2023年10月28日土曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-18.HIV感染による初期症状について-

【いつ頃現れるのか】


HIVに感染してから通常2~6週以内に現れます。


【HIVに感染した人全てに現れるのか】


感染した人の約半数から2/3に、これらの症状が起こることがあります。


 全ての感染者にこのような症状が現れるとは限りませんし、全く症状の現れない人もあります。


【初期症状はどのくらい続くのか】


大部分が数日で治り消失しますが、2週間程度続くこともあります。


また症状の続く期間は人によりまちまちです。


【初期症状が収まった後に再度初期症状が出ることがあるのか】


HIVに感染して感染初期に出るから"初期症状"と言います。


初期症状が出て、消失した後に再度初期症状は出ることはありません。


【初期症状が出なければHIVに感染していないのか】


HIVに感染して初期症状が全く出ない人もありますし、出ても軽く気づかない人もあります。


初期症状は何もしなくて放置しておいても自然に消失しますから、初期症状が出ないからHIVに感染していないとは絶対に言えません。


【主な初期症状の一覧】




【初期症状でHIVの感染は判断できるのか】


上記の症状はHIVに感染していなくても他の感染症でも出ますから、これらの症状だけでHIVの感染の判断はできません。


※HIV感染の判断は、適切な時期に適切なHIV検査を受けないと分かりません※

2023年10月26日木曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-17.検査の感度と特異度-その2.特異度とは-

特異度とは、臨床検査の正確さを決める指標のひとつで、ある検査について"本来陰性であるべきものを正しく陰性と判定する確率"として定義されています。


すなわち特異度が高いということは、その疾患に罹患していない人の大部分が検査で陰性になることを意味しています。


HIV検査で特異度が高ければ高いほどニセの陽性者が少ないということになります。


従って特異度の高いHIV検査は、HIVに感染していない人を陽性と判断することはまずないと言えます。


従って陽性と判断されることがほとんどないHIV検査で陽性と判断されれば、絶対にHIVに感染していると診断することができます。


感度が高いHIV検査で陰性となれば、HIVに感染している確率は低いと言えますが、特異度が高いHIV検査で陽性となれば、HIVに感染ししている確率が極めて高いと言えます。


特異度の高いHIV検査は、確認用検査として利用されます。


これは感度の高いスクリーニング検査では、ニセの陽性反応が出現する可能性が高いことから、陽性となった確認用検査として利用されるわけです。


感度の高いHIV検査でスクリーニング実施し見落としを防ぎ、特異度の高いHIV検査で確認検査を行い真のHIV感染者を見つけるわけです。


【まとめ】


特異度が高いHIV検査とは、「HIVに感染していない人を正しく陰性と判定する可能性が高い」、あるいは「本来HIVに感染していない人を間違って陽性と判定する可能性が低い」ということになります。


しかし現実は特異度の高いHIV検査で陽性となった場合必ずしも全てが真の陽性とは言えません、なぜなら特異度100%のHIV検査は存在しないからです。


従っていくら特異度の高いHIV検査でもニセの陽性反応は存在します。 

2023年10月24日火曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-16.-検査の感度と特異度-その1.感度とは-

 【HIV検査の感度とは】


HIV検査の有用性を評価する指標として感度と特異度がありますが、感度及び特異度は特定の疾患(この場合HIVを例にとって話を進めます)について、その検査がHIV感染の有無をどの程度正確に判定できるかを示す定量的な指標ということになります。


