クールジャパン★Cool Japan

今、日本のポップカルチャーが世界でどのように受け入られ影響を広げているのか。WEB等で探ってその最新情報を紹介。

桜はなぜ日本文化の象徴なのか?—自然災害との関係

2024年06月02日 | 自然の豊かさと脅威の中で
★ここにリンクする動画は、世界の人々のために、桜がなぜ日本文化の象徴なのかを英語で解説したものである。以下はその日本語全訳である。映像は昭和記念公園や金沢城や兼六園で撮影した。美しい桜の動画もぜひ楽しんでください。
 ⇒ Why are cherry blossoms a symbol of Japanese culture? —Relationship with natural disasters

私は今75歳であるが、いまだに毎年桜の季節が訪れるのを楽しみにしている。今年は桜が満開になるのが例年に比べるとかなり遅かった。しかも東京ではその間あまり天気が良くなかった。4月7日ようやく晴れた日に、東京西部の昭和記念公園を訪れ、青空を背景に美しい桜の写真と動画を撮ることが出来た。その後、4月中旬に日本海側の石川県と新潟県を訪れたときにもまだ桜を楽しむことができた。

ところで石川県の能登半島では、今年1月1日に大きな地震があった。その地震の結果、能登半島の海岸では、最大4メートルもの大規模な海岸隆起があった。被害も深刻であった。能登半島に近い金沢市では、幸い私は被害の跡をほとんど見なかったが、金沢城の周囲で美しく咲く桜を見て、災害の多い日本と桜文化の関係を考えた。

日本人はなぜこれほど深く桜を愛するのだろうか。もちろん、それがあちこちで一斉に満開になったときのたとえようもない美しさが一番大きな理由だろう。葉が出ないうちに花だけが開花するためにその美しさがよけいに際立つ。そしてそれが本格的な春の訪れを告げるのだ。日本の春は、桜と切り離して語ることは出来ない。

桜は日本の四季の変化を象徴している。四季のある国は他にも多く存在するが、日本はとくに四季の違いがはっきりしている。そしてその変化を生活の中で意識し、深く味わう風習や文化が発達している。そして桜は季節の変化を最も鮮やかに告げるのだ。日本人は、満開の桜の下で、花見という風習によって春の到来を楽しむのだ。

しかし、日本人が桜を愛する別の理由もある。それは、花が咲いている期間が10日前後ときわめて短いことである。桜は、一斉に開花し、その美しさを一瞬、露わにすると、瞬く間に散ってしまう。花の命が短いからこそ、その短い時をより強くいとおしむのである。その短い花の命を惜しむかのように、人々は花見を楽しむのだ。

桜の花が咲く季節は、壮麗で魅惑的ですが、悲しいことに短命で、私たちの人生もまたはかないものだということを視覚的に思い出させてくれる。この意味で、花見は私たちに人生は短いこと、そしてその一瞬一瞬を大切にしなければならないことを思い出させてくれる。今日では、多くの人が家族や友人、同僚と桜の下で花見パーティーをただ単に楽しんでいるように見える。しかし、歴史的には桜の観賞が、何よりも瞑想的な意味があるものと認識されてきた。

そして今日でも、日本人が集まって桜を見物し、その美しさに驚嘆するとき、彼らは単にその花の美しさを楽しんでいるだけではなく、桜が表すより深い意味と背後の文化的伝統をもどこかで意識しているはずだ。彼らは、桜の下でただ飲んで歌って踊って楽しんでいるように見えても、今を楽しみながら人生の輝きや儚さを思い出しているのかもしれない。

実は、桜の中で私が一番好きなのは、散る桜の花びらの風景です。日本語には「花吹雪」という言葉があり、桜の花びらが雪のように散る美しい光景を表現している。雪のように舞い散る桜は、その美しさと儚さを際立たせます。日本の桜は、仏教の死生観、マインんどフルネス、今に生きるという教えと結びつき、人間の実存の永遠のメタファーとなっている。

この動画のタイトルは「桜はなぜ日本文化の象徴なのか?」だ。この問いへの答えは、桜が咲いている時が短いことに深く関係している。日本は国土の67%が豊かな森林に覆われ、四方が海に囲まれ随所に美しい海岸がある自然が豊かな国だ。しかし同時に、地震、津波、台風、大雨、洪水といった自然災害も多い。

1200年代の初頭(鎌倉時代初期)に鴨長明は『方丈記』という随筆を書いた。古典的な随筆の代表作の一つである。その冒頭にはこう書かれている。

「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。」

この文章は有名で、日本人なら誰でも聞いたことがあり、そしてその通りだと感じるだろう。こうした感覚は日本人の心に沁みついているからだ。日本人の歴史観や人生観は、こうした見方が底流になっている。つまりすべては移り変わり永遠にとどまるものは何もないということだ。

一方、ヨーロッパの国々ではどうだろうか。地震も津波も台風もほとんどなく、洪水があっても日本の洪水ほど急激な増水はない。つまり自然災害によってすべてが破壊されたり流されたりしてしまうことはほとんどない。ダヴィンチ、ニュートン、ルソー、モーツアルトの生家が今もそのまま残っている。日本では、彼らと同時代に活躍した人々の生家など、どこにも残っていない。もちろんそこには、石造りの建物と木の建物との違いもある。ともあれヨーロッパでは、古い時代の遺産の上に新しいものが積み重なっていく傾向がある。

ところが日本では、建物が木で出来ている上に自然災害が多いから、すべては時間の流れの中で消えていく傾向が強いのである。日本人は、すべてが流れ去り、消えていくという感覚が強く、そういう感覚を基礎にして日本文化が成り立っているのだ。ヨーロッパでは、変わりにくいから変わらないことを大切にする文化が育った。しかし日本では、すべてが変わってしまうから変わることを受け入れる文化が育った。何もしなくともすべてが変わってしまうから、変わることを前提とした文化が育ったのだ。そして人々は変わりゆく過程、消えゆく過程に美を見出したのだ。日本人が四季の変化を大切に感じる理由のひとつもそこにあるかもしれない。。

変化や儚さに美を見出す元々の日本人の傾向は、すべては無常であるという仏教の思想「無常観」の影響でさらに強まっている。 「無 
ここまで語れば、なぜ桜が日本文化の象徴であるのか、もう理解いただけただろう。日本人が桜を深く愛するは、そこに美しさと儚さが同居しているからだ。ごく短い間、美しく咲き誇り、そしてあっという間に散っていく桜。人々は、桜の美しくも短い命に、自分たちの命の儚さを重ね合わせて見ているのだ。豊かであると同時に、時に猛威をふるう自然の前で、人間の命がいかに儚いものであるかを、桜を見ながら実感する。その無常観が、日本の文化と美意識の根底にある。

江戸時代の学者本居宣長は、日本の思想や文化の研究者であった。彼の有名の和歌に次のようなものがある。

敷島の大和心を人問はば 朝日に匂ふ 山桜花(本居宣長)

If asked what the Japanese spirit is,
I would answer that
it is the mountain cherry blossoms
shining in the sunrise.

★ここにリンクする動画は、世界の人々のために、桜がなぜ日本文化の象徴なのかを英語で解説したものである。以下はその日本語全訳である。映像は昭和記念公園や金沢城や兼六園で撮影した。美しい桜の動画もぜひ楽しんでください。
 ⇒ Why are cherry blossoms a symbol of Japanese culture? —Relationship with natural disasters



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本だけに起きた奇跡 アメリカ人研究者はこう見た(銃と剣をめぐって)

2024年05月25日 | 侵略を免れた日本
★以下は、次のユーチューブ動画の前半部分の要約です。全体の議論を見たいかたは次からお入りください。
 ⇒ 日本だけに起きた奇跡 アメリカ人研究者はこう見た(銃と剣をめぐって)

1980年にアメリカで実写ドラマ化されたジェイムズ・クラベルのベストセラー小説「SHOGUN」。それが、ハリウッドの製作陣の手で、真田広之主演の戦国スペクタクル・ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」全10話として新たに映像化されました。米国ではFXとフールー(Hulu)、日本や英国を含む他の地域ではディスニープラス(Disney+)で2024年2月より配信が始まると、たちまち話題となり、絶賛の嵐といってもよいほどの高い評価を得ています。映画レビューサイト「ロッテントマト」では、批評家からも一般視聴者からも高評価が続出しています。

