相続の相談は弁護士にするな!相続事務所に勤務している著者が実態をお伝えします。

相続の相談は法律に詳しい弁護士に依頼しようかしら
法律のことだから弁護士に相談した方がいいかな

上記のようにお考えのあなた。ちょっと待ってください!

一般的に法律のことといえば=弁護士と考えることは自然なことかと思いますが、相続を弁護士に依頼すると相場よりも明らかに支払う報酬が高くなってしまいます。

そもそも、相続のことは専門家からすると、司法書士や税理士、行政書士に相談したり依頼した方が良いというのが一般見解です。

なぜなら、弁護士は様々な法律問題を取り扱いすぎているてため、相続に対する専門性でいえば他の士業の方が高い場合が多く、その上、報酬の相場高いからです。

確かに相続人どうしが揉めてしまっている場合は弁護士にしか対応できない分野がでてくるのは事実です。

しかし、逆を言えば、揉めてさえいなければ、弁護士に依頼するよりも報酬はかなり削減でき、経験も実績もより豊富な専門家に依頼することが可能ということです。

あなたの案件は本当に弁護士に依頼する必要があるのか。第3者だからこそ、公平な立場で忖度なくお伝えできればと思います。最後まで読んでいただけると幸いです。

この記事の結論
  • 相続手続きの代行を弁護士に依頼すると他の士業と比べて異常に高額
  • 異常に高い報酬を支払ってまで弁護士に依頼するメリットはない
  • 紛争が起きると弁護士報酬も高く、みんな不幸。日頃、冷静な時にきちんと会話をしておくことが大切。

目次

1.相続問題を弁護士に依頼した場合の報酬相場

まず、はじめにはっきり伝えておきたいのは事務所のホームページ等に記載されている金額というのは実際はあてにならないということです。

まずは、お客さんに事務所に来てもらうことが目的ですから、他の士業と比較して料金が高い弁護士事務所は他のところよりも少しでも安く見えるように工夫しているのです。

様々な報酬体系があり、中には一見安く見えるものもありますが、ちゃんと計算してみると、ちゃんと相場より高額になっています。

ここでは取り敢えず、弁護士がすべての士業の中で一番高額だという点を抑えていただければ充分です。以下、具体的な金額について触れていきます。

1-1.相続を弁護士に依頼した時の費用一覧

事務所により報酬体系が違うので、すべてに当てはまるわけではありませんが、できる限り実態の相場に近い数字をお伝えできればと思います。

まず、弁護士に依頼する際には基本的に下記の4つの費用がかかります。

  • ・相談料1時間1万円(相談料は無料の事務所もある)
  • ・着手金20万円〜40万円(分割できる場合もある)
  • ・報酬(相続財産によって3%から16%乗じて算出)
  • ・実費(郵送費、戸籍請求費用、登録免許税等)

まず、着手金で基本的には30万円くらい取られるので、最低でも相続財産が1000万円くらいはないと報酬の負担割合が高すぎて厳しそうな印象があります。

これに加えて、相続財産のうち一部が%で差し引かれます。仮にシンプルなケースで1000万円とした場合、最安価格の5%としても50万円です。

したがって、通常の法律事務所に依頼した場合、どれだけ安くても80万円前後の金額はかかってくるということになります。

あまり存在しませんが、相続専門の安価な弁護士事務所であれば5060万円程度で依頼できるので、少々値段を下げることは可能です。

一方で、相続財産が1000万円の一般的なケースであれば他の仕業だと20万〜30万円程度で受けてもらえます。もちろん、紛争がないことが条件にはなりますが、かなり安くなることは理解いただけると思います。

1-2.パーセンテージ報酬はちゃんと計算し、比較しよう

弁護士の料金をみると「相続財産の○○%、経済的利益の○○%」という表記がよく見られると思います。

結論、弁護士の報酬が高いのはこの%報酬によるところが大きいです。

弁護士の場合はどれだけ安い場合でも総額3.5%ほどになるので、相続財産が仮に5000万円とした場合、約175万円かかる計算になります。

一方で税理士事務所や司法書士事務所でも%報酬のところはあるのですが、せいぜい相続財産の1~1.5%程度です。金額にすると50万円~75万ほどですね。

ですので、やはり倍以上の開きがあるということになります。もし、紛争が起きていない案件で弁護士に依頼するか迷っている方は一度、相見積もりを取ってみることをおすすめします。