そして感度とは、HIV感染者中の検査陽性者を検出する割合を言います。


従って、HIV検査の感度が高いということは、HIV感染者の大部分が検査陽性になることを意味しています。


要するに検査の感度が高ければ、HIV感染者の中で検査陰性になるものすなわち偽陰性者が少ないということになります。


感度が高いHIV検査は、HIV感染者のほとんど見逃すことがなく、HIV感染者の発見率が高い検査といえるのです。


逆に、感度が低いHIV検査はHIVに感染していたとしても陰性と判定される可能性が高いことになります。


HIV感染者を見逃すリスクの高い感度の低い検査は、HIVスクリーニング検査として利用できません。


※感度の低いHIV検査は、HIVの感染を見つける能力が低いため陽性者を見落とすことが高いことからスクリーニング検査には使用できないのです※


【感度の高い検査を使用する理由】


一般的にスクリーニングに使用されるHIV検査は、陽性者を見逃さないために感度を高くしていることからどうしても僞陽性反応(ニセの陽性反応)の出現頻度は高くなってしまいます。


HIVスクリーニング検査は、多くの検査者の中からHIVの感染者を見つける検査ですから、感染者を見逃さないために検査の感度を高くしています。


HIV感染者をスクリーニングの時点で見逃すと以後見つけることは不可能となります、そのためには僞陽性反応が出現しても許されることになるわけです。


よってスクリーニング検査で陽性となっても、僞陽性反応の可能性が否定出来ないことから即HIVに感染しているとは言えないのです。


真のHIV感染者かニセの感染者の判断は、確認検査をする必要があるわけです。


検査感度を高くすればするほどニセの陽性反応の出現率は高くなります。


【感度の高いHIV検査が陽性となったときの注意点】


陽性=HIV感染とは言えません、確認検査をして陽性とならない限りニセの陽性反応ということになります。


【HIVスクリーニング検査で偽陽性反応を出ないようにできないのか】


HIVスクリーニング検査は、HIV感染者を見逃さないように検査の感度を非常に高くしていますから当然のごとく僞陽性反応は出現してしまいます。


僞陽性反応が出ないように検査の感度を低くすると、今度は真のHIV感染者を見逃すことになってしまいます。


HIVスクリーニング検査で真のHIV感染者を見逃さないためには、検査の感度を高くすることが必要となります、感度を高くすれば当然のことながら僞陽性反応は出現することになります。


僞陽性反応が出現しても確認検査があり、ニセの陽性者か真の陽性者の区別は可能です。


HIVスクリーニング検査は、真の感染者を見逃さないためにも検査の感度は高くする必要があるのです。


【確認事項】


今回HIV検査の感度のことを解説しましたが、このことはHIV検査を適切な時期に受けて言えることです。


いくら感度の高い検査でも受ける時期が早すぎると、HIVに感染していたとしても陰性となってしまいます。


これは受ける時期が早く検査で見つかる十分なHIV抗体が体内にできていないからです。


※次回は感度とトレードオフの関係にある特異度について解説いたします※


2023年10月22日日曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-15.通販検査の落とし穴-

保健所や医療機関でHIV検査を受ける場合、プライバシーの保護を危惧する人が多くいることは周知の事実です。


特に保健所での検査がいくら無料であっても受けるのを躊躇している人が多いのも事実です。


その上保健所の都合で受ける日時が一方的に決められ、受けたい時に受けられない不便さもあります。


これらのことからして、通販でHIV検査キットを購入して自宅で検査をする人や、穿刺器具で血液を採取してその血液を民間の会社に郵送して検査を受ける人が増加しています。


現実、民間の郵送検査の利用件数が毎年増加しつつあることは事実です。


通販の検査キットの人気の理由としては、以下が考えられます。


1.数千円の費用で気軽に検査ができる。


2.検査の際に他人と顔を合わせる煩わしさがない。


3.いつでも自分の希望した時に検査を受けられる。


しかし冷静に考えてみて、本当に自宅検査や郵送による検査には問題点がないのでしょうか?


