あの日、ロッシーを失ってから、

私はもう他に何も失って困るものは無くなった。

仕事もロッシーと二人で穏やかに生活していくために頑張ってきた。

もう守るべきものも失うものも何もなくなった今、働くことも、生きていくことも、何もかもすべてが無意味なことになった。

あの日、トリミングに行く直前まで、一緒に散歩をしながら過ごした。

トリミングが終わって、可愛くなってまた帰ってきてくれることが当たり前のように思っていた。

トリミングサロンから連絡がきたときでさえも、まさか、逝ってしまうなんて想像もしていなかった。

あの日のことは、いつまで経っても私の頭の中の記憶が色褪せることはない。

ロッシーと過ごした幸せな時間。

いまは何故か思い出せない。

思い出すことを拒否しているのかもしれない。

まだまだ亡くなってしまったことを受け入れられないのだと思う。

受け入れたくない。

でも、現実にはどこを探してもあの子の姿が見つからない。