主演の真田広之は、プロデューサーも務め、「日本人として日本の文化を正しく世界へ紹介したい」という思いをこのドラマに込めたと言います。「僕はこのプロジェクトに参加できて本当にうれしいし、幸せです。僕にとって奇跡のようなプロジェクトでしたし、プロデューサーとして初めての経験でした。プロデューサーとして僕たちの文化について全てを語ることができました」と彼は語っています。

物語は、関ヶ原の戦い前夜の日本を舞台に、徳川家康や石田三成ら歴史上の人物にインスパイアされて、天下獲りに向けた陰謀と策略に明け暮れるさむらいたちの闘いを壮大なスケールで描きます。物語の主人公は、五大老と敵対し、命をかけて戦う武将・虎永(真田広之)です。そんなある日、英国人航海士ジョン・ブラックソーン(後の按針)が、虎永の領地へ漂着します。虎永は、戸田鞠子(アンナ・サワイ)に按針の通訳を命じ、次第に按針と鞠子の間には固い絆が生まれ始めます。一方、難破船にはマスケット銃や大砲、さらに銀貨などがあり、虎長は天下取りの最大のライバルである石堂和成(モデルは石田三成)に優位に立ちます。

このドラマを見た海外の人々の多くは、日本の歴史にも興味をもち、もっと知りたいと思うことでしょう。事実そんなコメントが散見されます。そして、日本史に関心をもった人々が戦国時代以後の日本の歴史を探るならば、ある不可思議な事実に突き当たるでしょう。それは日本だけに起きた奇跡であり、銃と刀にまつわる次のような奇跡です。

日本に鉄砲がもたらされたのは、1543年。その年にポルトガル人が日本の南の島、種子島に漂着したのです。そのポルトガル人から二丁の鉄砲を購入したその島の領主が、刀鍛冶に鉄砲の製作を命じ、その結果、鉄砲がこの極東の島国に伝来してから1年余りで、その国産化に成功したといわれます。それ以来鉄砲は、日本中に短期間で広まりました。
それは、その時代の日本が戦国時代で、鉄砲は敵に勝つために極めて威力のある武器となったからです。そして日本はまたたく間に、ヨーロッパのいかなる国にも勝る、世界最大の鉄砲の生産・使用国になったのです。
にもかかわらず、その後まもなく日本人は、鉄砲を捨てて、刀剣の時代に舞い戻りました。武器の歴史において、他に例のない、信じられない逆行が起こったのです。しかも日本の他の技術はゆっくりではありますが確実に進歩していたのです。日本人は、あまりこの事実を意識しませんが、この退行は世界史的な視野から見れば、驚くべき奇跡なのです。世界史において戦争は付き物で、戦争がある以上、つねにより威力のある武器が求め続けられるからです。

西洋では、ポルトガル人が日本に漂着し鉄砲をもたらしたころ、つまり地理上の発見時代から、やがて帝国主義列強の時代へと大きく変化していきました。そしてその間に植民地に対する戦争だけでなく、西洋諸国間や一国内でも多くの戦争を繰り返しました。
たとえばドイツ30年戦争、英蘭戦争、英米戦争、ナポレオン戦争などです。
つまり16世紀後半に西洋と日本は共に鉄砲の時代を迎えたにもかかわらず、その後、一方は鉄砲の使用の拡大による激しい戦争への道を歩み、他方は鉄砲の放棄あるいは削減にともなう平和への道を歩んだのです。

ではなぜ日本は、世界の歴史の流れに逆らって鉄砲を捨てる奇跡の道を歩んだのでしょうか。まず歴史的事実を確認しましょう。西暦1600年に、関ヶ原の戦いにおいて全国の大名がふたつに分かれ戦いました。。結果は東軍が勝利し、この軍を率いた徳川家康が、全国を支配する実権を握り、1603年に徳川幕府を開きました。最初に触れたテレビドラマ「Shogun」は、この時代を舞台としています。

そして1615年には家康は、大阪城に残っていた西軍の勢力を滅ぼしました。これによって戦国時代は終わり、その後1867年に徳川幕府が滅びるまでの250年間、日本はほぼ戦争のない平和な時代が続くのです。そして、鉄砲は、戦国時代の終わりと共に放棄されていったのです。平和な時代になったからこそ、鉄砲は必要なくなったのだと言えるかも知れません。
 
しかし、いくつかの疑問が残ります。最初の疑問は、鉄砲は放棄されてもなぜ侍は、その後もずっと刀を持ち続けたのかということです。 次の疑問は、戦国時代のあとなぜ日本は250年もの平和を維持することができたのかです。

★以下は、次のユーチューブ動画の前半部分の要約です。全体の議論を見たいかたは次からお入りください。
 ⇒ 日本だけに起きた奇跡 アメリカ人研究者はこう見た(銃と剣をめぐって)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マンガ・アニメが世界の人々の人生に与えた衝撃

2024年05月21日 | 世界に広がるマンガ・アニメ
★この記事の内容は、次のユーチューブ動画の前半部分です。議論の全体は次の動画で御覧になれます。
 ⇒ マンガ・アニメが世界の人々の人生に与えた深刻な衝撃

最近私は、自分のXアカントで海外の人々に次のような質問を投げかけて見ました。
What manga or anime had the most influence on your life? What kind of impact did that have? If possible, please also tell me your country name.
あなたの人生に最も影響を与えた漫画やアニメは何ですか?それはどのような影響を与えましたか?可能であれば国名も教えてください。

この質問に対して世界各国からおよそ50の回答がよせられました。回答で挙げられたマンガやアニメは多種多様、影響の内容も同様で、40以上の作品名が挙げられていたので、集計してランキングするのはあまり意味がない感じでした。それでも、挙げられた回数が多かった作品をあえて列挙すると、ドラゴンボールが5回、セーラームーンが3回、ナルト、らんま1/2、るろうに剣心、AKIRA、デスノートが各2回でした。あと宮崎駿の作品が4作品挙げられていました。それぞれの人生にどんな影響を与えたかについては、代表的なものをいくつか選んで、この動画の最後に紹介したいと思います。

ここではまず、ある本を紹介しながらフランスの子供たちの心にアニメとマンガがどのような影響を与えたかを語りたいと思います。ここに語られていたのと同じような影響を世界各国の子供、そして若者たちが受けていたと思われるからです。本のタイトルは『水曜日のアニメが待ち遠しい:フランス人から見た日本サブカルチャーの魅力を解き明かす』です。著者はトリスタン・ブルネ氏で、1976年生まれ、フランス人「オタク」の第一世代を自称するマンガ・アニメ通です。日本マンガの翻訳家であると同時に日本史の研究者であり、日本の大学等でフランス語、フランス思想の講師もつとめるとのことです。

彼によると、フランスのTVではじめて日本のアニメが放送されたのは1972年で、子供たちの圧倒的な人気を得た最初の作品は1978年の「UFOロボ グレンダイザー」でした。フランスで日本のアニメが本格的に放送されるにようになったのは、放送局が民営化される過程でコンテンツ不足に悩み、それを補うのに安い日本製アニメが輸入されたからでした。当時、フランスの小学校は水曜日が休日で、その日の子供向け番組にアニメが放映され、大勢の子供たちを夢中にさせたのです。水曜日のアニメを待ち遠しく待ったそうした子供たちの一人がこの本の著者トリスタン・ブルネ氏だったのです。

1980年代後半からは、「ドラゴンボール」「うる星やつら」「キューティー・ハニー」「Dr.スランプ」「めぞん一刻」「キャッツ・アイ」「北斗の拳」「キャプテン翼」といった大ヒット作が立て続けに放送されました。

その後も「キン肉マン」「シティハンター」「気まぐれオレンジ☆ロード」「らんま1/2」「美少女戦士セーラームーン」といったヒット作が放送されますが、その人気は1990年代中ごろから落ち込み始めたといいます。その大きな理由が日本製アニメに夢中になる子供たちの親世代からの激しい批判、ジャパンバッシングだったのです。
当時の日本アニメへのバッシングにはいくつかの理由があったようですが、そのいちばん深い理由は、日本のアニメが西欧にない異質な世界観・価値観を子供たちに注ぎ込むことへの大人たちの恐れではなかったかと、著者は言います。

★この記事の内容は、次のユーチューブ動画の前半部分です。議論の全体は次の動画で御覧になれます。
 ⇒ マンガ・アニメが世界の人々の人生に与えた深刻な衝撃

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

海外の本音プチ炎上 日本人が親切?規律正しい?