どこに相談したらいいのかわからないという方は下記のページで相続の相談先について詳しく解説しているので、参照してください。

1-3.他の士業事務所との報酬比較

相談先相続手続き報酬相続税申告報酬
市役所・区役所0円0円
弁護士100万円以上提携先の税理士に別途見積もり
税理士20万円~40万円65万円
司法書士50万円提携先の税理士に別途見積もり
行政書士40万円提携先の税理士に別途見積もり
事業会社60万円~120万円提携先の税理士に別途見積もり
銀行・信託銀行200万円以上提携先の税理士に別途見積もり
相続手続きと相続税申告にかかる報酬

参考までに上記の表は不動産や相続人の状況などが似かよった案件について、各相談先に見積もりを出した際の報酬表になります。

事務所によって報酬体系は異なるため、すべてがすべて当てはまるわけではないかと思いますが、客観的に作成しているので1つの参考にしていただければと思います。

2.相続問題は弁護士に相談すべきでない5つの理由

1章で料金の観点から見ると、他の士業に相続手続きの代行を依頼した方がお手頃だということは理解いただけたと思います。

この章では、著者の経験をもとになぜ弁護士への相続相談はやめておいた方がいいのか料金以外の観点から具体的にお伝えします。

2-1.相続に弁護士を入れると故人が浮かばれない

一番の理由はここにつきます。相続において弁護士に依頼するということは相続人間で揉めているということが大半です。

もちろん、起こしたくて親族間で揉めているわけではないと思います。

せっかく、家族やこどものために必死に働いて財産を残したのに、その財産をめぐって争いが起きる。実際に相続に関わる中でこれほど、浮かばれないなと思う瞬間はありません。

しかも、家族のために残した財産の多くが結果として弁護士に渡ってしまうことにもなります。弁護士に報酬を払う目的で、家族にお金を残す人はいないと思います。

だからこそ、著者としてはまず弁護士を入れない方法でしっかりと話し合いによって解決できる家庭であることが何よりも重要だと考えています。

2-2.弁護士の業務範囲が広いゆえに専門性に欠ける

弁護士は、債務整理、交通事故、離婚問題、労働問題、企業法務など取り扱う案件の幅が非常に広いです。広い分野に対応できるということは優秀である反面、相続のみの専門家には経験面でどうしても劣ります。

相続を専門としている事務所では、年間で数100件以上は手続きしているため、ノウハウや適切な節税対策など様々な知識が蓄積されていきます。

相続は、単純に手続きすればよいという訳ではなく、相続税申告までの段取りや最初の設計をどうするかで後の相続税が変わってきてしまいます。

ですので、相続に対する深い経験や知識があるかどうか、どれだけの案件を実際に完了させてきたかはとても大事な要素です。

相続手続きの代行先の探し方やおすすめの相談先については下記で詳しく解説しているのであわせてご参照ください。

2-3.専門的で誠実な弁護士を探す労力がかかる

弁護士の中でも相続専門の方がいないわけではありません。ですが、全体に占める割合でいえばかなり少数です。

実際は、相続専門ではなくてもお客さんを前にするとあたかも「私こそが、相続に強い専門家です!」というオーラを放つのが、士業の悪い癖です。

いくら専門でなかろうと、お客さんよりかは知見があるので、表面的な法律知識を話しておけば経験があるように見えてしまいます。

また、士業のすべての方が実際に誠実でお客さんのことを思って運営されているかと言えばそうではありません。残念ながら、バレなきゃいいという精神でズルをしているような事務所もあります。

ただでさえ、相続専門の弁護士が少ない中で本当に良い専門家を見つけるのはかなり困難なことだと思います。

2-4.相続手続き自体はできても最適な手続きをするには経験が必要

そもそも、相続の案件を専門家に依頼する目的というのは以下の4つだと思います。

  • 相続税の対策や安くなるように手続きしたい
  • 自分で手続きすることが難しい、面倒
  • 追徴課税やペナルティーの廃除
  • 有利な遺産分割ができる

相続税を安くしたいというニーズと面倒な手続きを上手に進めてほしいというニーズに大別されます。

したがって、そもそも料金相場が高すぎるか、専門的知識と経験がなければお客さんが依頼する意味が薄れてしまうということになります。

相続税の対策をしてもそれ以上に弁護士報酬が高くなってしまうと意味がありませんし、法律以外の制度や控除についても詳しく知り、適用できるかどうかの判断ができないと建設的な手続きができないからです。

ですから、そもそもの報酬相場が高い弁護士に依頼するメリットはあまりないと考えています。

2-5.相続問題でも相談料が取られる場合が多い

相続専門でやっている事務所であれば初回相談は無料の事務所が多くあります。しかし、弁護士事務所に相談する場合は相談料がかかる場合が多いです。大体1時間1万円くらいが目安です。

