遡ること2023年2月、ホーチミン市・ビンタイン区のタンダー (Thanh Đa) 半島に位置するカニ料理レストラン「Phong Cua 1」を訪れました。
…が、あろうことか、カニが全て売り切れ。カニ専門店であるにもかかわらず、です。
いつかリベンジを、と思いつつもあっという間に2年が経過してしまいました。そしてこの度、雪辱を期すべく再訪してまいりましたので、ご報告いたします。
本記事では、ホーチミン市・ビンタイン区のカニ専門レストラン「Phong Cua 1」を(改めて)ご紹介します。
「タンダー (Thanh Đa) 半島」について

ビンタイン区・北東部に位置する半島「Bình Quới – Thanh Đa(ビンクオイ・タンダー)」までやって来ました。「タンダー半島」とも呼ばれるこの地域は、サイゴン川とタンダー運河に囲まれた島であり、陸路でのアクセスはビンタイン区・ソヴィエトゲティン (Xô Viết Nghệ Tĩnh) 通りより連なる橋からのみ可能となっています。

市内中心部から遠く離れていない地域であるにも関わらず、未だ大規模な開発は行われていないため、サイゴン川を挟んだタオディエン (Thảo Điền) 半島とは対照的に、今尚牧歌的な風景が残ります。それを活かしたエコツーリズム施設やエンターテインメントもあり、週末のアクティビティとしても最適。上記はエビ釣りが楽しめるお店。

なお、路線バス・44番に乗れば市内中心部との行き来も可能です。ドンコイ通りやベンタイン市場などの主要スポットを経由し、4区南端のバスターミナルとを結ぶ利便性の高い路線。
ただし、夕方どきはンゴタットトゥ (Ngô Tất To) 通り〜ソヴィエトゲティン (Xô Viết Nghệ Tĩnh) 通り辺りの区間が地獄の混雑を見せるため、移動にかかる時間は長めに見積もっておきましょう。
「Phong Cua 1」の外観・店内の様子

「Phong Cua 1」に到着しました。

お店の前にあるカニの石像も、相変わらずです。久しぶりだな、この(カニが食べられなかったことによる心の)傷を憶えているか…。

「Phong Cua」は、2004年にタンダー半島内にオープンしたレストラン。メコンデルタ最南端・カマウ省産のカニを始めとした数々のシーフード料理が評判となり、今に至ります。
2010年には、タンダー地区で発生した土砂崩れの影響もあり、現在の場所に移転し、より大きな店舗を構えるようになりました。また、半島内にもうひとつ支店があり、そちらは「Phong Cua 2」と呼ばれています。

店内はとても広々。それに対応するように、無数のスタッフが忙しなく動き回っています。人海戦術とはこのことか…。

ちょうど、サイゴン川に面するテラス席の近くに案内されました。えー、ロマンチック。上階にも客席がある他、個室の「VIPルーム」もあります。

なお、お店は同僚(日本人)が予約してくれました。今にもカニを喰らわんとする臨戦態勢、勇ましく頼もしい。
お店には公式サイトがあり、そこから予約できそうな雰囲気だったものの、実際は予約フォームが壊れていて予約できず。また、お店のFacebookページも存在しない。
ということで、現時点での予約方法はお店への直電一択という漢仕様です。「どうやって電話で予約したんですか」と尋ねると、「舎弟(※)にやらせた」とのことでした。そ、そうですか…。
「Phong Cua 1」のメニュー一例


他のメンバーを待つ間、メニューをぱらぱらと眺めます。カニおよび貝類は時価であり、生簀から選び計量する必要があるのですが、海老やイカなどの他のシーフードはメニューから注文可能。こちらは海老。


イカ。メニューは、英語が併記されていたり、いなかったりです。


貝。すべて時価です。


肉も扱います。写真は撮りませんでしたが、もちろん、空芯菜・オクラ・ゴーヤなどの野菜メニューもありますよ。
カニ…の前に、軽くつまめるものを注文

お店の中まで入ってきた行商のおばちゃんから、海老せんを購入。普段だったら買わないのですが、空腹に耐えきれずついつい買ってしまいました。お値段、1袋20,000ドン。