2024年05月14日 | 日本の長所
★この記事の内容は、次のユーチューブ動画の要約です。議論の全体は次の動画で御覧になれます。
 ⇒ 「海外の本音プチ炎上 日本人が親切?規律正しい?」

私は最近、自分のXアカントで次のような質問をしました。
「日本人はなぜ規律や礼儀、敬意を大切にするのでしょうか。それは、日本が単一民族が住む島国であり、他国に侵略されたことがなく、自然災害があっても協力して立ち直ってきたからだと思います。これについてどう思いますか。」(原文は英語です)

この質問に対し、それほど多くの回答を期待していなかったのですが、意外にも海外から90以上の回答がありました。しかもかなり否定的、批判的な意見も多く、ちょっとした炎上かなと感じたくらいです。

上の私の問いかけに対してもかなり無礼な発言が散見しました。たとえば日本語にすると「アホなおいぼれめ、すぐにくたばるだろうがな」というような感じです。これはさすがにブロックしたので、もう見れませんが。この人も含め、「日本が単一民族が住む島国」だから規律や秩序があると表現したことにお怒りの人が多かったようです。もちろん日本を単純に単一民族の国とは言えないかもしれませんが、あえて単純化して言いました。言いたかったのは世界の他の国々に対してきわめて均質性の高い国で、それが日本人の規律性や秩序ある社会の一因になっているということです。

多様性と均質性。現代の世界は多様性を重視します。日本のように比較的に均質な社会だから、社会の秩序や規律性が保たれたと言えば、当然強い反発が起こります。そういう立場からの反対意見はたくさんありました。いくつか例を挙げます。

★私の考えでは、規律、礼儀正しさ、敬意と単一民族であることとのつながりはかなり希薄で、その間に因果関係をこじつけるのは、日本の多民族性を否定したい人々による神話作りの一部です。

★日本には単一民族が住んでいるのではありません。初期にはさまざまな地域から複数の移住がありましたが、最も明白な例は北海道のアイヌです。性格、行動、特性は国民に本来備わっており遺伝するという誤った考えに基づく意見は、すべて国家主義的なアプローチに過ぎず、まったくのナンセンスです

★彼らが秩序を保っているのは、人間の生命にとって非常に危険な場所において、それが生き残るための最も合理的な反応だからです。そして日本は単一の民族ではなく、複数の民族(少なくとも縄文人・弥生人のような2つの大きな民族)があり、さらに琉球人やアイヌもいます。

★「単一民族」という言葉には納得できません。歴史的に見て、それは正確ではありません。はるか昔、日本は北と南の部族が混在していました。そのため、顎の形や肌の色は多種多様です。

私の主張は、「大陸から海で適度に隔てられた日本は、異民族により侵略、征服されたなどの体験をほとんどもたず、そのため縄文・弥生時代以来、一貫した言語や文化の継続があった。そうした歴史的継続性や統一性という背景が一因となって、現代の日本社会の規律性や秩序の高さが生まれた」ということに尽きます。

上に挙げた例にも見られるように、私の質問に対して、先住民アイヌの例を持ち出し、真っ向から否定する意見もいくつかありました。しかし、アイヌについての最先端の研究成果を知れば、問題はそれほど単純でないことが分かるでしょう。少なくとも以下のような学説もあることを知っておくべきです。

北海道では、本州が弥生時代に入ってからも縄文文化を継続し、続縄文文化とよばれました。つまり縄文人がその文化を本州よりも長く継続していたのです。その頃、樺太からオホーツク文化が南下し、北海道の北と東の広い地域に広がりました。そして7世紀からは東北の農耕民が北海道西部に移り住み、本州の土師器の影響を受けた擦文式土器を特徴とする擦文文化に移行し、擦文人は勢力を北海道全域に広げました。

その結果、オホーツク文化は北海道の東部地区に残りましたが、擦文文化と融合してトビニタイ文化となりました。そして擦文文化がトビニタイ文化を吸収して、13世紀に成立したのがアイヌだと言われています。つまりアイヌとは、北海道縄文人の子孫である続縄文人と東北弥生人が融合し、樺太から下がってきたオホーツク人を吸収して一体となることで形成されたのです。近年の遺伝子調査によると、アイヌ人とDNAが最も近いのは、琉球人で、次に近いのが本土日本人でした。つまりアイヌは、琉球人とともに縄文人の血統を色濃く受け継いでいるのです。現代の日本人が、縄文人と弥生人の両方の血を受け継いでいることはよく知られていますが、アイヌや琉球の人々は、縄文人の血をより濃く残していると言えるのです。このような研究成果を踏まえるなら、アイヌを先住民と単純には言えないし、アイヌや琉球人を単純に別民族とも言えないのです。

最後にひとつだけ付け加えます。日本人の規律や秩序や治安の良さについては、先の意見(動画の中で見ることが出来ます)の中にあったように、もしかしたら表面的なものかも知れません。しかし犯罪や無法状態が蔓延する社会よりは、安心して暮らせる社会を誰もが望んでいます。日本が今そういう社会であるのは、いくつかの地理的・歴史的な条件が幸運に働いた結果かもしれません。しかし、日本人がそういう状態をいつまでも維持することで、それが世界に何かしら良い影響を与える可能性は高いと思います。そういう社会が存在することが可能なのだということを現実に示し続けることは十分に意味があるのです。そこに人々は可能性と希望を見つけ出すことができます。そして人々の意識が少しでも変われば世界が変わる可能性があるのです。かすかな可能性かもしれませんが、否定できない事実でしょう。

★この記事の内容は、次のユーチューブ動画の要約です。議論の全体は次の動画で御覧になれます。
 ⇒ 「海外の本音プチ炎上 日本人が親切?規律正しい?」



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本人の優しさ・礼節・敬意——その驚くべき背景(世界の反応)

2024年05月07日 | 日本の長所
★この記事の後半は、次のユーチューブ動画でご覧いただけます。
 ⇒ 日本人の優しさ・礼節・敬意——その驚くべき背景(世界の反応)

私は自分のXアカントで行ったアンケート結果や、関連するユーチューブ動画や読んだ本のなどを参考にて、海外の人々が見た日本人や日本社会の特質をおよそ次のようにまとめてみました。

1)礼儀正しさ
2)規律性、社会の秩序がよく保たれている 
3)謙虚さ、親切、他人への思いやり 
4)勤勉さ、仕事への責任感、自分の仕事に誇りをもっていること
5)治安のよさ、犯罪率の低さ

では、日本人の礼儀、規律性、謙虚さ、優しさはいったいどこから来るのでしょうか。これに関し私は、東北大震災の直後に見せた日本人の秩序ある行動が、驚きと賞賛をもって世界に報道されたのを思い出します。当時、アメリカのニューヨークタイムズ紙は、「混乱の中での秩序と礼節、悲劇に直面しても冷静さと自己犠牲の気持ちを失わない、静かな勇敢さ、これらはまるで日本人の国民性に織り込まれている特性のようだ」と評しました。

逆にアメリカでは2005年のハリケーン・カトリーナの際に無法状態での略奪など混乱状態に陥りました。日本では災害時にそういう無法状態に陥らず、略奪もなく秩序が維持されていました。この違いはどこからくるのでしょうか。

ある意味でそれは、日本が、大陸から適度に隔てられた島国であるという特殊な地理的条件から来るとも言えるでしょう。そのため日本は、民族と国家がほぼ一致し、共通の文化と言語を保ちながら1500年以上も続いてきたのです。

ヨーロッパ大陸やアジア大陸などの大陸においては、異民族間の戦争や、侵略、虐殺が繰り返されてきました。そういう歴史の中では、信頼を前提とした人間関係は育ちにくいのです。戦争と殺戮の繰り返しは、不信と憎悪を残し、それが歴史的に蓄積されていきます。

一方、海に囲まれた日本では、異民族による大規模な侵略や殺戮をほとんど経験せず、自分たちの言葉や文化が根こそぎ奪われてしまうような体験もありませんでした。国内に戦乱はあったにせよ、その規模は世界史レベルからすれば小さく、長年培ってきた文化や生活が断絶してしまうこともありませんでした。異民族による侵略や虐殺のない平和で安定した社会は、長期的な安定した人間関係が生活の基盤となります。互いの信頼に基づく安定した人間関係を大切に育てることが、日本人のもっとも基本的な価値観となったのです。

