こんな人は指導者失格! 選手の水分補給量の指示や把握について

熱中症で倒れた人にスポーツドリンクを差し出す 雑感

※この雑感カテゴリーのページはP-PEC公式ページの管理人が日々の雑感を綴ったページです。
個人的な思いや私見が多分に含まれた雑感ブログページですので予めご了承下さい。

2024-4-23

スポーツ中の労作性熱中症による死亡事故や後遺症事故は社会問題となっています。

そして、誰もが口を揃えて言うのが「熱中症を予防しよう」小まめな水分補給を行いましょう

じゃあ水分補給って何リットル飲めばいいの?
正しい数値は把握していますか? というのが今日のお話です

勿論、水分を補給して熱中症にならなければそれに越したことはありませんよね
しかし世の中そんなに甘くはありません!

水分補給以外にも、仮に炎天下での練習や試合を一切禁止して、屋内で練習やトレーニングをしたとしてもスポーツをやっている以上は熱中症の危険は付きまといますし、そもそも室内のスポーツである剣道や柔道、バスケットやバレーボール、バドミントンなどでも重症熱中症は多発しているのです。

つまりどんなに予防しても熱中症発生のリスクはゼロにはならないのです。

だからこそ、私は熱中症が発生した時に備えて、命だけは守れるように応急処置機材のP-PECを開発して普及を訴えてきました。

※ここからは少し愚痴が入ります。結論が後半になりますがご容赦下さい(-_-;)

なぜAEDの様に使えるコンパクトな応急処置専用のアイスバスを作ったのか?
それは、アイスバスによる全身冷却が救命率100%である事は既に研究や学術論文のデータでも証明され、日本でも東京オリンピックなどでは採用されてはいましたが、グラスルーツのスポーツチームや部活動、少年野球、少年サッカーの指導者の方々は、効果があるのは分かるけどアイスバスなんて大掛かりな物を練習の度に毎回用意できないよ、準備も大変で氷も物凄くたくさんいるでしょ!
だから我がチームでは無理だね!と、そんな意見が多かったからです。

そして、熱中症の応急処置専用のアイスバスP-PECが完成しました。
女性でも小さな専用バッグに入れて運べて、設置も3秒でできます。空気入れや組み立ても必要ありません。水も従来のアイスバスの3分の1以下で全身が冷却できます。水の量が少ないので氷も少なくて済みます。

するとどうでしょう?
指導者や安全管理者の方々は口を揃えて、我がチームは熱中症にならないように、こまめな水分補給を心がけているから大丈夫!アイスバスまでは要らないよとおっしゃいます。

それなら、あなたのチームの選手の熱中症予防に必要な水分補給量は何リットルですか?

多くの指導者様が答える事ができませんでした。
暑熱環境下で運動をした場合、発汗量と同等かそれ以上の適切な組成の水分を補給する必要があります。
発汗量、つまり何リットルの汗をかくのか?は、スポーツの種類や強度、気温、個人差によって変わってきます。
これが非常に分かりにくいので、指導者やコーチ、ATさんでさえ「こまめな水分補給」というあやふやな言葉でごまかして、選手個人に給水量を任せています。
まして、少年スポーツにおいては子供に正しい判断ができるわけもありませんし、そもそも練習に持ってきている水筒に何リットルのドリンクが入るのでしょうか?
チームでジャグを用意していても十分な量が確保できているのでしょうか?

発汗量は一日の練習や試合の前と後に体重を計り、運動時に飲んだ水の重さを加えて、体重が減っているか増えているかで凡その判断ができます。

因みに私がモトクロスというモータースポーツをやっていた数年前は、練習に5リットルのスポーツドリンクを持って行っていましたが、練習終わりには体重が1㎏から2㎏減っている事も多々ありました。

つまり、一日の数時間の走行練習で6リットルから7リットルの汗をかいた事になります。
例えば学童野球やサッカーでも高学年の選手なら、平均的に3リットル~4リットル程度の汗をかいてもおかしくはありませんし、子供の発汗量は大人より多いのでそれ以上の可能性もあります。

子供が4リットルも入る水筒を練習に持ってきていますか?
チームでジャグを用意しているというのなら、30人のチームだとしても120リットルものスポーツドリンクを用意していますか?

最後にリンクを貼っておきますが、アスリートの約半数は自身に必要な水分補給量を聞かれて、正しい量の55%から62%程度に見積もっているという研究データが出ています。
この事から推測すると指導者やコーチも同程度の感覚だと思われ、圧倒的に水分補給量が不足している危険な状態である事が分かります。

大きなアイスバスは準備が大変だから無理だと言い、コンパクトな応急処置専用のアイスバスが出来れば、我がチームはこまめな水分補給や十分な対策をしているので必要無いと言い、しかもその水分補給の適正な量も把握されていない、選手に正しい情報も与えていない、そんな指導者様が居たとすれば、もはや殺人行為と言っても過言ではありません。
地球温暖化と気候変動で、指導者の方々が育った時代とは条件は全く異なっています。
そんな中で、本気で対策をせずに今まで大きな熱中症事故が起きなかったのは、運が良かったとしか思えません。

私は熱中症が発生した後の確実な応急処置により救命する事をメインに発信していますので、ここでは詳細な説明は控えさせて頂きますが、水分の補給量やハイポトニックやアイソトニックについて、緑茶などの補給の可否は?など、以下のURLで詳細にレクチャーして下さっていますので、参考になさって下さい。