数々の人気作を生み出した桜井政博さんはクリエイターとして素晴らしいだけではなく、プレイヤーとしても素晴らしいとおもいます。
私も昔はゲームをとことんやり尽くすまで攻略本などを見るのを避けていました。
ですので、自力でなにかを見つけたときの喜びは大きかったです。
一部のアイテムなど、取り忘れたままストーリーを先へ進めると二度と入手不可能なケースもあるため、ストーリーを進める前にしらみつぶしに探索します。
あとから変更できない分岐点で、入手できるアイテムがどれかひとつに限られる場合は、それぞれのルートもプレイします。
結果、慎重かつ徹底的にプレイするので、開発者の想定プレイ時間より長く遊べます。
子どものころの私は、今ほどゲームを簡単に手に入れられなかったので、ひとつの作品をじっくり味わうように遊び尽くしていました。
ひとつの作品を徹底的にやり込むだけではなく、特に好きな作品はゲームの資料集やイラスト集も買っていました。
私はとくに、ストリートファイターシリーズなど多くのCAPCOM作品に携わったイラストレーター(キャラクターデザイナー、ゲームクリエイター)である西村キヌさんの大ファンで、彼女の画集はほぼ全て持っています。
(私も西村さんのように描きたくて絵も学びました)
今はというと、ゲームの設定、資料、イラスト、デザインなどに興味があることは以前と変わりませんが、昔に比べるとひとつの作品をじっくり時間をかけてプレイすることは難しくなりました。
それは「間に合わない」「追いつかない」「時間が足りない」という理由からです。
なぜなら、昔と比べて今はゲームの入手が楽になりましたし、作品数も多くなったからです。
自身が制作に携わったゲームを隅から隅まで余すことなくプレイヤーが吟味してくれる、というのは制作者側にとっては非常にありがたいことです。
なので、制作者側の苦労や努力を無駄にすることなく、真正面から作品と向き合ってプレイする桜井政博さんは素晴らしいプレイヤーだといえます。
でも「短期間(短時間)だけ、サクッとプレイしたい」というニーズも確かに存在します。
タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する人も増え、モバイルでカジュアルな作品を好んでプレイする人も増えました。
また、プレイアブルな部分以外は可能な限りスキップする、というプレイヤーもいます。
「スキップなんてさせないぞ!」とおもうこともあるかもしれませんが、それはひとつのニーズを排除することになります。
プレイヤーは自由にゲームを選びますが、ゲームがプレイヤーを選ぶことがないように、できる限りユニバーサルデザインに近づけることが望ましいでしょう。
最近はお試しでゲームをプレイできる機会が増えました。
プレイして納得いかなければ返金も簡単にできます。
プレイヤーのレビューを読むことができ、そもそもプレイすらしない場合もあります。
昔に比べると気軽に手に取ってもらいやすい反面、継続的なプレイを維持するのが容易ではなくなりました。
私は一つの作品に集中してじっくりプレイすることは昔に比べると減りましたが、それでも継続して何年もプレイしている作品はいくつかあります。
すぐに飽きられてしまう作品と、何年も継続してプレイされる作品の違いとはなんでしょうか。
プレイヤーの求めるニーズは開発者にとって非常に気になるものです。
プレイヤーからのフィードバックも非常に参考になります。
私も聞きたいことが山ほどあります。
私も聞きたいことが山ほどあります。
(こちらの記事を読むと「ゲームパッドの対応は不可欠だな」とか、いろいろと参考になるとおもいます)
開発者がゲームを作る理由はさまざまです。
「自分の作品で一儲けしたい」「より多くの人に自分の作品をたのしんでもらいたい」「自分がたのしめる理想のゲームを作りたい」
プレイヤーのニーズが多様なように、開発者の目的も多様です。
仮に、極端な例を挙げるなら「テトリス以外は受け入れられない」といった、選択肢の限られた世の中だった場合、開発者はテトリスを作らざるを得ないですし、プレイヤーも未知のゲームに触れる機会を損失します。
世の中には圧倒的に美麗なグラフィックのゲームもあれば、グラフィックそのものが皆無のゲームもあるくらいですから、選択肢は多いほうが望ましいです。
多様な選択肢の中から自由に「作りたいもの」「遊びたいもの」を選べるというのは、開発者とプレイヤー双方にとって望ましいことです。
「自分の作品で一儲けしたい」という開発者の場合、世のトレンドに乗ってニーズが集中しているジャンルを狙ったり、逆に競合相手のいないブルーオーシャンを狙うという選択肢もあります。
「より多くの人に自分の作品をたのしんでもらいたい」という開発者の場合、親しまれやすいポピュラーな作品を作ってもいいですし、あっと驚くユニークさで話題性がある作品にチャレンジしてもいいでしょう。
「自分がたのしめる理想のゲームを作りたい」という開発者は、トレンドに左右されずとことん自分の理想のためにこだわっていいわけです。
ただ、その場合でもユーザビリティ(ストレスを与えない利便性)には気を配る必要があるでしょう。
このように、開発者はさまざまな理想を掲げますが、インディーゲームの道は険しいいばらの道です。
「自分の作品で一儲けしたい」とおもっても、黒字化するのは決して容易なことではありません。
儲けは度外視で「より多くの人に自分の作品をたのしんでもらいたい」とおもっても、なかなか人の目に止まらない場合もあります。
そのうえで覚悟を持って臨むか、「自分がたのしめればそれでいい」と割り切るか。
いずれにしても生半可な気持ちでは続けるのは難しいでしょう。
それでは、自身の理想を叶えるために必要なこととはなんでしょう。
斬新なアイデアを生む創造力。アイデアを実現するための技術力。完成させて公開させるための継続力。
それらはもちろん重要ですが、プレイヤーのニーズに寄り添う気持ちも重要だとおもいます。
そのためには、過去や今の作品のどこがどのように評価されているのか知ることもいいでしょう。
ゲーム関連企業が開催する講演、セミナー、カンファレンスなどに参加するのもいいでしょう。
有名なクリエイターや新進気鋭のクリエイターなど、インタビュー記事を読むのもいいでしょう。
市場の動向やトレンドをリサーチしてデータを収集、分析するのもいいでしょう。
このように、できることはいろいろとあるとおもいます。
蓄えられた知見はきっと茨の道を照らす明かりとなるでしょう。
「流行りのジャンルをプレイしたい」、「個性的な作品をプレイしたい」、「作者の情熱が伝わる作品をプレイしたい」、「ユーザビリティに優れていてストレスフリーなゲームをプレイしたい」
プレイヤーのニーズが多様化する今、どれに応えるかはデベロッパーのあなたしだいです。
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