★この記事の後半は、次のユーチューブ動画でご覧いただけます。
 ⇒ 日本人の優しさ・礼節・敬意——その驚くべき背景(世界の反応)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本文化・10の奇跡―世界を魅了する発信力の秘密

2024年05月05日 | 全般
日本が、強力な文化的な発信力をもつに至った歴史的背景には何があるのか。私はそれを、以下の10の観点から探ってみました。
(1)文化の継続性
(2)縄文の記憶
(3)他文明の吸収力
(4)作り変える力
(5)キリスト教への態度
(6)相対主義
(7)穀物・魚貝文化
(8)母性原理
(9)独特の自然観・人間観
(10)道の文化
この10項目は、日本文化全体の特徴というべきものですが、今回は、それぞれの項目がなぜマンガやアニメといった日本のポップカルチャーの発信力につながるのか、という視点から概観的に語りました。ここでは上の10項目のうち3つを紹介します。続きは以下の動画で御覧ください。
⇒ ★日本文化・10の奇跡―世界を魅了する発信力の秘密

(1)文化の継続性――大陸から海で適度に隔てられた日本は、異民族により侵略、征服されたなどの体験をほとんどもたず、そのため縄文・弥生時代以来、一貫した言語や文化の継続があった。
 
世界史対照年表などで見るとはっきりと分かりますが、単一で存続し続けた国家として「世界最古の国家」は日本です。日本より古い国々はありましたが、崩壊したり侵略されたりして塗り替えられました。国家としての継続性は日本が最長なのです。そして日本人は民族としての土台を塗り替えられた経験を持たぬまま、縄文時代から文化が継続されてきたのです。これが第一の奇跡といってよいでしょう。

(2)縄文の記憶——漁撈・狩猟・採集を基本とした縄文文化の記憶が、現代に至るまで消滅せず日本人の心や文化の基層として生き続けている。

世界中の産業文明の国々は、「前農耕的な」時代の文化の遺産をほとんど残していません。たとえばヨーロッパでは、キリスト教以前のケルト文化をほとんど忘れ去ってしまいました。ケルト人は、牧畜・農耕を営んでいましたが、都市は発達せず、森との共生の中に生きていました。日本の縄文文化は、一部農耕を取り入れながらも、狩猟・漁労・採集中心の豊かな文化で、それが約1万3千年も続きました。しかもその精神的な遺産が、強力な国家や宗教などによって圧殺されずに、現代日本人の精神の中にも生き続けています。世界がほとんど忘れ去ってしまった文明の古層が、現代日本の中に息づいているのです。

たとえば日本のどこにでも見られる神社は、縄文人の信仰の遺産の一端だとも言えるでしょう。そこに「日本文化のユニークさ」の基盤がります。世界がマンガ・アニメに引かれる背景には、現代文明の最先端にありながら他の近代国家がほとんど忘れてしまった縄文的な何かがそこに息づいているからではないでしょうか。その何かとは、生命と無生命、人間と他の生き物を明確に区別しない文化、アニミズム的、多神教的な文化とも言えるでしょう。生命のあるものとないものとがたえず交わり、絡み合う世界を描くマンガ、アニメ、ゲームなどの魅力。このように、機械と生命と人間の境界があいまいで、それらが自由に融合していく日本のファンタジー世界は「テクノ-アニミズム」の魅力とも呼べるでしょう。

(3)他文明の吸収力
大陸から適度な距離で隔てられた島国であり、外国に侵略された経験のない日本は、大陸の進んだ文明の負の面に直面せず、その良い面をひたすら尊崇し、吸収・消化することで、独自の文明を発達させることができた。

ユーラシア大陸のほとんどの国は、古代から他民族によって侵略され文化を破壊された経験をもちます。近代では、アジアとアフリカと南北アメリカのほとんどの国がヨーロッパ諸国の植民地とされました。日本がそういう経験をもたず、古代からの固有な文化を保ちながら現代に至ったこと自体が奇跡のひとつと言えるでしょう。日本は、こうした歴史のため、海の向こうから来るものを、恐ろしく破壊的で邪悪な何かと感じるのではなく、進んだ文明をもたらしてくれる善きものと感じ続けたのです。こうして中国文明も西洋文明も貪欲に吸収することができました。この意味で非常に学習力の高い民族だったと言えます。その結果、文明の古い層を残しながら文明の先端をも走っている、重層的な国なったのです。その重層性の中から、世界を魅了する日本文化の発信力も生まれてくるのです。

続きは以下の動画で御覧ください。
⇒ ★日本文化・10の奇跡―世界を魅了する発信力の秘密


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本語の響き、きれいor汚い? 海外250人が直返答

2024年05月02日 | 日本についてのアンケート
★これほどに日本語の魅力に取りつかれている人々が多いとは驚きです。さらに確認するには次の動画をご覧くさい。
日本語の響き、きれいor汚い? 海外250人が直返答

私は、以前からずっと日本語の響きはあまりきれいではないだろうと思っていました。ところがここ数年、ユーチューブなどで見ると、日本語の響きの美しさに魅せられたり、それで日本語学習を始めたりと言う人が意外に多いことに驚きました。
たとえば日本で英会話講師としても知られるサマー・レイン( Summer Rane)さんの場合はこうです。彼女が9歳ぐらいのときアメリカではドラゴンボールZがすごく人気で、彼女も次のエピソードを見るのが待ちきれなかったといいます。そのアニメの日本語を耳にしたとき、何と美しい言語だろうと感じ、どうしてもしゃべるようになりたいと決心をしたそうです。そして高校生になってから本格的に日本語の学習をはじめ、今ではほぼ完ぺきな日本語を話します。彼女の例のような話をよく耳にするようになりました。

それで、教師をしていた私は、教室で何回か生徒に「日本語の響きはきれいに聞こえると思うか」と質問し手を挙げてもらいました。するときれいに聞こえるだろうと答える生徒はかなり少なく、あまりきれいではないと思っている生徒が多かったのです。以前の私と同じです。

私は、自分のX(ツイッター)アカウントで日本の観光地や風景、文化などを紹介しており、幸い世界中からフォロワーも多いので、これを利用し、数年前に海外の人々にとって日本語はどのように聞こえるのかを聞いてみることにしました。その時は50名ほどの人々に回答をいただいたき、結果は驚くべきものでした。その結果は、授業で教材としても使いました。その回答のいくつかは、このあとすぐに紹介します。

今回、もう一度同じ質問を世界に向けて投げかけて見ました。前回の回答の傾向が変わっていないか確認し、最新の情報に更新したうえで、この動画を作りたかったのです。質問は次のようなものでした。

「日本語を母国語としない皆さんにとって、日本語は美しい響きをもつと思いますか、それともきたなく聞こえますか。皆さんのお考えを聞かせてください。もし可能なら、あなたの国名も教えてください。」

私や私の生徒たちがそうだったと同様に、多くの日本人は、日本語の響きはあまり美しくないと思っているのではないでしょうか。この動画を見る前に、皆さんはどう思われていたでしょうか。そしてこの動画を見た後では印象が変わりましたか。下にコメントを下さればうれしいです。

さて、この私の質問に対し、今回は、質問して一週間後の時点で 214 名の人が回答してくれました。その内、日本語の響きは「美しい」と答えた人は191名、「何とも言えない」と答えた人は22名、「ひどい響き」と答えた人は1人でした。

私のフォロワーには日本に興味のある人が多く、そのため、日本語に対しても好印象を持っている人が多いようです。回答者には日本語学習者も20名ほど含まれていたのでなおさらでしょう。上記の結果は、このことを念頭に置いた上で見る必要があります。

しかし、それにしても、前回と同様に圧倒的多数の人々が、日本語は美しい響きをもつと感じていることに驚かされます。どんな回答が多かったのか、いくつかを取り上げて見ます。数年前のアンケートの回答からもいくつか選んでいます。すべてをご覧になりたいかたは、下にリンクする私のXアカウントをご参照ください。

まず、先ほどのサマー先生のように、日本語の響きの美しさに魅せられて、日本語の学習を始めたという人々の例をいくつか拾ってみましょう。

「私はドイツ出身で、その響きの美しさに惹かれて日本語を勉強し始めました。 これがきっかけで、日本の文化、人々、メディア、食べ物に対する生涯にわたる愛が始まりました。」

「チェコ人です。日本語は、とてもソフトでエレガントでペースがいいと思います。だから私は日本語と恋におちいり、勉強したいと思うのです。」

★これほどに日本語の魅力に取りつかれている人々が多いとは驚きです。さらに確認するには次の動画をご覧くさい。
日本語の響き、きれいor汚い? 海外250人が直返答

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世界は日本からこれを学びたい!日本では当然の光景だが

2024年05月01日 | 世界に広がるマンガ・アニメ
この記事は、次の動画の内容の5分の1程度の紹介です。全体はこちらで御覧ください。⇒世界は日本からこれを学びたい!日本では当然の光景だが Fusion of tradition and future!