問題点を以下に上げてみます。


1.検査を受ける時期が適切であったか。


2.正しく採血や検査が実施できたか。


3.陽性となった時の業者の対応は十分か。


4.検査キットそのもの信頼性。


5.検査を受ける業者の信頼性はどうなのか。


等が挙げられます。


これらを加味して自宅検査や郵送検査を受ける際の注意点を以下にまとめてみました。


1.検査を受ける前に自分が受けようとする検査の種類を確認する必要があります。


何故なら検査の種類によって受ける時期が異なるからです。


2.それぞれの検査に適した検査を受ける適切な時期に検査を受ける必要がある。


早すぎると信頼できる結果が得られません。


3.指示書通りに正しく検査を実施する。

間違った方法で検査をすると正しい結果が得られません。


4.自宅検査は、厚生労働省は認可していませんので、受けるのは自己責任で受ける。


5.郵送検査は検査を実施する会社が許可を受けて実施していますが、全ての会社が精度の高い検査で実施しているとは限らない事を理解して注意して選ぶ必要がある。


6.陽性となった場合は、即HIVに感染しているとは限りませんので、追加試験や確認試験などのフォロー体制のしっかりした会社を選ぶ必要があります。


実際検査が陽性なった場合のフォロー体制が不十分な会社も存在します。


自分で検査を実施して陽性となった時には、医療機関で追加試験や確認試験を受ける必要があります。


簡単で便利な検査は、それに伴うリスクが有ることを十分に理解して利用する必要があります。

2023年10月20日金曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-14.NAT検査は何処で受けることが出来るのか?-

ここで言うNAT検査は、リアルタイムPCR検査のことです。


本当のNAT検査は、血液センター専用の検査で医療機関では受けることは出来ません。


何度も申し上げていますが一般的にNAT検査と呼ばれるのは、リアルタイムPCR検査のことです。


※ここではあえて皆が使用するNAT検査と言います※


NAT検査は全国何処の医療施設でも受けることが出来ます。


医療施設の大小(大学病院から個人のクリニック)は関係ありません。


検査の種類は膨大な数あり、幾ら大学病院でもすべての検査を自施設で検査することは不可能です。


当然中小の病院やクリニックではなおさら検査することが出来ません。


その為に医療機関から検査を請け負う検査専門の会社があります。


検査を請け負う会社は全国にあり、全国全ての医療機関の検査を請け負って検査します。


NAT検査ができない医療機関は、検査専門の会社に検査を依頼することになります。


全国の医療機関は大小にかかわらず全て検査専門の会社と契約をしています。


従ってNAT検査を受けることの出来ない医療機関はありません、全国どこの医療機関でも検査は受けることが出来ます。


では、何故NAT検査を受けられない医療機関があるのでしょうか?


以下に分析してみます。


1.医師がNA検査を検査専門の会社に依頼できることを知らない。


2.多くの人がNAT検査ということから、NAT検査は血液センター専用の検査で当然検査専門の会社でも検査できないと勘違いしている。


これは、NAT検査とリアルタイムPCR検査の区別ができない医師に多い。


3.HIV検査としてのNAT検査の依頼を受けること自体を嫌い、検査できないという医師がいることも事実です。


要するにHIV検査に関わりたくない医師もいることは事実です。


それではNAT検査を受けるためにはどうすればよいのか?


1.HIV検査のことを理解している性病専門の医師に検査を依頼する。


2.NAT検査という表現を避けてHIVのリアルタイムPCR検査を受けたいと申し出る。


3.自分の施設では出来ないと言われた時には、検査専門の会社に検査を依頼してほしいて申し出る。


上記のようにすればNAT検査は、全国何処の医療機関で受けることが出来ます。


お役に立ちましたでしょうか??!!