本命のカニ…の前に、いくつか料理を注文しました。こちらは「Đậu Bắp Xào Tỏi(オクラのにんにく炒め)」54,000ドン。
程よく歯応えが残る、絶妙な火の通し具合のオクラもさることながら、ホクホク食感のにんにくがたまらなく美味しい。別添えのベトナム醤油もありますが、下味がしっかりついているので醤油は付けなくてもOK。

「Mực Nang Hấp Gừng(イカの生姜蒸し)」119,000ドン。
イカって、もっと「スッ」と噛み切れるものだと思っていたのですが、これは弾力がものすごい!調理されても尚、活き活きとしておる…。

「Đậu Hủ Muối Sả(揚げ豆腐のレモングラス塩がけ)」54,000ドン。シンプル・ザ・美味い。お願いすれば一口サイズに切り分けてくれます。
徹底攻略!カニと貝の注文方法
さて、それでは生簀に向かい、お迎えする(暗喩)カニちゃん達を選ぶとしましょう。

この日は「普通のカニ」と「子持ちカニ」の2種類から選べるとのこと。レシートを見る限り、通常のカニは「298,000ドン/kg」、子持ちカニは「370,000ドン/kg」で計算されていました。上の写真の看板では「308,000ドン/kg」とありますが…まあいいや。

引っ切り無しに客が足を運びます。そりゃそうだ、皆カニを食べに来ているんだもの。傍らにはカニが入ったカゴが積み上げられていました。ホント、何で前回はカニが無かったのやら…。

カニを選んだら計量のお時間。

合わせて、調理方法を指定します。我々が選んだ調理法は以下の通り。子持ちカニには濃い味付けが合う、とのことなので、カレーやタマリンドソースなどしっかり目の味を選びました。
- ② Cua Cari(カニカレー):子持ちカニ
- ④ Cua Hấp(蒸しカニ):普通のカニ
- ⑥ Cua Tay Cầm(カニと春雨の土鍋炒め):普通のカニ
- ⑧ Cua Rang Me Nước(カニのタマリンドソース):子持ちカニ
- ⑨ Cua Sốt Tiêu(カニの胡椒ソース):普通のカニ

ついでに貝料理もここで注文。この日の時価は上記の通り。キロあたりの値段なのか、1個あたりの値段なのかに注意しましょう。合わせて調理方法も伝えます。

牡蠣。1キロあたり79,000ドンなら安いですね。「蒸す」以外の調理方法の場合は追加料金がかかります。

でっかいハマグリ(みたいな二枚貝)!左上でちょこんと縛られているのは、私も大好き「Ốc móng tay」ことマテ貝。

巨大な二枚貝。「ハボウキガイ」の一種だそうです。値段は意外と安かった。

…とまあ、さも自分で注文したような書き方をしてきましたが、実際は同僚(日本人)のベトナム人奥様にすべてご対応いただきました。ホント、頭が上がらない…(※上記の写真に写っているのは無関係の方々です)。
なお、彼女は某銀行の日本語窓口にお勤めなので、もしかするとホーチミン市在住者の中にはお世話になっている人も居るかも!?
何にせよ、外国人だけで注文するにはハードルが高すぎました。この店、日本人や韓国人もよく訪れているようなのですが、どうやって注文してるんだ…。とは言えこのシステム、ベトナム人からしても分かりにくく、煩雑・非効率に見えるとのことなので、改善の余地は大いにありそう。

席に戻ると、メンバーが全員揃っていました。チャーハンやフライドポテトまで頼んじゃって。

これ、芋じゃなくてパンノキだと言われたのですが、真(まこと)か…?レシートには「Khoai Tay Chiến(フライドポテト)」と書いてあったのですが。なお、添えられているのは砂糖とマーガリンです。塩を、塩をクレ!