米国の第96回アカデミー賞では、日本から山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』そしてビム・ヴェンダース監督の『Perfect Days』の三作品がノミネートされ、そのうち『ゴジラ-1.0』と『君たちはどう生きるか』が、それぞれ視覚効果賞と長編アニメ賞に輝きました。そして『ゴジラ-1.0』は日本だけでなく米国や世界の多くの国々で日本映画として記録的なヒットとなりました。

さらに最近では、真田広之主演の戦国スペクタクル・ドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』がハリウッド製作陣の手で映像化され配信が始まりました。米国ではFXとフールー(Hulu)、日本や英国を含む他の地域ではディスニープラス(Disney+)で配信され、世界的に絶賛の嵐といってもよいほどの高い評価を得て、話題となっています。

《中略》

40年前に比べれば世界中の人々の日本への関心と知識は大幅に増しています。日本を旅行した人の数もはるかに多くなっています。マンガやアニメをきっかけにして日本文化に関心をもち学び始めたり、日本語を学ぶ人の数も激増しています。だからこそ日本を見る眼も深まっているし、本物の日本の映像や文化を強く求めるようになっているのでしょう。真田広之が願ったように日本をテーマとした作品がますます増えていくでしょうが、それらは、本当の日本を描くことが何にもまして大切な条件になるでしょう。日本関連の作品が成功するか否かは、底の浅い安っぽい日本のイメージではなく、真の日本の姿をどれだけ映し出すかにかかってくるのです。

では何が日本文化をそれほど魅力的なものにしているのでしょうか。前回の私の動画『日本人のどこがユニーク? 世界の130人が熱く語る!』でも紹介したように、私は最近、自分のX(ツイッター)アカウントで次のような質問を投げかけて見ました。

「日本人や日本の文化・社会のユニークさは何だと思いますか。一つ二つ挙げてみてください。」この質問に幸い多くの回答が寄せられ、二日ほどでおよそ130になりました。その内容も様々な視点からの興味深いものばかりでした。その中には、ある共通の見解を示すものがかなり多く含まれていました。それは、日本文化の魅力の一側面を確実に表現していると思われます。そのいくつかを拾ってみましょう。

「本当に私が日本社会で最も素晴らしいと思うのは、本質的な日本らしさを保ちながら、変化し、適応し、外から新しい要素を加えていく能力です。言語であれ、技術であれ、文化であれ。」

《以下略》

この記事は、次の動画の内容の5分の1程度の紹介です。全体はこちらで御覧ください。⇒世界は日本からこれを学びたい!日本では当然の光景だが Fusion of tradition and future!


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SHOGUN 将軍は知っていた・日本はなぜキリスト教を拒み続けるのか?

2024年04月30日 | キリスト教を拒否する日本
★この記事は、動画の内容の最初の5分の1程度の紹介です。全体の内容は次をご覧ください⇒SHOGUN 将軍は知っていた・日本はなぜ今もキリスト教を拒み続けるのか?

日本が、世界の他の国々とちがう特徴のひとつに、キリスト教徒の割合が極端に少ないという点があります。日本では、キリスト教徒は人口の1%にもなりません。ところが韓国では人口の約29%がキリスト教徒であり、台湾では4%または6%、中国でさえ2.4%、インドは2.3%、イスラム教国であるインドネシアでも約l1%、同じくイスラム教国であるマレーシアでも9%がキリスト教徒です。

なぜ日本にはこれほどキリスト教徒が少ないのか、この問いは日本の歴史や文化に深く関係しており、とても興味深い問いです。この問いをさぐるきっかけとして、まず最近話題となったドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」を取り上げてみましょう。

1980年にアメリカで実写ドラマ化されたジェイムズ・クラベルのベストセラー小説「SHOGUN」。それが、ハリウッドの製作陣の手で、真田広之主演の戦国スペクタクル・ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」全10話として新たに放映されました。米国ではFXとフールー(Hulu)、日本や英国を含む他の地域ではディスニープラス(Disney+)で2024年2月より配信が始まると、たちまち話題となり、絶賛の嵐といってもよいほどの高い評価を得て、全10エピソードの配信が終了したあとでも、映画レビューサイト「ロッテントマト」では、批評家からも一般視聴者からも高評価が維持されています。

「SHOGUN」は、徳川家康、三浦按針、石田三成、細川ガラシャなど実在の人物にインスパイアされ関ケ原の戦い前夜を描いたフィクションであり、物語展開そのものは実際の歴史とはかなり違います。しかし当時の日本でのキリスト教にまつわる状況は実際の歴史に即して描かれています。

たとえばシリーズ第2話「二人の主君に仕えて」には、こんな印象的な場面があります。家康にあたる吉井虎永の前につれてこられたイギリス人航海士ジョン・ブラックソーン(ウィリアム・アダムスのちの三浦按針あたる)が、砂の上に世界地図を描きながら当時の状況を説明します。按針は、その地図上に二本の縦線を引いて語ります。

「これは2国が決めた新世界の境界線。70年前、未知の世界を分け合うと合意した。あなた方の国はポルトガル側にある。だからポルトガル領だ。」
「残念だが、彼らは信じられないほど傲慢。正式な書面に書かれている、スペインとポルトガルの王は、非カトリック国の為政者を追放して、統治する権利があると。」

通詞役をしていた戸田鞠子(細川ガラシャにあたる)は、按針の言葉が信じられず、嘘ではないと神に誓って言えるかと聞き返し、按針がイエスと答えると、次のように虎永に通訳します。「ポルトガルの望みは、キリシタンにあらざる天下人を追放し、仲間であるキリシタンの統治者を据えることだと申しておりまする。」

これを聞いて虎永は息を飲むほどに驚く表情を見せるのです。

★この記事は、動画の内容の最初の5分の1程度の紹介です。全体の内容は次をご覧ください⇒SHOGUN 将軍は知っていた・日本はなぜ今もキリスト教を拒み続けるのか?


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラーメンがこのアメリカ人の人生を激変させた!

2024年04月30日 | 世界に広がる日本食
このアメリカ人のラーメン人生の全体は次の動画で御覧ください⇒あるアメリカ人の泣き笑いラーメン人生・日本愛に導かれて

世界中で日本食は大人気ですが、寿司やラーメンと並んで最近はおにぎりも、パリなどを中心に人気上昇中だといいます。マンガやアニメで、登場人物が食べているのを見て、というのがそのきっかけのようです。オックスフォード英語辞典の2024年電子版では、そんな日本食人気を反映して、日本料理関係の日本語が新たに数多く追加されました。追加されたのは「onigiri(おにぎり)」はもちろんのこと、「katsu(カツ)」や「donburi(丼)」「karaage(唐揚げ)」、さらにイギリスでのラーメンの人気ぶり、普及ぶりを反映して、豚の骨を長時間にわたり煮出したスープ、「tonkotsu(豚骨)」などです。そして「takoyaki(たこ焼き)」や「okonomiyaki(お好み焼き)」「yakiniku(焼肉)」「tonkatsu sauce(トンカツソース)」のほか、三徳包丁を意味する「santoku」が入るなど、英語圏での日本料理の人気ぶりがここからも確認できます。

さて、今回はそうした日本料理のなかでも特にラーメンについての話題を取り上げましょう。といってもラーメンそのものではなく、ラーメンに取りつかれたあるアメリカ人男性の話です。ラーメンに取りつかれ、ラーメンの味を追求しつづけた結果、東京に続いてニューヨークにラーメン店を開いて大成功を収めた男の物語です。彼は、ラーメンだけではなく、日本の魅力に取りつかれた男でもありました。その人生は、紆余曲折に満ちており、深い悲しみや挫折も経験しますが、結局は日本とラーメンに導かれるようにして、大成功に至ります。