最後に一言、HIVのリアルタイムPCR検査は、2023年現在HIV-1しか検査できません。


HIV-2のPCR検査はありますが、一部の研究施設で研究として検査されていますが、検査として認可されていませんので当然保険適応もなく、医療機関で受けることは出来ません。

2023年10月18日水曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-13.HIV抗体検査が陽性となれば必ずHIVに感染していると言えるのか!!-

1.HIV抗体検査が陽性となった場合


適切な時期に受けて陽性となっても必ずHIVに感染しているとは言えません。


何故ならHIV抗体検査にも偽陽性反応(ニセの陽性)があるからです。


この場合以下の確認検査を行います。


1)日を改めて再度採血してHIV抗体検査を行う、この場合一度陽性となった検査を再度実施する、異なる検査法で実施するのふたつの方法があります。


日を改めて採血して検査を実施すれば、本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、感染していなければ陰性となります、陰性となれば前の検査での陽性は偽陽性反応と言えます。


陽性となった場合、HIV-1とHIV-2のいずれに感染しているかの判断はできません。


HIV-1とHIV-2のいずれに感染しているかは、HIV-1とHIV-2の鑑別検査をする必要があります。


2)確認検査としてウエスタンブロット検査を実施する。


本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。


3)リアルタイムPCR検査を実施する。


本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。


※但しこの場合は、HIV-1の感染で、HIV-2の感染の判断はできません※


2.抗原抗体検査が陽性


1)30~50日で陽性となる。


この場合はHIV-1の抗原が検出された可能性がありますので、リアルタイムPCR検査で確認検査をします。


確認検査のウエスタンブロット法ではこの時期検査をする時期として早すぎるために感染していても陰性(偽陰性反応)となってしまいます。


2)12週で陽性となる


・この場合はHIV-1抗体かHIV-2抗体のいずれか、また両方の抗体が検出された可能性がありますので、日を改めて再度採血してHIV抗体検査を行う、この場合一度陽性となった検査を再度実施するか、異なる検査法で実施する方法があります。


日を改めて採血して検査を実施すれば、本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、感染していなければ陰性となります、陰性となれば前の検査での陽性は偽陽性反応と言えます。


・確認検査としてウエスタンブロット検査を実施する。


本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。


・陽性となった場合、HIV-1抗体かHIV-2抗体のいずれかに感染しているかの鑑別検査が必要となります。


・リアルタイムPCR検査を実施する。


本当にHIV-1に感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIV-1に感染していないと言えます。


※HIV-2の判断はできません※


3)リアルタイムPCR検査が陽性


ほぼ100%近くHIV-1に感染しているといえます。


確認検査としては日にちを改めて採血して、再度リアルタイムPCR検査を実施し、陽性となればHIV-1に感染していたと言えます、陰性となった場合は前回のリアルタイムPCR検査が偽陽性反応(ニセの陽性)ということになります。


現実全自動で検査するリアルタイムPCR検査の偽陽性反応は、極めて低い確率でしか発生しません。



2023年10月16日月曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-12.迅速抗原抗体検査ダイナスクリーン・HIV Comboの判定(陰性事例と判定無効事例)

陰性・・・・・コントロール判定窓だけに赤色ラインが現れ、抗原判定窓及び抗体判定窓には赤色ラインが認められない場合。




判定無効(再検査)・・・コントロール判定窓に赤色ラインが認められない場合は、陽性・陰性とは判定できず判定無効とし、再度検査を実施する。





(左)抗体判定窓(AB)に赤色ラインが認められても、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められない。


(左より二番目)抗原判定窓(AG)に赤色ラインが認められても、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められない。


(左より三番目)抗原判定窓(AG)と抗体判定窓(AB)に赤色ラインが認められても、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められない。


(右端)抗原判定窓(AB)と抗体判定窓(AB)に赤色ラインが認めらなく陰性と判断できそうですが、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められないことから陰性ではなく判定無効。


※この検査の大切なことは、必ずコントロールラインに赤色のラインが認められない場合は、いくら抗原や抗体のラインに赤色のラインが認められても判定は無効として、再度検査を実施することです※






HIV/AIDSを正しく認識しょう-18.HIV感染による初期症状について-

【いつ頃現れるのか】 HIVに感染してから通常2~6週以内に現れます。 【HIVに感染した人全てに現れるのか】 感染した人の約半数から2/3に、これらの症状が起こることがあります。  全ての感染者にこのような症状が現れるとは限りませんし、全く症状の現れない人もあります。 【初期症...