「Nghêu Hấp Sả(あさりのレモングラス蒸し)」125,000ドン。便宜上「あさり」としましたが、厳密には異なります。
で、これがもう、とにかく貝の味が濃い!「Nghêu Hấp Sả」は今までに何度も食べてきましたが、ここで食べたものが一番、貝の旨味が凝縮されていました。値段も、1kgでこれだけの量が出てくるのなら、安いと思います。
ここからはカニとの対話(※物理)の時間

そうこうしているうちに、カニとの闘いに備えるべく、手袋が配られました…が、枚数は超適当。人数×両手分には足りない数でした。
で、ここからはあまり写真がありません。そもそも手袋で片手が塞がってる中、カメラで撮影とか無理無理!それに、カニとの格闘に集中したいですからね。

まずお出でなすったのは、黒胡椒ソースを艷やかに纏ったカニさん。姿見せのあとは一度舞台裏(調理場)に戻り、食べやすいサイズになって再度現れましたよ。

的確に熱入れされた、しっとり、ジューシーなカニ肉…。また、スパイシーな黒胡椒ソースは色んな料理への用途が思い浮かびそうで、ソース単体だけでも持ち帰りたいくらい。

カニと春雨の土鍋炒め。メコンデルタ地方・カマウ省での郷土料理であり、カニの旨味をたっぷり吸った春雨を楽しめます。

この料理、カニや春雨が美味しいのは言うに及ばず、具材として入っていた椎茸が肉厚で激ウマだったことをご報告します。

カニのタマリンドソースがけ。私ともあろうことか、うっかり写真を撮り忘れる失態を犯してしまったのですが、カニの内子・外子をいただきました。濃厚な甘みとカニの旨味…初めての味でしたよ。一杯分すべて食べてしまったので、尿酸値が心配。

カニカレー。具材にさつまいもと茄子がごろごろと入った一品。カレーは甘めのテイストで、万人が安心して食べられる、安定のお味。

蒸しガニ。カマウカニ特有の、甘みのある締まった身をシンプルに味わえる調理方法です。

頭がくらっとするほどに、濃厚なカニみそ…。
手にはすっかりカニの匂いが染み付いてしまい、あー、猫に好かれそうな手になっちゃったー、とぼやいていたら、「猫はカニとか海老の甲殻類の匂いは好きじゃなくて、それよりも魚の匂いの方が寄ってきますよ」と、猫飼いの同僚からリアルなご意見をいただきました。そ、そうなのか…。
その流れで、件のベトナム人奥様から「日本では、手に付いたカニの匂いを落とす方法ってありますか?」との質問。うーん、ひたすら石鹸で手を洗う、くらいしか思い付かない。
ベトナムでよく言われているものとしては、「ライムで手をこする」方法があるのだそう。切ったライムをボウルに入れておき、その中に手を突っ込んで指や爪の中をライム汁で洗うらしいです。確かに、日本語で情報を検索しても「レモンや酢が有効」という情報がありますね。ただ、ケガや逆剥けがある場合は滲みそうだ…。

完・食ッ!無事、2年越しのリベンジを為しました。これだけ量のカニを安価に・お手軽に楽しめるのだから、やはりベトナムは最高です。
まとめ&「Phong Cua 1」の店舗情報

お会計はこちら。9人で飲み食いして、2,979,820ドン。もし、もっとビールを飲んだり鍋を注文したりしていたら金額が跳ね上がっていたでしょうが、幸い我々は大酒飲みでも大喰らいでもなかったので、リーズナブルな金額に収まりました。
なお、伝票を受け取った際、「よろしければ私たちにチップを…」と2人の店員に言われました。
いやあ、確かに彼らは我々のテーブルに付いていてはくれましたが、専属だったわけでも無し、何なら自分たちでグラスの氷やら、カラを捨てるためのゴミ箱を取りに行ったりしていたので、特別サービスが良かったかと言うと微妙。チップを求められることが予め分かってたなら、もっとこき使って…じゃなくて、色々とリクエストしておけば良かった。
とにかく、チップ込みだとしても、一人あたりたったの約350,000ドンとなりました。
で、帰路ですが、上述の路線バスは終了しているものの、Grabなどを呼べば普通に来てくれます。この近辺で2軒目として行けるようなお店は無いので、タクシーやバイタクが呼べるうちにさっさと中心部まで移動することをお勧めします。
何にせよ、「次こそはこの店でカニを食べる」という積年のタスクを消化できて良かったです。いえーい。✌️🧑✌️(※カニのポーズ)
…今さらだけどこの記事のタイトル、SEO対策のことを考えると『【ホーチミン】カニ食べるならココ!「Phong Cua」への行き方・メニュー・注文方法を徹底解説♡』とかにしておいた方が良かったかな。でも、しない!(代わりにアイキャッチ画像の中に書いておきました)