ただ、そんな男の物語を始める前に、ラーメンを扱った、あるハリウッド映画について少し語らせてください。そのタイトルは『ラーメンガール』(The Ramen Girl)。日本を舞台にしてアメリカ人の監督によって製作され、2009年に公開されたロマンティック・コメディです。恋人を追って日本にやってきたアメリカ人女性アビー(演:ブリタニー・マーフィ)が相手に振られ、失意のうちに偶然駆け込んだ店で食べたラーメンに魅せられて、挙句の果てにその店の頑固おやじ(西田敏行)に弟子入りを申し込む。言葉の壁や気難しい店主の乱暴な指導や暴言に耐えながら、ついにおいしいラーメン作りに成功し、ニューヨークで開いたラーメン店も繁盛するというストーリーです。

この映画、実はあまり高い評価は得られず、評判にもなりませんでした。脚本を書いたアメリカ人は、ラーメンに対する日本人の異常なまでのこだわりに触発されてこの物語を作っています。しかし、いわゆる名人が弟子に秘伝を伝授する伝統的な指導法をラーメン修行にも安易に当てはめすぎています。店主の教え方は今なら確実にパワハラと言われそうですし、弟子のアメリカ人の女の子アビーが最後に乗り越えなればならなかった壁が、ラーメンに「魂」が込められるか否かだったというのも、いくらコメディとはいえ、現代の日本人を納得させるには、ちょっと大時代的すぎです。ただ日本のラーメン文化への敬意は感じられる作品です。

私が『ラーメンガール』というこの映画を最初に紹介したのは、これから話す男の実人生と対比してみたかったからです。彼の名前はアイヴァン・オーキン。ある意味で、『ラーメンガール』の男性版を生きた男と言えるかもしれません。しかし、かれの人生は、この映画よりもはるかにドラマチックで、また根本的に違うところもあります。そして、彼の生き方そのものが多くの人々の生き方に働きかけ、インスパイアする力をもっているようです。

彼はニューヨークの、両親とも名門大学出の成功者という素晴らしい家庭で育ちましたが、自分はそういう家族の一人はないことを常に思い知らされていました。学校が大嫌いで、椅子にじっと座っていることが出来ない問題児でした。ただ、味覚は鋭く、食べ物へのこだわりが強い少年だったようです。そんな彼が高校生になったとき、町に新しくできた日本食レストランで皿洗いのアルバイトを始めました。三味線の音色や着物を着た女性、魅惑的な匂いの中で仕事をしていると、彼はようやくここに自分の居場所があると気づいたというのです。もちろん高校生だったのでそこで長くは働かなかったのですが、大学では日本語を学ぶことを決意したというのです。そしてやがて大学を卒業したときには、日本に移住することを決めました。彼と日本とのかかわりが何か運命的なものであることを感じさせる話です。

このアメリカ人のラーメン人生の全体は次の動画で御覧ください⇒あるアメリカ人の泣き笑いラーメン人生・日本愛に導かれて

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

75歳 後期高齢者・なお伸び続ける英語勉強法

2024年04月29日 | 全般
私は、今年75歳、ついに後期高齢者になりましたが、毎日英会話の勉強を続けています。そして会話力がいまだに伸び続けていることを実感しています。数か月前に比べればさらに伸びたなと感じています。この調子で続ければ、もっと伸びるだろうと確信できます。そして、英語での会話力、発信力が伸びていると実感できれば、それが喜びとなり、ますますやる気なります。つまり好循環が生まれるのです。英語学習による脳への刺激、上達した実感による喜び、そしてさらに伸ばしたいという強い意欲は、全体として脳の健康にとってもきわめて効果的だと思います。

具体的にどんな勉強法をしているかは後半で語りたいと思います(動画をご覧ください⇒75歳 後期高齢者・なお伸び続ける英語勉強法)が、その前に英語を学ぶ上で私にとってもっとも大切なことを語りたいと思います。それは気持ちの問題です。取り組む上での姿勢、意気込みといってよいかもしれません。まずは、自由に英語を話せるようになりたいという強い意欲と決意をもつこと。絶対にそうなるのだという確信をもつこと。これがいちばん大切だと感じています。私の場合、この意欲と確信がかなり強いです。だから毎日楽しく英語学習が続けられるのです。

75歳にもなると、普通は大きな目標を達成したいとか夢を実現したいとかという意欲は持ちにくくなるかもしれません。しかし、それは人生に対する姿勢の問題であり、何歳になろうと夢や目標は持ち続けるべきです。それを持ち続ける方がはるかに脳を健康に若く保つことができるということです。

私の場合は、英語をもちいて世界中の人々と交流したり、ディスカッションしたりすること、ユーチューブなどのSNSを使って世界に向けて発信することです。特にオンラインで世界中の人々と討論する内容のユーチューブ動画を世界に発信することが目標の一つですが、それをするにはまだ英語力が足りないと思っています。そしてこれが英語を学び続ける原動力の一つとなっています。

脳をいつまでも若く健康に保つには、運動や食事なども大切ですが、メンタルな要素もとても大切です。一般的に言われている、脳を若く保つメンタルな秘訣は次のようなものです。
1) 語学でも楽器でもダンスでもなんでもよいから何かを学び続けること。
2) 健全な目標や夢を持ち、その実現に向かって努力しつづけること。
3) 物事への積極的な姿勢と肯定的で楽観的な見方を保つこと。
4) よき家族やグループなど、できるだけ多くの社会的な関係を保つこと。
5) ストレスを軽減する自分なりのリラックス法を持つこと。
脳の健康に対する、これらの効果についてはすべてある程度の科学的な根拠をもって主張できるとのことです。

私の場合、英語を学び続けることで、これらの秘訣の多くを実行していることになます。
最初の三つについてはすでに述べましたが、4番目のよき社会関係を保つことも英語学習を通して実現しています。オンラインで海外の人々と話したり、英語をつかってボランティアで日本語を教えたりを毎日実行しているので、オンラインですが人と接する時間はかなり長いです。五番目についても、海外の人々と楽しい会話をすることがリラックスのひとつ手段になっているような気がします。

続きは以下で御覧ください⇒https://youtu.be/Uy_o3oIbaEw?si=23TVqP3000DeeYk7


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本の不思議・災害を乗り越える優しさの力

2024年02月23日 | 自然の豊かさと脅威の中で
日本は豊かな自然と森に恵まれた島国であり、異民族の侵略を受けずに、長年平和に稲作農業を営んできました。ときに大きな自然災害によって、苦境に陥ることもありましたが、互いに助け合うことによって何度もその苦境を乗り越えてきました。稲作農業は、互いの信頼やそれに基づく相互の絆をさらに強めました。それが日本人の優しさを作り、その優しさ、互いに尊敬し合い助け合う精神が、たとえ大規模な自然災害を経験しても、力強く立ち直れる強さにつながっているのではないでしょうか。
★詳しくは、次のユーチューブ動画で語りましたので、そちらをご覧ください。
   ⇒日本の不思議:災害を乗り越える優しさの力

かつて埼玉県の公立高校で社会科の教師をしていたとき、多くのALT(assistant language teacher)と友達になりました。そして彼らが母国に帰る前に、日本での滞在中に感じたことについてアンケートをお願いしていました。その回答の中から二つ取り上げてみます。

たとえば、「 日本と、その国民、文化について、長所は何だと思いますか」という質問への答えは、「日本人は、とても親切で互いに気遣いあっているように思います。文化が「尊敬」を中心にして展開しているのは素晴らしいことだと思います。」

あるいは、「あなたの国の社会や文化と、日本のそれとのいちばん大きな違いはなんですか」という質問に対しては、「いちんばん大きな違いは、アメリカ文化が個人に根差した行動を重視するのに対し、日本ではすべてがよりグループ中心です。アメリカ人は、自分の意見をずばりと表明する傾向がありますが、日本人はもっと互いを尊敬しているように見えるところです。」等々です。

日本についてのこうした感想の中に「尊敬」という言葉がよく使われるのが、私はとても印象に残りました。インターネットや本の中でも、日本の良さを語るのにこの「尊敬」という言葉を使っているのをよく見かけます。たとえば、

「日本人に根付いている礼儀正しさを高く評価します。このような尊敬の念のある平和な態度は、日本のどこに行っても私を心地良くさせてくれる優しさと落ち着きを表しています。」(カナダ人)
「日本のコミュニティー精神です。ここの人たちはとても正直で、コミュニティーと個人の尊厳に非常に誇りを持っていると思います。そのため、コミュニティーは強固で、大変なときには互いに助け合います。」(南アフリカ人)