弁護士は、人件費がどうしてもほかの士業と比べて高い傾向にあるため、1時間1万円程度は回収したいというのが事務所側の本音なのです。

嫌らしい話ですが、電話で面談予約をする際に「報酬がたくさんもらえそうな相談」か「おいしくなさそうな相談」かの区別はつくわけです。

お金になりそうな良い案件は相談料無料にしてとにかく来てもらうことを優先することがある反面、おいしくなさそうな案件は相談料くらいは取ろうという動きになります。

3.相続手続きは経験豊富な専門家に依頼するのがおすすめ

相続は、手続き自体はやろうと思えば専門家ではなくても行うことができます。しかし、品質が高いサービスを提供しようとするとかなり難しいというのが特徴です。

手続きさえできていれば表面的には問題なくできているように見えますが、誰がやるかによって出てくる答えは変わることがあります。

3-1.下手な手続きや申告をされると財産が大きく減ってしまう

親が相続で農協に紹介されたからとここに頼みましたが修正申告で他の税理士に計算してもらったところありえない額の過剰申告をしており、そのため相続税補填の為、売らなくてもよかった土地を手放すハメになりました。

代表は農家出身で農協勤務経験により農家の地主の為の仕事すると謳っておりますが実態は農協と癒着し金の為に矜恃を捨てた奴です。

尚多くの地主を自殺に追い込んだ○○建託とも癒着しイベントに出演していた事も発覚しております。そんな事この情報化社会の世の中で通用するとでも思っているのだろうか絶対に許せません。

Googleより引用

実際にどれだけの事務所がやっているのか不明ではありますが、事務所側の不手際でお客さんが損をするということは現実的に起こりえます。

お客さん側からすると、士業の専門家なんだから、どこも似たようなもんだろうと思われるかもしれませんが、全く異なります。

おいしいラーメン屋さんといまいちなラーメン屋さん値段はそれほど違わないけど質は違うのと同じです。

上記の口コミは、ほんの1例にすぎませんが、下手なところに依頼すれば自分にはわからないところで実は損をしているケースもそこそこあるようには思います。

3-2.気づかなった制度やお得な控除を利用した対策

下手な事務所に依頼すると損をしてしまう可能性がある一方、知識も経験も能力も伴っている専門家に依頼すれば、必要な対策を取れるだけにとどまりません。

将来のリスクに備えた効果的な対策や土地や財産状況からどのように財産を動かせば相続税がかからないかシミュレートを行い適切な解説をしてくれます。

決して表面的な知識だけではなく、それをどう活かしてお客さんの状況をどのように良くするかまでをしっかりと考えてくれます。

ここにはサービスの品質として大きな開きがあります。今までに相続の案件を何百件、何千件やってきた人と数十件にも満たない人とではやはりあまりにも差が大きいのが実情です。

3-3.弁護士は相続で紛争が起きてしまった際の最終手段

弁護士の中で相続の案件を何百件やってきましたという人は非常に珍しい部類です。

特に紛争などがない案件について弁護士に依頼することはお客さん側からするとメリットが非常に少ないです。

正直、相続税対策をしていても弁護士を入れないといけなくなった時点で、今までやってきた相続税対策の意味がなくなってしまうことも大いにありえます。

ですので、弁護士はあくまで揉めてしまった場合の最終手段と考えていただくのが適切だと思います。

4.弁護士に相続の案件を斡旋しているサイトに要注意!

すでにお伝えしている通り、相続手続きは本来あまり弁護士に依頼すべきものではないと著者は考えています。

専門性という意味では司法書士や税理士、行政書士を探す方が経験豊富な方が多い上、相場的にも費用は安くなることは間違いありません。

にもかからず、相続手続きをしたいお客さんと弁護士をつなげるマッチングサイトにはあたかも弁護士に相談するのが一番良いかのような公平性のない記事が散見されます。

他の士業よりも弁護士に依頼するメリットを不用意に強く印象付けるような記事がたくさん見られることは個人的にはすごく疑問です。

お客さん側にとっての利益を考えた場合どうなのかと思いますので、以下実態について具体的にお伝えします。

4-1.弁護士と依頼者のマッチングや紹介は法律で禁止されている

弁護士職務基本規程第13条
(依頼者紹介の対価)
第十三条 弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。
2 弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受け取ってはならない。

