況です。これはまさに「歩く破産状態」と言っても過言ではありません。
さて、ここからが本当に厄介な部分です。債務を帳消しにして企業の所有権に置き換えることで、株式を大幅に希薄化させるという手段があります。株価が50%下落したという事実は、部分的にその可能性を織り込んでいると考えられます。Apollo(アポロ)は「ローン・トゥ・オウン(融資から所有へ)」を得意とするファームとして知られており、最終的に同社が同社のオーナーになる可能性も考えられます。
この時点で、たとえ最終市場が回復したとしても、これは資本構成に関する非常に良い教訓になります。同社は、事業がより収益性を持ち、市場規模も拡大するという前提で事業を構築し、その実現のために多額の借入を行いました。しかし、実際の市場ははるかに競争が激しく、今や利払いすらままならない状況に陥っています。グレッグ・ロー氏はCEOの座を追われ、新たなCEOが就任しました。
状況は決して良いとは言えません。新しいCEOはかなりの量の株式報酬を受け取っており、それは取締役会が今でもこの会社が株式市場で存続すると考えていることを示唆しています。しかし、もし私が彼の立場だったら、その株式の価値が大きくなることに過度な期待は持たないでしょう。これは、見ていて非常に興味深い「列車事故」のような展開になると見ています。
アーム・ホールディングス(ARM)とクアルコム(QCOM)によるAlphawaveへの買収提案
これは少し面白い話です。アーム・ホールディングス(ARM)とクアルコム(QCOM)の間で、さらにひと悶着が起きていると考えています。というのも、クアルコムがAlphawaveの買収を狙っているからです。最初のニュースは、ロイターによると、アーム・ホールディングスがAlphawaveの買収を試みていたものの、その取引から手を引いたというものでした。
そしてその翌日には、今度はクアルコムがAlphawaveの買収を検討しているという報道がありました。私は本気で、これは訴訟問題を背景に、Alphawaveの買収を意図的に困難にするための、ある種の「反ARM戦略」のようなものではないかと疑っています。
(出所:Bloomberg)
とはいえ、トニー(Alphawaveの経営陣)は好条件の提案であれば受け入れる可能性もあると見ています。Alphawaveはこれまで厳しい状況が続いており、上場直後には空売り筋によるキャンペーンにもさらされました。私はAlphawaveとアーム・ホールディングスの取引を非常に好意的に見ており、全株式による取引であれば、即座に価値創出が期待できると考えています。
この取引によって、アーム・ホールディングスは重要なI/O IPを獲得でき、ブロードコム(AVGO)やマーベル・テクノロジー(MRVL)のように、カスタムアクセラレータ企業としての競争力を高めることができます。正直に言って、これは極めて理にかなった取引だと思いますし、Alphawaveは売却すべきだと考えています。
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