日本の良いところを説明するのに「互いに尊敬し合うところ」という風に、「尊敬」や「尊厳」という言葉を使うところが、私は印象に残りました。別の言い方をすると、ちょっと違和感がありました。その理由を考えると、たぶん私は、「個人の尊厳」「個人の自由の尊重」というように個人主義や自由主義の方にこそ、「尊重」「尊敬」「尊厳」などの言葉がなじむように感じていたからす。ところが、海外の人から見ると、個よりも集団を優先する日本人の態度の中に、他者への尊敬の精神を感じているらしいのです。

もう一例挙げます。日本に在住するアメリカ人の政治学者R・エルドリッチ氏がユーチューブのインタビュー動画で話したいたことです。彼は、22歳のときに英語の教員として兵庫県の多可町という小さな町に住み始めたました。日本酒の「山田錦」の発祥の地だそうです。彼はこう言います、「私は、個人主義で自己主張する国から来て、相手を考え、自分を控えめにする国、そして連携し、協力してものを作る地方の町に来て、特に田舎だったのでアメリカとすごく対照的で、すごく新鮮でした。そこが好きになり、そして日本人を好きになって、1年滞在の予定が2年になって、そして35年になって……。」

彼が好きな日本人の良いところとは次のような点だといいます。「自分を優先せずに遠慮して、相手を色々な形で優先したり、考えて、配慮する国民、非常に優しい国民。世界的にはそのように評価されている。これがおもてなしの精神に繋がるし、世界各地に日本のファンがいることにつながっている。」

エルドリッチ氏はここで「尊敬」という言葉は使っていませんが、自己主張が強い個人主義よりも、相手を様々な形で配慮したり、優先したりしようとするところに日本人の良さや優しさを感じているようです。それを別の言葉で言えば、相手への尊敬、互いの尊重ということであり、つまり、世界の人々は、自由や自己主張を優先する個人主義よりも、つねに周囲の人々を配慮しながら行動する日本人の優しさの中にこそ、互いを尊敬する精神を感じ取っているということでしょう。海外の人々が感じる日本人の良さとは、尊敬、尊重する精神、つまり、日本人の配慮の精神であり、優しさだったのです。

では、日本人の優しさはいったいどこから来るのでしょうか。ある意味でそれは、日本が、大陸から適度に隔てられた島国であるという特殊な地理的条件から来るとも言えるでしょう。ヨーロッパ大陸やアジア大陸などの大陸においては、異民族間の戦争や、侵略、虐殺が繰り返されてきました。そういう歴史の中では、信頼を前提とした人間関係は育ちにくいのです。戦争と殺戮の繰り返しは、不信と憎悪を残し、それが歴史的に蓄積されていきます。

一方、海に囲まれた日本では、異民族による大規模な侵略や殺戮をほとんど経験せず、自分たちの言葉や文化が根こそぎ奪われてしまうような体験もしませんでした。国内に戦乱はあったにせよ、その規模は世界史レベルからすれば小さく、長年培ってきた文化や生活が断絶してしまうこともありませんでした。異民族による侵略や虐殺のない平和で安定した社会は、長期的な安定した人間関係が生活の基盤となります。互いの信頼に基づく安定した人間関係を大切に育てることが、日本人のもっとも基本的な価値観となったのです。

一方で日本では、自然災害による大きな被害は何度も繰り返されました。しかし、相手が自然であれば誰を恨むこともできず、諦めるほかなりません。そして、後に残されたか弱き人間同士は力を合わせ助け合って生きていくほかないないのです。互いを尊敬し合って協力していくほかありません。東北大震災の直後に見せた日本人の秩序ある行動が、驚きと賞賛をもって世界に報道されたのを思い出します。
★続きは以下で御覧ください。⇒日本の不思議:災害を乗り越える優しさの力

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本語の響き:歌の魔力、海外250人が答えた

2024年02月20日 | 日本についてのアンケート
私は、自分のX(旧ツイッター)アカウントを利用して世界の人々に次のような質問をしました。「日本語を母国語としない皆さんにとって、日本語は美しい響きをもつと思いますか、それともきたなく聞こえますか。皆さんのお考えを聞かせてください。もし可能なら、あなたの国名も教えてください。」これに対し、一週間後の時点で 214 名の人が回答してくれました(プラス前回の50名)。

その内、日本語の響きは「美しい」と答えた人は191名、「何とも言えない」と答えた人は22名、「ひどい響き」と答えた人は1人でした。その答えの一部は、今回に先立ってにアップした動画、「日本語の響き・きたないorきれい?海外250人が直返答」でご紹介した通りです。興味あれば後で御覧ください。

今回の動画はこちらから見れます。⇒■「日本語の響き:歌の魔力・方言・女性語…海外250人が答えた」

今回は、日本語の歌の響き、方言・女性の言葉の美しさ、擬音語のユニークさなどについて触れた回答を紹介しています。とくに歌の響きの美しさに触れた回答が多かったので、これを中心に取り上げています。

最初に、インドネシアの歌手レイニッチの話をしたいと思います。彼女は、自分のユーチューブチャンネルで数々のJ-POPをカバーし、その抜群の歌唱力などにより世界的に人気になりました。現在チャンネル登録者が238万人もいます。彼女がJ-POPを歌い始めたのは、日本語の音の美しさに惹かれたからです。最初は彼女が子供の頃楽しんだ「ナルト」などのアニメ・ソングをカバーしていたのですが、やがてジャンルを広げ、とくに日本のシティ・ポップを歌うと爆発的にヒットします。世界にまったく知られていなかったシティ・ポップが、世界中で人気になったのは、彼女が果たした役割も大きいのです。

その世界的流行の理由はいろいろあるでしょうが、レイニッチがそうであったように日本語の音の美しさも大きな理由のひとつでしょう。また、ユーチューブでのコメントを見ていると、強いノスタルジーを感じるという人がかなり多いです。ユーチューブのコメントには、ちょっとしたジョークのパターンが何度となく繰り返されているのに気づきます。いくつか拾ってみます。

★80年代半ばに日本に住んでいた頃のありもしない記憶がよみがえっています。
My nonexistent memories from my time living in Japan in the mid 80’s are kicking again.

★ドイツ人の20歳で、ヨーロッパを離れたことがない私は、80年代の日本での、遠い楽しい日々について考えるのが大好きです。これらの曲ですべての思い出が蘇ります。
As a German 20-year-old who‘s never left Europe before I just love to think about the good ol‘ days in 80‘s Japan. All the memories just come back to life with these songs.

★私は20歳のロシア人女子ですが、放課後、友達と新宿御苑を歩いたのを覚えています。 そして夕方にはこの歌が流れました。決して経験したことのない温かい思い出を贈ってくれてありがとう。
As a 20-year-old Russian girl, I remember walking in Shinjuku Gyoen with my friends after classes. And in the evenings this music was played. Thank you for giving me warm memories of experiences that I never had.

これに類するジョークがシティ・ポップの動画の下には、いやというほど見られるのです。そしてこれらの人々のほとんどは、日本語を理解しないまま、音としての日本語の歌を楽しんでいるのです。

さて、Xでの日本語の響きについての私の質問に回答をしてくださった人々の中にも、日本の歌の響きが特に好きだという意見がかなり見られました。それらを紹介したいと思います。

★アメリカからです、日本語は最も美しい言語の一つだといつも思っています。それは日本の音楽から始まりました。人々が日本語で歌うのを聞くと、本当に魔法のように感じます。
I’m from the United States, and I have always thought that Japanese is one of the most beautiful languages. It started with Japanese music- hearing people sing in Japanese really feels magical! 