弁護士職務基本規定より引用

本来弁護士というのは、社会的な信用や職業としての品位や品性を高く保つため、ものすごく厳しい制約が課せられた中で営業活動をしています。

お客さんを紹介してもらったことに対して紹介料を支払うことも、逆に紹介することで紹介料を得ることも明確に禁止されているということです。

ここでいう「紹介料」というのは、掲載料、広告料、コンサル料、○○委託料などの名目を変更したとしても意味はありません。

実質的にその金銭が、どのような目的で、どのような内訳で支払われているのかが基準となります。

つまり、サイト内で弁護士が探せるようなものは法律的にはかなり危ういことをやっているということになります。金銭の受け渡しがないボランティアだったら話は別ですが、掲載料等はしっかりと発生しています。

4-2.違法ギリギリのビジネスがなぜかまかり通っている

一例としてベン○ビ相続のサイトを確認したところ、あくまで掲載料として報酬をもらっているから紹介料を受領しているわけではないという形で運用しているようです。

しかし、サイトを見てみると有料掲載弁護士を優先的に掲載すると記載があります。これは限りなくグレーに近いというかアウトでもおかしくないラインだと著者は考えています。

なぜなら、以下のどれか1つでも当てはまるものは違法とされているからです。

  • 1.仲介していると判断されるサイトにおいて、提携弁護士から掲載料などの金銭を受領する。
  • 2.提携弁護士から受領する掲載料などの金銭が、受領する報酬額に応じてその額が変動する。
  • 3.提携している弁護士との契約内容に、相談者や事件などの紹介が含まれている。
  • 4.提携している弁護士から受けとる金銭が、事件数に応じて変動する。
  • 5.相談者や事件を紹介すると掲げ、提携する弁護士を募っている。
  • 6.弁護士を紹介すると掲げ、相談者を募集している。
  • 7.読者から、購読料や紹介料などの金銭を受領する。

ここで、適法、違法までの判断をするつもりはありませんが、かなりグレーゾーンというかギリギリの事業であることは理解いただけると思います。

4-3.誤解を与えるような表現や公平性のない記載が多い

前述したように士業事務所で相続の案件を目にしている著者からすると、相続はあまり弁護士に依頼すべきだとは思いません。

しかし、このようなサイトでは、弁護士にお客さんを引き合わせることを目的に作成されているため、弁護士に相談するデメリットや悪い側面には意図的に触れないような記事が多くあります。

実際は司法書士に依頼した方が報酬が半額以下になるようなケースでも「弁護士に相談する方がいいんだ」と誤解を与える恐れが多い記載が見られ、正直怖いなと思いました。

もし、相談されようとしている弁護士が本当に適切なのかわからないという方はセカンドオピニオンとして、他の専門家に相談されるのも1つの手だと思います。

5.相続で紛争が起きると弁護士しか対応できない

ここまで、弁護士に相続の依頼をすべきではない理由を伝えてきましたが、紛争が起きると弁護士にしか扱えない業務領域となってしまうため、いやでも報酬額は激増してしまいます。

5-1.事前にしっかりと話をしておく

日本人の風習といいますか、相続やお金の話をしにくいという気持ちはわかります。しかし、実際に相続が起きてから話をしだすと…

あの時、お前は留学費用払ってもらっていたんだから私の方が多くもらう!

お前だって母さんと同居してた期間長かったんだからその間、家賃払ってないだろ!

というような話になってしまいます。親族、兄弟、家族のことなのでいろいろな事情があるのは百も承知ですが、もしもの時に備えて相続が起こったらどうするのかをきちんと話しておくことは大切です。

相続税の申告などは期限もあるので、実際に相続が起きてから揉めてしまうとどうしても弁護士を入れざるを得なくなってきてしまいます。

話したくない話題ではありますが、お亡くなりになる以前に大体話がついているか、相続後に話をするのかで人間感情としてもかなり変わるところがあります。

普段の冷静な時にきちんと大体の話をつけておき、できれば遺言まで作成できている状態であればもめる可能性もぐんと下げることができます。

5-2.家族や親戚との関係を良好に保つことが一番の相続対策

相続に備えて、控除がある保険に加入したり、不動産の特例を使えるように持ち分割合を変更したり様々な対策があるのですが、一番の対策は「揉めない」ということです。

相続人同士で争いが起きると、結局は弁護士を入れないといけなくなるので、支払う報酬がかなり高くなってしまう上、気持ち的にもかなり辛いものがあります。

6.相続では弁護士を入れずに平和に解決しよう

実際に相続に携わっていると弁護士を入れざるを得ないというケースを見ることもありますが、いろんな意味で本当に大変です。

弁護士の高い報酬だけならまだしも、やはり揉めているわけですから精神的にもかなりやつれていく方が多い印象があります。

できる限り冷静でいられる日常に相続について考える機会を持ち、万が一の時に揉めない、少なくとも合意ができる条件や状況にしておくことが大切です。

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