★私は話し言葉の日本語の響きが好きで(理解力はまだまだですが)、歌の中の日本語の響きも大好きです。 音楽のスタイルとしては、(少なくとも私にとっては)音色、ピッチ、母音と子音の完璧な組み合わせが気に入っています。 全部がぴったりとはまります (イギリス)。
I like the sound of spoken Japanese (though my comprehension is still lousy 😅) but I love the sound of Japanese in songs. For the styles of music, I like it has (for me, at least) a perfect mix of tone, pitch and vowel and consonant sounds. It just works. (UK) 

これ以外にも様々なコメントが寄せられました。それらについては、次の動画をご覧ください。

「日本語の響き:歌の魔力・方言・女性語…海外250人が答えた」




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドイツ人巨匠が日本のサービスや清潔さに刺激されて傑作映画を! 役所広司主演『Perfect Days』

2024年01月28日 | 日本の長所
ドイツ人巨匠が日本のサービスや清潔さに刺激されて傑作映画を!
昨年12月22日に日本でも公開が始まった『Perfect Days』を見てきました。監督のヴィム・ヴェンダース (Wim Wenders)は、数々の受賞歴に輝くドイツ人巨匠です。1982年の『ことの次第』が、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。1984年の『パリ、テキサス』がカンヌ国際映画祭にてパルム・ドールを受賞。1987年、『ベルリン・天使の詩』ではカンヌ国際映画祭にて監督賞を受賞などです。そして『Perfect Days』は、2023年第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所広司が最優秀男優賞を受賞しました。

この監督が、東京を舞台に清掃作業員の平凡な日々を描いた『Perfect Days』を作ることになったのは、次のようないきさつによります。元々この映画は渋谷区内17箇所の公共トイレを新しいユニークなものに作り変えるプロジェクト「ザ・東京トイレット」のPRのために企画され、そこにドイツの映画界の巨匠ヴィム・ヴェンダース監督を迎えて作られたのです。当初は短いアート作品の製作を考えていたようですが、監督は、日本滞在時に受けたサービスや公共の場所の清潔さに感銘を受け、それを長編作品として再構想したというのです。

ヴェンダース監督が、日本で感銘を受けたサービスの質や公共の場の清潔さは、『Perfect Days』という映画の内容とどのようにつながるのでしょうか。まずこの映画の内容に触れたうえで、最後にこの問いに答えたいと思いすので、少しお付き合いください。

この映画のなかで役所広司が演じる平山という中年の男性は、スカイツリーが近くに見える押上の安アパートに一人で住んでいます。そして毎朝薄暗いうちに起き、ワゴン車を運転して仕事場へ向かいます。行き先は渋谷区内にある公衆トイレ。「The Tokyo Toilet」のプロジェクトで作られたユニークなトイレを次々と回り、隅々まで心を込めて磨き上げてゆくのです。

主人公の平山は、何かしらの過去があり、現在の孤独な生活に至りついたらしいことが暗示されますが、それが何であるかは語られません。彼はただひたすらに自分の仕事に打ち込みます。しかも、つねに何か満ち足りた表情をしています。それはまるで、禅の僧侶が、禅寺の中の雑務に修行として打ち込んでいる姿のようです。

それもそのはず、ヴェンダース監督は当初、平山に僧侶のイメージをだぶらせていたということです。しかし、過去に平山が僧侶だったというわけではなく、むしろ熱心なビジネスマンでありながら、心の中に虚しさを抱えているような男を想定しているようです。その虚しさが極限までに至ったとき、彼はこれまでの生き方をすべて捨て、トイレの清掃作業員として働くことを選ぶのです。

彼は、日々の生活の中で出会う木々を愛します。とくに昼休みに、樹木に囲まれた神社で見る木漏れ日の美しさを愛します。一瞬一瞬の木漏れ日の美しさは、彼がひたすらにトイレの清掃に励む姿と重なります。木漏れ日の一瞬一瞬の輝きの連続のような、トイレ掃除の日々。その姿が、禅寺でひたすらに座禅し、薪を割ったり、庭や廊下を掃除したりする僧侶の姿とも重なるのです。

ひたすらに座禅をする、それは只管打坐とも言われます。只管はひたすらとも読むのです。ひたすらに、只管に掃除をする平山の一瞬一瞬の充実。すべてを忘れて、自分の目の前の仕事にひたすらに、只管に打ち込む、それがそのまま悟りの姿なのだと仏教は教えます。それを意味するのが「修証一如」という言葉です。もっとも、平山自身はこんな言葉は知らないでしょう。ほとんどの日本人が、こうした言葉を歴史の背後に忘れ去っています。ただ、ビジネスマンとしての経歴を捨てて、一介の清掃作業員になったときに平山は、木漏れ日のように一瞬一瞬の輝きに生きることの充実を知ったのです。

そんな彼の、平凡ながら満ち足りた日々に、かすかな波風がたつこともあります。あまり仕事に熱心でない若い同僚の清掃員、そしてそのガールフレンドとのちょっとしたかかわり等々。

続きは動画でご確認ください。⇒ドイツ人巨匠が日本のサービスや清潔さに刺激されて傑作映画を!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世界的ユーチューバーが日本に移住 その理由は日本人の英語力?

2024年01月25日 | 日本の長所
みなさんはピューディパイという世界的なユーチューバーを知っていますか。私の家族や友人は誰も彼を知りませんでした。日本ではほとんど知られていないと言えるでしょう。しかし世界的には彼は超有名人です。チャンネル登録者数が世界で最初に1億人を突破したYouTuberであり、King of YouTubeとも言われています。個人運営のYouTubeチャンネル世界一位を長らく保っていましたが、今は二位になりました。それでも1億1千万人以上の登録者がいます。彼はスウェーデン人ですが、英語で発信するゲームの実況プレイで登録者数を伸ばしていきました。英語圏ではあまりに有名な人物です。日本に移住する前はイギリスに住んでいました。

彼は2022年に妻や愛犬二匹とともに日本に移住し、東京の世田谷区に住み始めました。彼が日本に移住した理由は何でしょうか。日本に移住して一年が経ったころに彼はジャパンレビューというタイトルの動画を投稿し、日本の好きなところと嫌いなとことを挙げています。その中で彼が日本の好きなところの第一に挙げていることが、実は日本人の英語力のなさに深く関係しているのです。日本人が英語に弱いことと、ピューディパイの日本移住がどう関係するのでしょうか。

彼は、東京の人混みの中を歩いていても、誰も彼のことをじっと見ないし、追いかけてこないし、変なことをされることもないと言います。周囲の人々のことを気にしないで街中に出られるという感覚が大好きだと言っています。誰も彼のことを知らないのがいいというのです。これを日本の好きなところの第一に挙げているのです。確かに声をかけられることは少しはあるけれど、それは大抵日本に住んでいる外国人で、日本人に話しかけかれることはめったにないといいます。

これが日本人の英語力のなさとどう関係しているのか、もうお気づきの人も多いと思います。日本では彼はほとんど知られていない人物なのです。1億人以上の登録者がいて世界中で名前と顔を知られているけれど、日本ではほとんど無名なのです。その理由はもうお分かりでしょうが、日本では、英語で発信されるユーチューブ動画を見る人の数は、きわめて限られているからです。つまり日本人は、英語のユーチューブ動画を日常的に楽しむほど英語が得意な人はそれほど多くはないということです。もし彼のことを知っている日本人がいても、自信をもって気軽に英語で彼に話しかける日本人はきわめて少ないでしょう。日本人が彼に話しかけないのは、シャイであったり、他人のプライバシーをやたらに犯さない慎み深さや、礼儀正しさもあるかもしれません。ともあれ、それらすべての理由で彼は、人々の注目や干渉を全く気にせずに、日本のどこでも歩けるという分けです。

ピューディパイと同じような理由で、日本に住みたいと考える海外セレブ達が最近増えているということです。たとえばハリウッド女優のレイチェル・マクアダムスは、都内に別宅を購入し、引退したら日本に住むかもしれないといっているそうです。イギリス人女優のデイジー・リドリーも京都に家を購入したことを明かし、ハリウッド女優のミラ・ジョヴォヴィッチは、将来子供と移住することができればと考えているようです。

彼らが日本に住みたい理由は、日本や日本人、日本文化を愛しているという背景は共通しているでしょう。しかし他にも大切な要素があって、人々にやたらにサインを求められたり、話しかけられたりせず、パパラッチに追われる心配もなく、気軽に外出したり旅行したりできるという点があるようです。つまりピューディパイと同じような理由があるのです

彼女たちが日本に住みたい理由はもちろん他にもります。主なものは食べ物のおいしさや犯罪率の低さ、新鮮で楽しめる体験の多さなどでしょう。ピューディパイが日本に住むことにした理由も、すでに述べた一つだけではありません。そのいくつかについて、彼が挙げている日本の嫌な面と共に紹介しましょう。続きは以下の動画で御覧ください。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする